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2020.3.13 東大まちづくり 大学院 社会人のための修士課程|都市持続再生学コース 東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 1 15 開講式:第13期生18名が入学 お祝いのことば 皆さん、ご入学おめでとうございます。現在、都市工学専攻の専攻長 を仰せつかっている横張です。今日は、以前から台湾の大学で講演を 頼まれ、やむなく欠席させていただきますので、代わりに飯田先生に メッセージを託したいと思います。 世界は今、狭小で近視眼的なナショナリズムが横行するなか、どんど んと対立構図が深まる様相にあります。ジョージ・オーウェルがかつて 「1984年」で描いたような、国家間、民族間、宗派間、様々なレベルで、 対立を煽ることで集団や国家の内部の矛盾や不満に蓋をして、その統 一を図ろうとする、きわめて危険な思想が世界を席巻しつつあります。 都市とは、いろいろな人々が、いろいろな価値観や目的のもと、呉越 同舟、肩を寄せ合って暮らす空間です。そこでは、お互いがお互いを尊重 し合い、多少の不満や齟齬には目をつむり、いわばお互いの最大公約 数を求めながら暮らすことが求められます。対立構図を基調にしたら、 都市は絶対に成立しません。 人類が都市を形成するようになって、すでに何千年の月日が流れてい ます。私達はその経験から、どうやったらお互いの対立を越え、ひとつ の空間を共有しながら生きていったらよいかを学んできたはずです。今 こそその叡智を、社会のあり方全体に反映していくことが求められるの ではないでしょうか。 今、都市計画を勉強することは、つまりはそうした今日的な社会課題 に答える視座を養うことなのではないかと思います。志を高く持ち、一 緒に頑張っていきましょう。 2019年9月24日、工学部14号館にて、記念すべき第13期生のための開講式およびガイダンスが執り行われまし た。今年は入試に合格した18名の新入生がまち大に加わりました。都市工学専攻、社会基盤専攻、建築学専攻、およ びまちづくり大学院を代表する教員からの祝辞をご紹介します。 都市工学専攻 横張 真 教授(専攻長) 開講式での集合写真─新入生とまちづくり大学院教員
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Page 1: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

2020.3.13

東大まちづくり大学院社会人のための修士課程|都市持続再生学コース東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻

18

15

開講式:第13期生18名が入学

お祝いのことば

「生活者視点から考えるスマートシティとSDGsが描く未来」の開催

「人生100年時代の都市・インフラ整備」の開催

「水道事業の広域化と官民連携の展望」の開催特別セミナー2019 ①

「建築と交通は都市を3―五輪は東京を二度変えるか」の開催

イブニングセミナー2020 4月27日開催予定

特別セミナー2019 ②

 イブニングセミナー2019 ①

 イブニングセミナー2019 ②

2020年度 東大まちづくり大学院入試情報

 皆さん、ご入学おめでとうございます。現在、都市工学専攻の専攻長を仰せつかっている横張です。今日は、以前から台湾の大学で講演を頼まれ、やむなく欠席させていただきますので、代わりに飯田先生にメッセージを託したいと思います。 世界は今、狭小で近視眼的なナショナリズムが横行するなか、どんどんと対立構図が深まる様相にあります。ジョージ・オーウェルがかつて「1984年」で描いたような、国家間、民族間、宗派間、様々なレベルで、対立を煽ることで集団や国家の内部の矛盾や不満に蓋をして、その統一を図ろうとする、きわめて危険な思想が世界を席巻しつつあります。 都市とは、いろいろな人々が、いろいろな価値観や目的のもと、呉越同舟、肩を寄せ合って暮らす空間です。そこでは、お互いがお互いを尊重し合い、多少の不満や齟齬には目をつむり、いわばお互いの最大公約数を求めながら暮らすことが求められます。対立構図を基調にしたら、都市は絶対に成立しません。 人類が都市を形成するようになって、すでに何千年の月日が流れています。私達はその経験から、どうやったらお互いの対立を越え、ひとつの空間を共有しながら生きていったらよいかを学んできたはずです。今こそその叡智を、社会のあり方全体に反映していくことが求められるのではないでしょうか。 今、都市計画を勉強することは、つまりはそうした今日的な社会課題に答える視座を養うことなのではないかと思います。志を高く持ち、一緒に頑張っていきましょう。

