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30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³%...

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8
平成23年9月改定 24年4月施行の改正法 貴方の発表は大丈夫か? PATENT ACT ARTICLE 30 大学で必要な特許知識 論文を発表する人の必読マニュアル 早分かり特許法30条 新規性喪失の例外規定 守秘義務の取り交わし 卒論・修論の発表にあたり 海外出願の仕方 JST申請の準備 電気通信大学 産学官連携センター 知的財産部門
Transcript
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平成23年9月改定 24年4月施行の改正法

論文発表後の出願と発明者の注意点

貴方の発表は大丈夫か?PATE

NT AC

TAR

TICL

E 30

大学で必要な特許知識論文を発表する人の必読マニュアル

早分かり特許法30条新規性喪失の例外規定

守秘義務の取り交わし卒論・修論の発表にあたり

海外出願の仕方JST申請の準備

電 気 通 信 大 学

産学官連携センター

知 的 財 産 部 門

〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1Tel 042-443-5838 Fax 042-443-5839 http//www.uec.ac.jp/

外国出願の仕方のあらまし■ 公表・発表の有無による外国出願の手順

●公表・公開などをしていない発明

1年以内

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

6月以内6月以内

優先権主張

特許登録

優先権主張

PCT出願

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

優先権主張

特許登録

優先権主張

国内特許出願

30月(2年6月)以内

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出

願移行

優先権主張

特許登録

優先権主張

審査後に

欧州、中国、韓国などの

特許

6月以内

論文、書籍シンポジュウム

Web公開

1年以内

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

6月以内

豪 特許

優先権主張第30条申請書類

※1先願主義への移行/施行日:2013年3月16日  米国特許改正法§102(b)(1)、(2)

日本特許(自己指定)

優先権主張

欧州、中国、韓国などの

特許

6月以内

論文、書籍シンポジュウム

Web公開

国内特許出願

30月(2年6月)以内

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

米、カナダ、豪 特許

優先権主張第30条申請書類

日本特許(自己指定)

優先権主張

 出願前に論文・刊行物等によって公表、発表が行われなかった場合と、行った場合の、PCT出願の手順と権利化の

可能性を説明します。

 また、大学が外国出願をするにあたり、独立行政法人科学技術振興機構(JST)へ、その手続き費用の支援を申請

する手順についても合わせて説明します。

 なお、以下のチャートで示される出願手法以外もありますが、ここでは標準的なPCT出願を例にとって図表にし

ました。

JSTの費用支援を得て、日本の特許出願をもとにPCT出願をおこない、PCT機関の特許性にかかる調査結果を得た後で、各国での審査を得て権利化を図る一般的な手順を示します。

●公表・公開などをした発明上記の一般的な手順に、更に論文発表をおこなったことによる行程が加わります。JSTへの申請は発表などから6月以内となります。日本の出願の前に発表を行うと、多くの国では特許が得られなくなります。

PCT出願

※1

●米、カナダ、豪での特許取得:これらの国で出願する場合、その出願日より1年以内の自己の公表等どこで有っても権利化が可能です。但し、JSTの支援が受けられなくなることもありますのでご注意下さい。 The University of Electro-Communications Intellectual Property Office

早分かり特許法30条

Page 2: 30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³% 30 1 A +D z v Ç Ð ò l - 3 e ý H ¶ £ ½ z Ã Í æ%d z 9ÏÌ Ä ç0 ; ¿ ÐH

発明の届出

はい

いいえ

30条適用日本出願(B)

日本特許:可能である

米国特許:可能性あり(公開後1年以内であれば可102(b)(1))

ヨーロッパ、アジア等の特許:可能性は薄い

直ぐ(1週間程度)

出願前(数週間程度)

余裕がある(数ヶ月後)

通常コース

緊急避難的 1年以内

1年以内

1年以内

1年以内

(D)

(B)

(C)

(A)発表をしたか

30条適用日本出願(B)

発表をいつしますか

USへ仮出願(C) 日本出願等 (優先権主張)

外国出願 (優先権主張)

外国出願 (優先権主張)

国内優先権を利用した日本出願

日本出願30条適用の考慮

日本出願

特許法第30条の概要と権利化の可否チャート

研究終了発明の完成

特許出願

6ヶ月以内

平成24年4月施行の30条2項

特許を取得しえる特許を取得しえる

特許出願

第30条2項

特許を取得できない

第29条の2

特許を取得できない

第29条の2他人の同内容の特許出願

他人の同内容の特許出願

研究終了発明の完成

特許出願特許を取得しえる特許を取得しえる

本人の意に反して他人が公表

本人の意に反して他人が公表

研究終了発明の完成

6ヶ月以内

研究終了発明の完成

日本特許出願(第30条適用)

ヨーロッパ、中国、韓国など殆どの国での特許出願など

第30条1項

発表者と発明者は一致していること(異なるときは説明が必要)

それらの国では特許を取得できない

それらの国では特許を取得できない

論文等を発表した後で行う日本、外国特許出願の権利化の可否の例を、以下の(a)~(d)で示します。条件によっては、それらが権利化できないことがありますので注意が必要です。

(a)

(d)

(c)

(b)

優先権主張

特許法第30条の概要と権利化の可否チャート

特許を取得しえる特許を取得しえる

特許を取得できない

第29条の2

特許を取得できない

第29条の2他人の同内容の特許出願

他人の同内容の特許出願

特許を取得しえる特許を取得しえる

本人の意に反して他人が公表

本人の意に反して他人が公表

発表者と発明者は一致していること(異なるときは説明が必要)

それらの国では特許を取得できない

それらの国では特許を取得できない

優先権主張

論文発表(インターネット発表)

論文発表

論文発表

A)通常の出願:発表前に特許出願する。

B)30条規定の適用出願:守秘義務を課して公知性を回避し出願する。

(米国、カナダ以外の国では特許を取得できなくなることがあります。)

