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植物細胞は細胞板を形成することにより分裂する。細胞板は膜小胞が融合 してできる円盤状の構造体で、内部で細胞壁多糖が合成され、将来の細胞 壁になる。はじめ娘核の間にできた細胞板が、その直径を広げることにより 細胞質分裂は進行する。最終的に細胞板は細胞膜に融合し、細胞質分裂 が完了する。 細胞板は細胞骨格複合体である隔膜形成体（フラグモプラスト）の内部で 形成される。隔膜形成体はアクチン、微小管の両者を含むが、細胞板の形 成と拡大に働くのは微小管と考えられている。たとえば、微小管に近接した 膜小胞が電子顕微鏡で見えることから、細胞板を構成する膜小胞は微小管 モータータンパク質によって運ばれることが提唱されている。また、微小管の 重合/脱重合による更新を阻害すると細胞板の拡大が阻害されること、細胞 板が完成すると微小管は消失すること等がわかっている。これらの知見より、 細胞板を構成する膜のダイナミクスと微小管のダイナミクスが協調すること が細胞板の拡大に重要と考えられるが、その詳細はわかっていない。 細胞板形成における膜と微小管のダイナミクスの制御機構を理解する第 一歩として、我々は蛍光イメージングを駆使し、隔膜形成体微小管の構築様 式と更新機構を明らかにすることに成功した（Murata et al. 2013, Nat. Comm. 4, 1967）。隔膜形成体はダイナミクスの異なる２種類の微小管（動的な微小 管と安定な微小管の束）を含み、これらの変換や移動が細胞板の拡大に 伴って起こることがわかった。本セミナーでは微小管の動態解析の詳細を紹 介するとともに、植物の細胞分裂のユニークな点、今後解析したい点を話す 予定である。 第103回 Plant Science Seminar 微小管の形成、移動と束化の協調により 植物の細胞質分裂は進行する 日時 ： ５月１４日(水) ９：３０〜１０：３０ 場所 ： 理学部 ５号館 ２階 ２０１号室 村田 隆 博士 基生研・生物進化 Plant Science Seminar 北大内で植物科学を研究している（特に）若い人たちの交流促進の場を提供する ためのセミナーです。今回は、ライブセルイメージングを中心としたとても興味深い お話です。広く細胞生物学などに興味をお持ちの方のご参加もお待ちしております。 連絡先： 藤田知道（内2740， [email protected]）