2020年度の入学試験を右記のように行います。募集要項の確認方法など詳しくは、東大まちづくり大学院のホームページをご覧ください。

募集要項・入学志望者案内Web公開日 4月1日(水)説 明 会:4月 6日(月)19:00~ 本郷キャンパス工学部14号館141講義室出願時期:5月 8日(金)~15日(金)入学試験:6月 20日(土)、 入学式:9月24日(木)

http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/

 2019年9月24日、工学部14号館にて、記念すべき第13期生のための開講式およびガイダンスが執り行われました。今年は入試に合格した18名の新入生がまち大に加わりました。都市工学専攻、社会基盤専攻、建築学専攻、およびまちづくり大学院を代表する教員からの祝辞をご紹介します。

 2019年4月4日、イブニングセミナー「生活者視点から考えるスマートシティとSDGsが描く未来」が開催されました。前半は、民間の立場で実務にあたっている薗田綾子氏(クレアン/サステナビリティ日本フォーラム)から「生活者視点のSDGsが描く未来」と題して、ご自身の実務をご紹介していただくとともに、そうした経験から、SDGsの実現には個々の価値観における転換がいかに重要であるかを講演頂きました。後半は、出口敦教授(新領域創成科学研究科)から「次世代スマートシティと生活者・地域をつなぐ」、小泉秀樹教授(先端科学技術センター/都市工学専攻)から「スマートシティ政策の現状と課題」と題して、それぞれ異なる論点からスマートシティの事例紹介と提言を頂きました。最後に、登壇者と来場者を交えて総合討論が行われました。限られた時間の中で、いまなぜ「生活者視点」が重要視されるのか、持続可能な社会の実現に向けてなすべきこと・あるべき考え方とは何かについて充実した議論がなされ、活況のうちに講演は結びとなりました。

 2019年5月27日、まちづくり大学院の特別セミナーの「人生100年時代の都市・インフラ整備」を開催しました。寄付企業の方や卒業生も多数来場し、会場は満員の聴衆の熱気に包まれました。セミナーには和泉洋人氏(内閣総理大臣補佐官)にご登壇頂き、「人生100年時代」を迎える我が国の都市のありかたについて、様々な視点から話題提供を頂きました。セミナーの前半では年齢・健康状態・ライフスタイル・国籍・価値観などあらゆる面で多様化が劇的に進んでいく社会としての「人生100年時代」の意味をご紹介頂き、新しい社会=Society 5.0を実現する都市のインフラ整備に求められる機能についてご紹介頂きました。また近年活発化しているスマートシティ・スーパーシティ構想を支える様々な都市のインフラについて話題提供頂き、エネルギーシステム、自動運転、宇宙空間利用などの取組みについてご紹介頂きました。後半では科学技術イノベーションに係る政府の取組みや、応用的研究からより基礎的かつチャレンジ度の高い「ムーンショット型研究開発」の制度の推進について話題提供を頂き、大盛況のうちに閉会しました。

 2019年7月16日、特別セミナー「水道事業の広域化と官民連携の展望」が開催されました。本セミナーでは、都市圏・広域での連携をテーマとする同大学院の講義「持続可能な都市圏計画論」の時間を利用して、近年、政策的な議論が活発に行われている水道の広域化と官民連携について取り上げ、一般公開の講義を行いました。滝沢智教授(都市工学専攻)からの基調講演「水道法改正を踏まえたこれからの水道広域化と官民連携」の後、奈良県水道局の浦山博幸氏、群馬東部水道企画業団の篠木達哉氏、メタウォーター株式会社の川上貴幸氏、水ingエンジニアリング株式会社の鹿島田浩二氏の4名をゲストに迎え、官・民それぞれの立場からの取組みをご紹介頂きました。最後に、全員で自治体間・官民の連携のあり方について、活発な総合討論を行いました。