C)国内優先権主張の特許出願:出願明細書の作成に時間の余裕がないときには、仮の(暫定的な)

明細書をもって特許出願を行い、後日この出願を基に完成した明細書をもって特許出願をし

直すこともあります。この場合であっても、最初の出願から1年以内に後の出願を行います。

D)米国の仮出願利用の出願:米国のみならず、日本・カナダやそれ以外の国にも特許出願する可能

性が高い場合、各国での出願日を確保するために利用することがあります。出願時には出願

の明細書が日本語でよい、緊急対策ができる、などのメリットがあり、多くの企業ではこの

出願制度を活用しています。しかし、最終的には翻訳文の提出が必要となる、手続きが煩雑

となり、総合的には費用が多くかかるなどの理由で、大学では推奨してはおりません。

■ 論文発表等を間近に控えた特許出願の手続き

発明公開

論文、書籍シンポジュウム

特許出願

6月以内

Web公開特許出願 書類

証明書類

出願と同時に、30条の適用を受ける旨の手続き(書面の提出、或いは記載)をする

出願から30日以内に発明の公開を証明する書類を提出する

30日以内

 日本の特許制度においては、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることは

できません。しかし、論文発表等によって公開した後での特許出願は、特許にならないということ

は、発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨にもそぐわな

いといえます。

 このことから、特許法では、発明を自ら公開し、その後に特許出願した場合には、先の自らの公

開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の

例外規定(特許法第30条)が設けられています。

 発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、発明を公開した日から6月以内に特許出

願を行なうことが必要です。

特許法第30条(発明の新規性喪失の例外規定)のあらまし■ 特許法第30条(発明の新規性喪失の例外規定)とは

 本制度は、出願前に本人によって発表された論文等は、公知例として拒絶の理由とされない、とい

う効果を持つにすぎません。そのため本人の出願前に他人が出願した場合には特許の取得ができない

点や、同様の例外規定がない欧州諸国、アジア諸国など殆どの国への特許出願では、本人の論文発表

により新規性を喪失していると扱われる点に留意が必要です。

 (本規定にかかわらず特許出願の手続きは、遅くとも学会発表の前日までか、予稿集がある場合

はその公開の前日までに行うなど、一日でも早い出願が望ましい。)

■ 留意すべきこと!

 学会発表や卒論・修論発表など、実際の発表当日(プレゼンテーション日)以前に予稿集やプロ

グラムのWeb公開があったときには、その日付が「公開日」(予稿集の配布日など)となります。

■ 更に注意すること!

 本学では、学会発表、新聞・雑誌などの刊行物での発表、インターネットでの公開、卒論・

修論発表などに際し、発明者・発表者・主催部局の方々に対して守秘義務のルールなどを規定

しています。これらに関して次ページより解説します。

■ 電気通信大学の体制

 例外として、米国・カナダ・豪国では、自らが公開した発明を、公開日から一年以内に特許出願

すれば権利化の可能性があります。(知的財産部門までご相談ください。)

■ 例外的なこと!

<平成24年4月より施行>

注)平成23年の法改正前の規定では、その適用対象が、試験の実施、刊行物への発表、Web等を通じての発表、

特許庁長官が指定する学会(卒論、修論発表も含まれる)での文書発表、特定の博覧会への出品等によって

公開された発明に限定されていました。平成24年4月より施行される規定では、この限定がなくなりました。

 (P5下段の規定を参照)

The University of Electro-CommunicationsINTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

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早分かり特許法30条

P2 P3

Page 3: 30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³% 30 1 A +D z v Ç Ð ò l - 3 e ý H ¶ £ ½ z Ã Í æ%d z 9ÏÌ Ä ç0 ; ¿ ÐH

発明の届出

はい

いいえ

30条適用日本出願(B)

日本特許:可能である

米国特許:可能性あり(公開後1年以内であれば可102(b)(1))

ヨーロッパ、アジア等の特許:可能性は薄い

直ぐ(1週間程度)

出願前(数週間程度)

余裕がある(数ヶ月後)

通常コース

緊急避難的 1年以内

1年以内

1年以内

1年以内

(D)

(B)

(C)

(A)発表をしたか

30条適用日本出願(B)

発表をいつしますか

USへ仮出願(C) 日本出願等 (優先権主張)

外国出願 (優先権主張)

外国出願 (優先権主張)

国内優先権を利用した日本出願

日本出願30条適用の考慮

日本出願

特許法第30条の概要と権利化の可否チャート

研究終了発明の完成

特許出願

6ヶ月以内

平成24年4月施行の30条2項

特許を取得しえる特許を取得しえる

特許出願

第30条2項

特許を取得できない

第29条の2

特許を取得できない

第29条の2他人の同内容の特許出願

他人の同内容の特許出願

研究終了発明の完成

特許出願特許を取得しえる特許を取得しえる

本人の意に反して他人が公表

本人の意に反して他人が公表

研究終了発明の完成

6ヶ月以内

研究終了発明の完成

日本特許出願(第30条適用)

ヨーロッパ、中国、韓国など殆どの国での特許出願など

第30条1項

発表者と発明者は一致していること(異なるときは説明が必要)

それらの国では特許を取得できない

それらの国では特許を取得できない

論文等を発表した後で行う日本、外国特許出願の権利化の可否の例を、以下の(a)~(d)で示します。条件によっては、それらが権利化できないことがありますので注意が必要です。

(a)

(d)

(c)

(b)

優先権主張

特許法第30条の概要と権利化の可否チャート

特許を取得しえる特許を取得しえる

特許を取得できない

第29条の2

特許を取得できない

第29条の2他人の同内容の特許出願

他人の同内容の特許出願

特許を取得しえる特許を取得しえる

本人の意に反して他人が公表

本人の意に反して他人が公表

発表者と発明者は一致していること(異なるときは説明が必要)

それらの国では特許を取得できない

それらの国では特許を取得できない

優先権主張

論文発表(インターネット発表)

論文発表

論文発表

A)通常の出願:発表前に特許出願する。

B)30条規定の適用出願:守秘義務を課して公知性を回避し出願する。

(米国、カナダ以外の国では特許を取得できなくなることがあります。)

C)国内優先権主張の特許出願:出願明細書の作成に時間の余裕がないときには、仮の(暫定的な)

明細書をもって特許出願を行い、後日この出願を基に完成した明細書をもって特許出願をし

直すこともあります。この場合であっても、最初の出願から1年以内に後の出願を行います。

D)米国の仮出願利用の出願:米国のみならず、日本・カナダやそれ以外の国にも特許出願する可能

性が高い場合、各国での出願日を確保するために利用することがあります。出願時には出願

の明細書が日本語でよい、緊急対策ができる、などのメリットがあり、多くの企業ではこの

出願制度を活用しています。しかし、最終的には翻訳文の提出が必要となる、手続きが煩雑

となり、総合的には費用が多くかかるなどの理由で、大学では推奨してはおりません。

■ 論文発表等を間近に控えた特許出願の手続き

発明公開

論文、書籍シンポジュウム

特許出願

6月以内

Web公開特許出願 書類

証明書類

出願と同時に、30条の適用を受ける旨の手続き(書面の提出、或いは記載)をする

出願から30日以内に発明の公開を証明する書類を提出する

30日以内

 日本の特許制度においては、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることは

できません。しかし、論文発表等によって公開した後での特許出願は、特許にならないということ

は、発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨にもそぐわな

いといえます。

 このことから、特許法では、発明を自ら公開し、その後に特許出願した場合には、先の自らの公

開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の

例外規定(特許法第30条)が設けられています。

 発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、発明を公開した日から6月以内に特許出

願を行なうことが必要です。

特許法第30条(発明の新規性喪失の例外規定)のあらまし■ 特許法第30条(発明の新規性喪失の例外規定)とは

 本制度は、出願前に本人によって発表された論文等は、公知例として拒絶の理由とされない、とい

う効果を持つにすぎません。そのため本人の出願前に他人が出願した場合には特許の取得ができない

点や、同様の例外規定がない欧州諸国、アジア諸国など殆どの国への特許出願では、本人の論文発表

により新規性を喪失していると扱われる点に留意が必要です。

 (本規定にかかわらず特許出願の手続きは、遅くとも学会発表の前日までか、予稿集がある場合

はその公開の前日までに行うなど、一日でも早い出願が望ましい。)

■ 留意すべきこと!

 学会発表や卒論・修論発表など、実際の発表当日(プレゼンテーション日)以前に予稿集やプロ

グラムのWeb公開があったときには、その日付が「公開日」(予稿集の配布日など)となります。

■ 更に注意すること!

 本学では、学会発表、新聞・雑誌などの刊行物での発表、インターネットでの公開、卒論・

修論発表などに際し、発明者・発表者・主催部局の方々に対して守秘義務のルールなどを規定

しています。これらに関して次ページより解説します。

■ 電気通信大学の体制

 例外として、米国・カナダ・豪国では、自らが公開した発明を、公開日から一年以内に特許出願

すれば権利化の可能性があります。(知的財産部門までご相談ください。)

■ 例外的なこと!

<平成24年4月より施行>

注)平成23年の法改正前の規定では、その適用対象が、試験の実施、刊行物への発表、Web等を通じての発表、

特許庁長官が指定する学会(卒論、修論発表も含まれる)での文書発表、特定の博覧会への出品等によって

公開された発明に限定されていました。平成24年4月より施行される規定では、この限定がなくなりました。

 (P5下段の規定を参照)

The University of Electro-CommunicationsINTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

32

早分かり特許法30条

P2 P3

Page 4: 30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³% 30 1 A +D z v Ç Ð ò l - 3 e ý H ¶ £ ½ z Ã Í æ%d z 9ÏÌ Ä ç0 ; ¿ ÐH

Q8:公開者の中に、特許を受ける権利を有する者以外の他者(学生など)が含まれている場合におい

ても新規性喪失の例外規定の適用を受けることができますか? 他者(学生など)は発明に係る

「単なる実験の補助者」です。

A8:発明の公開を依頼された者と特許を受ける権利者が一致していない場合(一部の者だけ一致して

いる場合も含む)には、権利者全員の意思に基づいて発明の公開が行われたこと(例えば、権利

者全員の同意に基づき依頼を受けた者が公開をしたことや、権利者の代表者が発明の公開をした

ことなど)を、事実に即して証明する書面に記載すれば受けることができます。

3)権利者と公開者との関係等について

Q12:発明者の意に反して公開されたという事情を出願前に知りました。本規定の適用を受けるため

には、特に、手続をすることなく出願しても問題ないでしょうか?

A12:意に反して新規性を喪失した日から6月以内に特許出願が行われていれば問題ありません。こ

の場合、特許出願の際に、この例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面及び特許出願

から30日以内の「証明する書面」の提出は必要ありませんが、意に反して公開された旨を意見

書や上申書等を通じて説明してください。

Q13:意に反して公開されたといえる具体例には何がありますか?

A13:特許を受ける権利を有する者(権利者)と公開者との間に秘密保持に関する契約があった、公

開者の脅迫等によった、ある日時までは公開しない旨約束していたにもかかわらず、その日時前

に公開された場合、等があります。

5)発明が意に反して公開された場合

Q9:公開が複数回にわたって行われた場合は、どのような手続きをすれば適用を受けることができま

すか?