 2019年11月28日、原田昇教授(都市工学専攻)の講義「都市の交通政策」の一環として特別セミナー「建築と交通は都市を 3―五輪は東京を二度変えるか」を開催しました。前半は、大学・公共の立場で東京五輪の交通計画に取り組まれている、赤羽弘和教授(千葉工業大学)、森昌文氏(前国土交通省)、苦瀬博仁教授(流通経済大学)からそれぞれ、渋滞させない交通管理やロードプライシング、ロジスティクスといった交通計画論についてご紹介頂きました。後半は、それぞれ建築・デザインの現場でご活躍されている、五十嵐太郎氏(建築評論家)、千葉学教授(建築学専攻)、乾久美子教授(横浜国立大学)から東京の都市文化像に関する話題提供を頂きました。最後に、登壇者・来場者を交えた総合討議のなかで、五輪による都市への政治的・経済的影響や、建築と交通が都市に与える影響について活発な議論が交わされました。

開催日時:2020年4月27日(月)19:00-21:00(予定)会  場:工学部14号館141教室登 壇 者:久田嘉章 教授(工学院大学)、 中嶋利隆(三菱地所(株))、 廣井悠准教授(東京大学)テ ー マ:「大都市とレジリエンス」(予定)

※この情報は3月1日時点での情報を掲載しています。最新情報は、まちづくり大学院HPをご覧ください。

都市工学専攻 横張 真 教授(専攻長)

開講式での集合写真─新入生とまちづくり大学院教員

上:会場の様子 下:総合討論

■発行:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 都市持続再生学コース・同寄付講座 〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1 TEL. 03-5841-8362■[email protected] ■http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/

Page 2: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生4名、11期生4名の計11名が修了しました。2019年3月修了の10期生6名を合わせると17名となり、これまでの修了者は計161名となりました。17名の修了生の論文題目は以下のとおりです。国内外における持続可能な都市地域づくり・まちづくりに関する、多種多様な修士論文が揃いました。学位授与式終了後は、11期生主催による謝恩会(よいまち会)が開催されました。寄付企業の皆様にも多数ご参加頂き、交流を深めました。

 皆さん、ご入学おめでとうございます。東京大学社会基盤学専攻長の羽藤と申します。 僕自身、専門は交通の分野をやっています。交通は今、自動運転やMaaSなど非常に新しい分野が出てきており、今まで私が学んできたことでは対応しきれないことが増えてきています。そういう時にどうやればいいのか、私が今まで学んできた古いことを活かすのか、新しいことを学び考えるのか、いろいろなやり方があると思います。皆さまにおかれましても、それぞれ短かったり長かったりと実務の経験を様々積まれているなかで、挫折感・物足りなさ・届かない感覚といったものを色々お持ちになり、このまちづくり大学院に入学したのではないかと思います。そういった皆様と同じように、私自身も挑戦していきたいという気持ちがあります。 皆さんにお伝えしたいもう一つのことは、最近見た映画で、ニューヨーク公共図書館に関するワイズマン監督のドキュメンタリー映画に関することです。彼は、現場で起こっている最先端のことをドキュメンタリーで撮影します。ニューヨーク公共図書館の何が最先端かというと、たしかに公共として行政がお金を出しているけれど、建てたのは行政ではなく民間であるという点です。僕自身も市立図書館だと勘違いしていました。日本だと行政がやっているものが公共だけど、アメリカでは異なり、市民の発意によるものに行政が支援していま

す。ニューヨーク公共図書館では本を貸すだけでなく、図書館の職員がそれぞれの地区に行って、地区のコミュニティの歴史を教え、利用者の人たちに学ぶきっかけを与えています。そういうことに裏打ちされてニューヨークという場所があり、一つひとつの活動が社会を構成していて、アメリカという国が成り立っていると思います。 すなわち、まちづくり大学院がいかなるものを目指すのかは、先生方や先輩方、そして今から学ぼうとしている皆さんにかかっていると思います。地域における、今はまだ日本にない活動が皆さん自身の活動によって生まれてきて、それが重層的にまちづくりのあり方になっていきます。そういった行為を僕自身期待しているし、僕自身も協力していきたいと思っています。本当におめでとうございます。