A9-1:権利者が発明を複数の雑誌・論文などに掲載した、複数の発表会で公開した場合など、それぞ

れについて例外規定の適用を受ける必要があります。

A9-2:X学会で発明を発表した後、Y学会でもその発表を行うのであれば、そのY学会での発表につ

いても規定の適用を受けるための手続が必要です。

Q10:研究集会(学会)が開催されるに当たり、発明が掲載された予稿集が学会発表に先立って発行

(Webなどで)され、その後、その学会において発表されました。予稿集への掲載と学会発表

のそれぞれについて発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続が必要ですか?

A10:予稿集に掲載された内容よりも詳細な内容で学会発表を行った場合には、その発明は、予稿集

に掲載された発明と同一とみなすことができない場合が多いと考えられます。その場合には、予

稿集に掲載された発明と学会発表によって公開された発明のそれぞれについて規定の適用を受け

るための手続を行うことをお勧めします 。

Q11:セミナーにおいて発明を発表し、発表後に第三者がその発表した発明と同じ発明を独自に発明

して特許出願し、その後に発表者が特許出願しました。このセミナーで発表した発明について本

規定の適用を受ければ、発表者の出願は前記第三者がした出願により拒絶されることはないので

しょうか?

A11:拒絶される可能性があります。

本規定の適用を受けても、出願日は遡りません。特許を受ける権利を有する者が出願をする前に、

第三者が独自に発明して特許出願した場合、前記特許を受ける権利を有する者がした出願は、そ

の第三者がした出願により拒絶される可能性があります。確実に権利を確保するためには、でき

るだけ早く出願することが望ましいといえます。

4)公開が複数にわたって行われた場合

発明の新規性の喪失の例外規定(平成23年9月改正、平成24年4月施行)

特許法第三十条特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。2 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明も、その該当

するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

Q1:特許出願時に新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を願書に記載しませんでしたが、

後日、補正により追加は可能でしょうか?

A1:願書の特記事項の欄への記載は、特許出願の時になされている必要があります。したがって、願

書の特記事項の補正により、新たに適用を受けようとする旨の記載を追加することはできません。

なお、願書の特記事項に「第2項」と記載すべきところを誤って「第1項」又は「第3項」と記載

したような場合は、誤記であることが明らかであれば、その項の番号を補正することができます。

Q2:「証明する書面」を特許出願の日から30日経過後に提出したらどのように扱われますか?

A2:規定される手続的要件を満たさないことになりますので、「証明する書面」の提出手続が却下さ

れることになります。

Q3:「証明する書面」が外国語である場合には、関連資料の翻訳文を提出する必要がありますか?ま

た必要がある場合、提出期限はありますか?

A3:特許出願の日から30日以内に、「証明する書面」に翻訳文を添付して提出することになります。

Q4:公開したことを証明する資料(客観的資料や第三者の証明書等)としてはどのようなものを提出

すればよいですか?

A4:証明する書面に記載した事項が事実であることを裏付けるための資料としては、例えば以下のよ

うなものが挙げられます。

・試験の実施:立会人等による証明書

・刊行物への発表:奥付ページ、目次ページ、発明が記載されたページ等のコピー

・電気通信回線を通じて公開:ウェブサイトのプリントアウト

・集会での発表:開催案内や発表プログラム冊子のコピー、主催者による証明書

・展示により公開:開催案内やプログラム、出品物のカタログ・パンフレット、

 出品ブースの写真などのコピー、主催者の証明書

・販売により公開:商品のチラシ、販売場所での写真等のコピー

・記者会見により公開:プレスリリースのコピー

・TV放送により公開:放送局のウェブサイトのプリントアウトなど

発明の新規性喪失の例外規定にかかるQ&A(代表例)特許庁のホームページより代表的なQ&Aを選んで、分かりやすく書きかえました。(更に多くのQ&A項目が、下記ウェブサイトに詳しく載っています。)http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/qa.pdf 発明の新規性喪失 Q & A 検索発明の新規性喪失Q & A 検索

1)証明全般について

Q5:発明の新規性を喪失した日(発明の公開日)とはどのよ

うな日ですか?

A5:特許出願前に発明が公然と知られたり、発明が記載され

た日が「発明の新規性を喪失した日」となります。

Q6:論文を投稿したらその時点で新規性は喪失するのです

か? なお、論文が掲載される雑誌はまだ発行されてい

ません。

A6:一般的に、論文を投稿した時点では、それが受け付けら

れても、不特定の人に投稿内容が知られる状態に置かれるものではありません。従って、通常は、

その投稿により発明が公然知られたものと扱わない、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受け

る必要はありません。(論文の受付者や審査員は守秘義務を負っていると考えられます)。

Q7:ウェブサイトに掲載される学術論文で発明を公開しましたが、その論文には雑誌の会員しかアク

セスできません。この場合でも、発明は新規性を喪失したことになるのですか?

A7:ウェブサイトへのアクセスにパスワードが必要であったり、アクセスが有料である場合でも、そ

の情報の存在及び存在場所を公衆が知ることができ、かつ、不特定の者がアクセス可能であれば、

公衆に利用可能な情報であるといえます。したがって、そこで公開された発明も、新規性を喪失

したことになり、新規性喪失の例外規定の適用を受ける必要があります。

2)公開された(新規性を喪失した)とは?

The University of Electro-CommunicationsINTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

54

早分かり特許法30条

P4 P5

Page 5: 30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³% 30 1 A +D z v Ç Ð ò l - 3 e ý H ¶ £ ½ z Ã Í æ%d z 9ÏÌ Ä ç0 ; ¿ ÐH

Q8:公開者の中に、特許を受ける権利を有する者以外の他者(学生など)が含まれている場合におい

ても新規性喪失の例外規定の適用を受けることができますか? 他者(学生など)は発明に係る

「単なる実験の補助者」です。

A8:発明の公開を依頼された者と特許を受ける権利者が一致していない場合(一部の者だけ一致して

いる場合も含む)には、権利者全員の意思に基づいて発明の公開が行われたこと(例えば、権利

者全員の同意に基づき依頼を受けた者が公開をしたことや、権利者の代表者が発明の公開をした

ことなど)を、事実に即して証明する書面に記載すれば受けることができます。

3)権利者と公開者との関係等について

Q12:発明者の意に反して公開されたという事情を出願前に知りました。本規定の適用を受けるため

には、特に、手続をすることなく出願しても問題ないでしょうか?

A12:意に反して新規性を喪失した日から6月以内に特許出願が行われていれば問題ありません。こ

の場合、特許出願の際に、この例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面及び特許出願

から30日以内の「証明する書面」の提出は必要ありませんが、意に反して公開された旨を意見

書や上申書等を通じて説明してください。

Q13:意に反して公開されたといえる具体例には何がありますか?

A13:特許を受ける権利を有する者(権利者)と公開者との間に秘密保持に関する契約があった、公

開者の脅迫等によった、ある日時までは公開しない旨約束していたにもかかわらず、その日時前

に公開された場合、等があります。

5)発明が意に反して公開された場合

Q9:公開が複数回にわたって行われた場合は、どのような手続きをすれば適用を受けることができま

すか?

A9-1:権利者が発明を複数の雑誌・論文などに掲載した、複数の発表会で公開した場合など、それぞ

れについて例外規定の適用を受ける必要があります。

A9-2:X学会で発明を発表した後、Y学会でもその発表を行うのであれば、そのY学会での発表につ

いても規定の適用を受けるための手続が必要です。

Q10:研究集会(学会)が開催されるに当たり、発明が掲載された予稿集が学会発表に先立って発行

(Webなどで)され、その後、その学会において発表されました。予稿集への掲載と学会発表

のそれぞれについて発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続が必要ですか?

A10:予稿集に掲載された内容よりも詳細な内容で学会発表を行った場合には、その発明は、予稿集

に掲載された発明と同一とみなすことができない場合が多いと考えられます。その場合には、予

稿集に掲載された発明と学会発表によって公開された発明のそれぞれについて規定の適用を受け

るための手続を行うことをお勧めします 。

Q11:セミナーにおいて発明を発表し、発表後に第三者がその発表した発明と同じ発明を独自に発明

して特許出願し、その後に発表者が特許出願しました。このセミナーで発表した発明について本

規定の適用を受ければ、発表者の出願は前記第三者がした出願により拒絶されることはないので

しょうか?

A11:拒絶される可能性があります。

本規定の適用を受けても、出願日は遡りません。特許を受ける権利を有する者が出願をする前に、

第三者が独自に発明して特許出願した場合、前記特許を受ける権利を有する者がした出願は、そ

の第三者がした出願により拒絶される可能性があります。確実に権利を確保するためには、でき

るだけ早く出願することが望ましいといえます。

4)公開が複数にわたって行われた場合

発明の新規性の喪失の例外規定(平成23年9月改正、平成24年4月施行)

特許法第三十条特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号のいずれかに該当するに至らなかつたものとみなす。2 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明も、その該当

するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明が前項の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

Q1:特許出願時に新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を願書に記載しませんでしたが、

後日、補正により追加は可能でしょうか?

A1:願書の特記事項の欄への記載は、特許出願の時になされている必要があります。したがって、願

書の特記事項の補正により、新たに適用を受けようとする旨の記載を追加することはできません。

なお、願書の特記事項に「第2項」と記載すべきところを誤って「第1項」又は「第3項」と記載

したような場合は、誤記であることが明らかであれば、その項の番号を補正することができます。

Q2:「証明する書面」を特許出願の日から30日経過後に提出したらどのように扱われますか?

A2:規定される手続的要件を満たさないことになりますので、「証明する書面」の提出手続が却下さ

れることになります。

Q3:「証明する書面」が外国語である場合には、関連資料の翻訳文を提出する必要がありますか?ま

た必要がある場合、提出期限はありますか?

A3:特許出願の日から30日以内に、「証明する書面」に翻訳文を添付して提出することになります。

Q4:公開したことを証明する資料(客観的資料や第三者の証明書等)としてはどのようなものを提出

すればよいですか?

A4:証明する書面に記載した事項が事実であることを裏付けるための資料としては、例えば以下のよ

うなものが挙げられます。

・試験の実施:立会人等による証明書

・刊行物への発表:奥付ページ、目次ページ、発明が記載されたページ等のコピー

・電気通信回線を通じて公開:ウェブサイトのプリントアウト

・集会での発表:開催案内や発表プログラム冊子のコピー、主催者による証明書

・展示により公開:開催案内やプログラム、出品物のカタログ・パンフレット、

 出品ブースの写真などのコピー、主催者の証明書

・販売により公開:商品のチラシ、販売場所での写真等のコピー

・記者会見により公開:プレスリリースのコピー

・TV放送により公開:放送局のウェブサイトのプリントアウトなど

発明の新規性喪失の例外規定にかかるQ&A(代表例)特許庁のホームページより代表的なQ&Aを選んで、分かりやすく書きかえました。(更に多くのQ&A項目が、下記ウェブサイトに詳しく載っています。)http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/qa.pdf 発明の新規性喪失 Q & A 検索発明の新規性喪失Q & A 検索

1)証明全般について

Q5:発明の新規性を喪失した日(発明の公開日)とはどのよ

うな日ですか?