 皆さん、ご入学おめでとうございます。建築学専攻の加藤と言います。おそらく皆さんは、現代の日本の社会が大きな変化の時代にあることを強く実感していることと思います。僕自身は建築の歴史を専門としていて、普段はヨーロッパの建築の歴史を研究しています。歴史家の目線から、現代の日本が迎えている変化は、10年20年単位の不況の変化ではなく、おそらくもっともっと長いスパンの変化が起きていると思っています。例えば19、20世紀は地球規模の圧倒的な人口増加の変化でしたし、20世紀の都市や建築の問題は人口増加を背景とした問題軸を抱えていましたが、いまは人口が減少傾向にあり、問題軸のベクトルそのものが反対を向いてきています。 そういうなかで、皆さんはそれぞれの場所や、それぞれのお仕事・フィールドをお持ちの中で、まちづくり大学院で研究をしようというモチベーションで入学したと思います。こうした大きな変化を考えていくには、普段ご自身が抱えているフィールドやそのまち固有の問題と、そこから大きく俯瞰して、時間的にも空間的にも、大きく幅を取ってその問題を見つめなおすことが重要です。個人的には、今起こりつつある変化というのは、建築の理論を考えていくと16世紀から始まった500年くらいのフェーズが変わり始めている、そのくらい大きな変

化ではないかと思います。個人的な研究の話をすると、従来の建築史は、いつ頃この建築が建てられたのか、という話をしていましたが、それは過去の建築を扱っているようにみえて、新築された年代のことだけであり、いわば新築の歴史でした。ですがいま求められる建築史は、過去に建てられた建築がどのように使われ、どのように変化してきたかであり、こうした研究がホットな領域になっています。研究がそういうところに目線をうつし始めているということは、現代の社会がそういうことを求め始めていることと全く同義だろうと思っています。 皆さんはこれから研究をしていくことになると思いますが、ぜひご自身のフィールドを持ちながら大学という場で研究できることを活かして、ミクロにご自身の問題意識をみる目線と、マクロに広い目線で研究を育てて、大きくしていければと思います。本日はどうも、おめでとうございました。

 開講にあたって、2年間注意してほしいことを3点申し上げます。その前に、皆さんは倍率の高いまちづくり大学院に合格して入学したということを意識して、ぜひここから頑張っていただきたいと思います。加えて、お仕事と学業を両立するうえで、仕事先の方々にもいろいろご協力を得る必要があると思います。それらをふまえて、恵まれているということを意識していただければと思います。さらに、バランスも大事です。「このことをやりたい」と思ってまちづくり大学院に入学してきたのはもちろん立派だと思いますが、既存の研究をレビューして、そのなかでご自身の研究を位置づけることも大切です。ご自身がやりたいことと、研究としての新規性とのバランスに気を付けていただきたいと思います。 コース長としての一つ目のお願いとして、ここには人生のベテランの方もいるかもしれませんが、まちづくり大学院では新入生です。久しぶりの大学だと思うので、生活のリズムが変わったり、分からないことも多かったりすることと思います。新入生らしく、何か分からないことがあったら、遠慮せず事務の人や先生に色々聞いてほしいと思います。 二つ目は、生活リズムの変化に関連して体調を崩すこともあるかもしれません。もちろんそうならないことが

一番ですが、大学にはそのための相談室もあるので、そういうときも周囲に相談していただきたいと思います。 三つ目は、長期履修を選択した方も少なくないとは思いますが、土曜日の演習はできるだけ同期の人と頑張って、協力してほしいと思います。今まで多くの学生の方を見てきましたが、土曜日の演習が同期の方 と々仲良くなれる最初のとっかかりだと思います。仕事の関係上、履修が長引くこともあるかもしれませんが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 この大学院では、まちづくり大学院の仲間や講義をしていただく先生方、まちづくり大学院の先輩方がいらっしゃいます。先輩方がやるイベントもありますし、我々都市工学専攻のイベントもたくさんあるので、そうしたネットワークを十分に利用し、そこで吸収した色々なものを研究に活かしてください。ここにいる皆さんは、昼の大学院学生と比べて多様な方々がいらっしゃると思います。その環境のなかで様々な議論を交わせば刺激もあるはずです。卒業生の多くは新しい自分を見つけて卒業していきますので、皆さんも今より数段上のステップを見つめて、ネットワークを作ってください。おめでとうございました、頑張ってください。

2019年度秋季学位授与式・よいまち会12年間で修了生が161名に

謝恩会(よいまち会)での集い

まちづくり大学院原田 昇 教授(コース長)

社会基盤学専攻羽藤 英二 教授

(専攻長)

建築学専攻加藤 耕一 教授

(専攻長) まちづくり大学院生の修士論文【2019年3月修了】・ネパール国カトマンズ盆地における都市化の進展と地震災害による建物脆弱性の分析を踏まえた都市防災政策に関する研究