A5:特許出願前に発明が公然と知られたり、発明が記載され

た日が「発明の新規性を喪失した日」となります。

Q6:論文を投稿したらその時点で新規性は喪失するのです

か? なお、論文が掲載される雑誌はまだ発行されてい

ません。

A6:一般的に、論文を投稿した時点では、それが受け付けら

れても、不特定の人に投稿内容が知られる状態に置かれるものではありません。従って、通常は、

その投稿により発明が公然知られたものと扱わない、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受け

る必要はありません。(論文の受付者や審査員は守秘義務を負っていると考えられます)。

Q7:ウェブサイトに掲載される学術論文で発明を公開しましたが、その論文には雑誌の会員しかアク

セスできません。この場合でも、発明は新規性を喪失したことになるのですか?

A7:ウェブサイトへのアクセスにパスワードが必要であったり、アクセスが有料である場合でも、そ

の情報の存在及び存在場所を公衆が知ることができ、かつ、不特定の者がアクセス可能であれば、

公衆に利用可能な情報であるといえます。したがって、そこで公開された発明も、新規性を喪失

したことになり、新規性喪失の例外規定の適用を受ける必要があります。

2)公開された(新規性を喪失した)とは?

The University of Electro-CommunicationsINTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

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早分かり特許法30条

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また、「発表の課目の欄」には、予稿集の発表論文名等を記載するようにしてください。

・論文発表会で配布するものであって、発明が含まれる論文発表要旨等には可能な限り「発表内容は

非公開扱い」、「当発表会外秘」等と記載することを推奨します。

これにより、発明をより安全に特許化することが可能になります。  

前述した特許法30条の新規性喪失の例外規定の適用と、この守秘義務を課すことに関してはその趣旨

が相反することになります。即ち、特許法30条の規定は公開(公知)してしまった技術を救済する規

定ですが、守秘義務を課してその記録を取ることは公開していないことの証明を得ることになります。

 知的財産部門では、(参加者名簿の署名を取れなかった場合などの対応として)必要に応じて特許法

30条規定を適用するかどうか、相談の上決めていきます。ただし、特許法30条規定を適用した出願

(発明)に関しては、海外に特許出願をする場合に制限があります。

 研究成果を発表するにあたって、日本、海外の特許をより安全に取得・維持するためにご協力をお願

いいたします。

論文発表等の内容に発明が含まれているものについて、特許出願を希望する際には“参加者名簿”を

発表資料、発明届出書とともにご提出下さい。“参加者名簿”を一種の「守秘義務契約書」として扱い、

特許出願から将来の特許維持まで知的財産部門で管理します。これによって安全な特許権の取得、維持

が可能になります。

論文発表等の内容に特許性がなく、特許出願をしないことになっても、その内容が将来の改良発明、

周辺発明にも繋がることなども考え一定期間保持しておいて下さい。少なくとも、論文発表等の内容が

他の理由等で公知になったり、特許出願にかかる要素がなくなるまで保持しておくことをお薦めします。

■ 論文発表等の会場で、参加者に守秘義務を課した後の“参加者名簿”の取り扱いについて

(1)仮に守秘義務の署名をすることを拒んだ方がいる場合

 本学職員に関しては、守秘義務の署名をするか否かに関わらず、「国立大学法人電気通信大学就業

規則」の第25条第三号において守秘義務が課せられています。また就業規則の第28条において、

知的財産の取扱に関しては「国立大学法人電気通信大学職員の職務発明等に関する規程」によること

と規定されており、該規定の第16条においても秘密を守

るべきことが規定されております。

 従って、本学職員からの署名は確認的なもので、守秘義

務のための署名は学生と外部の方にお願いしているもので

す。

 知的財産部門としては、署名をお願いするということの

他に、発表時のスライドと配布資料に「本件発表は非公開

扱い」と記載することにより、発表内容が秘密扱いである

ことを周知してもらうようにしています。

 このような措置により、仮に署名をいただくことが出来

なかった発明者にとっても、後に守秘扱いの発表であった

ことの立証が容易になるものと考えています。

(2)守秘義務に違反した場合の罰則について

「国立大学法人電気通信大学職員懲戒規程」には、懲戒処

分の指針として「秘密漏えい」に関する条項があり、守秘義務に違反した場合の罰則については、こ

の規定に従います。なお、担当の職員は、学生に守秘義務を課した場合、その管理をきちんとする必

要があります。

■ 守秘義務違反等について

 本学では、特許出願を予定するときには、論文等の発表前に出願を完了させることを原則としていま

すが、現実としてその発表前に出願を完了させることが困難な場合もありえます。

 前記の通り、新規性喪失の例外規定の適用によって、発表後の特許出願であっても、他に先行技術等

がなければ日本においては権利化が可能です。しかし、その後外国にも出願する場合には、このような

規定がないほとんどの国においては権利化が難しくなります。

 そこで、本学の知的財産部門は、論文の発表内容に発明が含まれるものと思われ、その発明を特許出

願する予定の技術については、新規性を喪失せずして研究成果を発表する方法として、下記の「守秘義

務を課す」手段を推奨しています。

 出席者の方々(出席の学生なども)に守秘義務に同意していただければ今回の発表は法律上「未公

表」となり、新規性喪失の例外規定の適用の必要はなくなる上、他国における権利化の制限もなくなり

ます。

 なお、本学の職員の方に関しては、就業規則等において守秘義務があるとされています。発表者から

「発表内容が非公開扱い」である旨の意思表示があった場合、情報の取り扱いにご注意下さい。

[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘

可能な場合には記載下さい

[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘

可能な場合には記載下さい

日時:平成○年○月○○日(火) ○○:○○~ ○○:○○会場: B会場(西212)守秘義務のある課目:

①発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××②発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××

○○ 工学科卒業論文発表会 参加者名簿

私は、本発表会にて知り得た内容を、○○期間(例えば3ヶ月間)守秘し、第三者に漏洩しないことを約束いたします。

署名 所属

特許出願前の守秘のお願い

日時:平成○年○月○○日(火) ○○:○○~ ○○:○○会場: B会場(西212)守秘義務のある課目:

①発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××②発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××

○○ 工学科卒業論文発表会 参加者名簿

私は、本発表会にて知り得た内容を、○○期間(例えば3ヶ月間)守秘し、第三者に漏洩しないことを約束いたします。

署名 所属

特許出願前の守秘のお願い

 電気通信大学では、卒論・修論

発表会等で発表された内容(発

明)を特許出願するときには、その

内容が、第三者には公開されてい

ないことを示すために、右の例のよ

うに守秘義務に同意する書類を残

すことを推奨しています。

卒業論文発表等でのプログラム(発表会要旨集)の表記について

特許出願前の卒業論文・修士論文発表等についての守秘義務■ 発表の会場で参加者への「守秘義務」について

・参加者名簿(秘密保持して戴く旨

を記載したもの)への署名をお願

いして下さい。

・可能な限り、論文発表会参加者に

発表内容のうちどの範囲が発明に

当たるのかを説明し、その 内容を

一定期間(例えば、3ケ月程度)

にわたっては、「第三者に公表し

ない」約束をして下さい。

 これにより、発明をより安全に特

許化することが可能になります。

・なお、卒業論文発表会等で特許に

からむ可能性がある発表が複数あ

る場合には、一つの名簿にまとめ

て署名して頂くことでも構いませ

ん。

 この場合、右記署名書類の「発明

名称」と「発表者」の欄を必要分

だけ増やして下さい。

■「守秘義務を課す」ための具体的な書式<参加者名簿ひな型>

The University of Electro-CommunicationsINTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

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早分かり特許法30条

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また、「発表の課目の欄」には、予稿集の発表論文名等を記載するようにしてください。

・論文発表会で配布するものであって、発明が含まれる論文発表要旨等には可能な限り「発表内容は

非公開扱い」、「当発表会外秘」等と記載することを推奨します。

これにより、発明をより安全に特許化することが可能になります。  

前述した特許法30条の新規性喪失の例外規定の適用と、この守秘義務を課すことに関してはその趣旨

が相反することになります。即ち、特許法30条の規定は公開(公知)してしまった技術を救済する規

定ですが、守秘義務を課してその記録を取ることは公開していないことの証明を得ることになります。

 知的財産部門では、(参加者名簿の署名を取れなかった場合などの対応として)必要に応じて特許法

30条規定を適用するかどうか、相談の上決めていきます。ただし、特許法30条規定を適用した出願

(発明)に関しては、海外に特許出願をする場合に制限があります。

 研究成果を発表するにあたって、日本、海外の特許をより安全に取得・維持するためにご協力をお願

いいたします。

論文発表等の内容に発明が含まれているものについて、特許出願を希望する際には“参加者名簿”を

発表資料、発明届出書とともにご提出下さい。“参加者名簿”を一種の「守秘義務契約書」として扱い、

特許出願から将来の特許維持まで知的財産部門で管理します。これによって安全な特許権の取得、維持

が可能になります。

論文発表等の内容に特許性がなく、特許出願をしないことになっても、その内容が将来の改良発明、

周辺発明にも繋がることなども考え一定期間保持しておいて下さい。少なくとも、論文発表等の内容が

他の理由等で公知になったり、特許出願にかかる要素がなくなるまで保持しておくことをお薦めします。

■ 論文発表等の会場で、参加者に守秘義務を課した後の“参加者名簿”の取り扱いについて

(1)仮に守秘義務の署名をすることを拒んだ方がいる場合

 本学職員に関しては、守秘義務の署名をするか否かに関わらず、「国立大学法人電気通信大学就業

規則」の第25条第三号において守秘義務が課せられています。また就業規則の第28条において、

知的財産の取扱に関しては「国立大学法人電気通信大学職員の職務発明等に関する規程」によること

と規定されており、該規定の第16条においても秘密を守

るべきことが規定されております。

 従って、本学職員からの署名は確認的なもので、守秘義

務のための署名は学生と外部の方にお願いしているもので

す。

 知的財産部門としては、署名をお願いするということの

他に、発表時のスライドと配布資料に「本件発表は非公開

扱い」と記載することにより、発表内容が秘密扱いである

ことを周知してもらうようにしています。

 このような措置により、仮に署名をいただくことが出来

なかった発明者にとっても、後に守秘扱いの発表であった

ことの立証が容易になるものと考えています。

(2)守秘義務に違反した場合の罰則について

「国立大学法人電気通信大学職員懲戒規程」には、懲戒処

分の指針として「秘密漏えい」に関する条項があり、守秘義務に違反した場合の罰則については、こ

の規定に従います。なお、担当の職員は、学生に守秘義務を課した場合、その管理をきちんとする必

要があります。

■ 守秘義務違反等について

 本学では、特許出願を予定するときには、論文等の発表前に出願を完了させることを原則としていま

すが、現実としてその発表前に出願を完了させることが困難な場合もありえます。

 前記の通り、新規性喪失の例外規定の適用によって、発表後の特許出願であっても、他に先行技術等

がなければ日本においては権利化が可能です。しかし、その後外国にも出願する場合には、このような

規定がないほとんどの国においては権利化が難しくなります。

 そこで、本学の知的財産部門は、論文の発表内容に発明が含まれるものと思われ、その発明を特許出

願する予定の技術については、新規性を喪失せずして研究成果を発表する方法として、下記の「守秘義

務を課す」手段を推奨しています。

 出席者の方々(出席の学生なども)に守秘義務に同意していただければ今回の発表は法律上「未公

表」となり、新規性喪失の例外規定の適用の必要はなくなる上、他国における権利化の制限もなくなり

ます。

 なお、本学の職員の方に関しては、就業規則等において守秘義務があるとされています。発表者から

「発表内容が非公開扱い」である旨の意思表示があった場合、情報の取り扱いにご注意下さい。

[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘

可能な場合には記載下さい

[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘[ A 0 1 ] ********の研究

○○工学科 ○○研究室0 8 1 2 3 4 5 電通大 太郎

氏名 題目

平成○○年度 電気通信大学 ○○ 工学科○○講座 卒業研究発表会プログラム平成○年○月○○日(火) B会場(西212)

研究責任者: ○○ ○○研究室

当発表会外秘

可能な場合には記載下さい

日時:平成○年○月○○日(火) ○○:○○~ ○○:○○会場: B会場(西212)守秘義務のある課目:

①発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××②発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××

○○ 工学科卒業論文発表会 参加者名簿

私は、本発表会にて知り得た内容を、○○期間(例えば3ヶ月間)守秘し、第三者に漏洩しないことを約束いたします。

署名 所属

特許出願前の守秘のお願い

日時:平成○年○月○○日(火) ○○:○○~ ○○:○○会場: B会場(西212)守秘義務のある課目:

①発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××②発表の課目: ×××××× 発表者:○○研究室 ××××

○○ 工学科卒業論文発表会 参加者名簿

私は、本発表会にて知り得た内容を、○○期間(例えば3ヶ月間)守秘し、第三者に漏洩しないことを約束いたします。

署名 所属

特許出願前の守秘のお願い

 電気通信大学では、卒論・修論

発表会等で発表された内容(発

明)を特許出願するときには、その

内容が、第三者には公開されてい

ないことを示すために、右の例のよ

うに守秘義務に同意する書類を残

すことを推奨しています。

卒業論文発表等でのプログラム(発表会要旨集)の表記について

特許出願前の卒業論文・修士論文発表等についての守秘義務■ 発表の会場で参加者への「守秘義務」について

・参加者名簿(秘密保持して戴く旨

を記載したもの)への署名をお願

いして下さい。

・可能な限り、論文発表会参加者に

発表内容のうちどの範囲が発明に

当たるのかを説明し、その 内容を

一定期間(例えば、3ケ月程度)

にわたっては、「第三者に公表し

ない」約束をして下さい。

 これにより、発明をより安全に特

許化することが可能になります。

・なお、卒業論文発表会等で特許に

からむ可能性がある発表が複数あ

る場合には、一つの名簿にまとめ

て署名して頂くことでも構いませ

ん。

 この場合、右記署名書類の「発明

名称」と「発表者」の欄を必要分

だけ増やして下さい。

■「守秘義務を課す」ための具体的な書式<参加者名簿ひな型>

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早分かり特許法30条

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Page 8: 30 - University of Electro-Communications · 2012. 6. 26. · PATENT ACT ARTICLE 2 7H - I 1 ¸ ³% 30 1 A +D z v Ç Ð ò l - 3 e ý H ¶ £ ½ z Ã Í æ%d z 9ÏÌ Ä ç0 ; ¿ ÐH

平成23年9月改定 24年4月施行の改正法

論文発表後の出願と発明者の注意点

貴方の発表は大丈夫か?PATE

NT AC

TAR

TICL

E 30

大学で必要な特許知識論文を発表する人の必読マニュアル

早分かり特許法30条新規性喪失の例外規定

守秘義務の取り交わし卒論・修論の発表にあたり

海外出願の仕方JST申請の準備

電 気 通 信 大 学

産学官連携センター

知 的 財 産 部 門

〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1Tel 042-443-5838 Fax 042-443-5839 http//www.uec.ac.jp/

外国出願の仕方のあらまし■ 公表・発表の有無による外国出願の手順

●公表・公開などをしていない発明

1年以内

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

6月以内6月以内

優先権主張

特許登録

優先権主張

PCT出願

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

優先権主張

特許登録

優先権主張

国内特許出願

30月(2年6月)以内

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出

願移行

優先権主張

特許登録

優先権主張

審査後に

欧州、中国、韓国などの

特許

6月以内

論文、書籍シンポジュウム

Web公開

1年以内

国内特許出願

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

6月以内

豪 特許

優先権主張第30条申請書類

※1先願主義への移行/施行日:2013年3月16日  米国特許改正法§102(b)(1)、(2)

日本特許(自己指定)

優先権主張

欧州、中国、韓国などの

特許

6月以内

論文、書籍シンポジュウム

Web公開

国内特許出願

30月(2年6月)以内

海外特許出願

PCT国際出願

国際予備審査報告の受領

JSTへ出願

支援申請

JST各国移行

支援申請

各国への出願移行

米、カナダ、豪 特許

優先権主張第30条申請書類

日本特許(自己指定)

優先権主張

 出願前に論文・刊行物等によって公表、発表が行われなかった場合と、行った場合の、PCT出願の手順と権利化の

可能性を説明します。

 また、大学が外国出願をするにあたり、独立行政法人科学技術振興機構(JST)へ、その手続き費用の支援を申請

する手順についても合わせて説明します。

 なお、以下のチャートで示される出願手法以外もありますが、ここでは標準的なPCT出願を例にとって図表にし

ました。

JSTの費用支援を得て、日本の特許出願をもとにPCT出願をおこない、PCT機関の特許性にかかる調査結果を得た後で、各国での審査を得て権利化を図る一般的な手順を示します。

●公表・公開などをした発明上記の一般的な手順に、更に論文発表をおこなったことによる行程が加わります。JSTへの申請は発表などから6月以内となります。日本の出願の前に発表を行うと、多くの国では特許が得られなくなります。

PCT出願

※1

●米、カナダ、豪での特許取得:これらの国で出願する場合、その出願日より1年以内の自己の公表等どこで有っても権利化が可能です。但し、JSTの支援が受けられなくなることもありますのでご注意下さい。 The University of Electro-Communications Intellectual Property Office

早分かり特許法30条


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