・東京都心部のフードデザート問題  ─港区麻布・高輪エリアにおける食料品店への経済的アクセス困難性に着目して─・行政主導による戦略的市街地再生の手法  ─豊島区池袋東地域の事例分析を通じて─・土地の高容積利用・老朽建物建替え促進・固有文化資源保全を目的とした容積移転の効果に関する研究  ─八重洲等地区における特例容積率適用地区制度の活用を例として─・東京都市圏の時間制約の強い共働き子育て世帯の居住地満足度からみた都市整備の在り方に関する基礎研究・中規模地方都市の都市基盤経費を適正値に収める土地利用のあり方

【2019年9月修了】・まちづくり視察の実態に関する研究  ─初期観光まちづくり論の地平をのぞんで─・スポンジ化が著しい郊外住宅地における地域住民の居場所の形成初動期に係る研究  ─横須賀市谷戸地域をケーススタディとして─・公有地処分とまちづくりの連携に関する研究  ─官民対話の導入による効果に着目して─・聴竹居とその一帯の住宅地の関係性に関する研究  ─住宅地の形成過程と自主規範の継承・変容に着目して─・市街化区域内農地の住宅系用途転用における人口構造への影響に関する研究  ─東京都練馬区大泉地区を対象として─・鉄道事業者による沿線郊外における地域コミュニティ拠点の整備に関する研究  ─首都圏大手私鉄の取組みに着目して─・マンション管理組合運営とコミュニティ形成  ─中規模団地の建替を事例として─・ニューカマーを中心としたエスニックビジネスによる商店街活性化に関する研究   ─多文化共生型まちづくりの視点から─・容積消化型不動産が周辺住宅地に与える影響について・シードル産業の発展プロセスと地域活性化に向けた活動の連鎖に関する研究  ─青森県、長野県を対象として─・耕作放棄地を利活用したワイン産地形成過程に関する研究  ─長野県東御市を事例として─

Page 3: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生4名、11期生4名の計11名が修了しました。2019年3月修了の10期生6名を合わせると17名となり、これまでの修了者は計161名となりました。17名の修了生の論文題目は以下のとおりです。国内外における持続可能な都市地域づくり・まちづくりに関する、多種多様な修士論文が揃いました。学位授与式終了後は、11期生主催による謝恩会(よいまち会)が開催されました。寄付企業の皆様にも多数ご参加頂き、交流を深めました。

 皆さん、ご入学おめでとうございます。東京大学社会基盤学専攻長の羽藤と申します。 僕自身、専門は交通の分野をやっています。交通は今、自動運転やMaaSなど非常に新しい分野が出てきており、今まで私が学んできたことでは対応しきれないことが増えてきています。そういう時にどうやればいいのか、私が今まで学んできた古いことを活かすのか、新しいことを学び考えるのか、いろいろなやり方があると思います。皆さまにおかれましても、それぞれ短かったり長かったりと実務の経験を様々積まれているなかで、挫折感・物足りなさ・届かない感覚といったものを色々お持ちになり、このまちづくり大学院に入学したのではないかと思います。そういった皆様と同じように、私自身も挑戦していきたいという気持ちがあります。 皆さんにお伝えしたいもう一つのことは、最近見た映画で、ニューヨーク公共図書館に関するワイズマン監督のドキュメンタリー映画に関することです。彼は、現場で起こっている最先端のことをドキュメンタリーで撮影します。ニューヨーク公共図書館の何が最先端かというと、たしかに公共として行政がお金を出しているけれど、建てたのは行政ではなく民間であるという点です。僕自身も市立図書館だと勘違いしていました。日本だと行政がやっているものが公共だけど、アメリカでは異なり、市民の発意によるものに行政が支援していま

す。ニューヨーク公共図書館では本を貸すだけでなく、図書館の職員がそれぞれの地区に行って、地区のコミュニティの歴史を教え、利用者の人たちに学ぶきっかけを与えています。そういうことに裏打ちされてニューヨークという場所があり、一つひとつの活動が社会を構成していて、アメリカという国が成り立っていると思います。 すなわち、まちづくり大学院がいかなるものを目指すのかは、先生方や先輩方、そして今から学ぼうとしている皆さんにかかっていると思います。地域における、今はまだ日本にない活動が皆さん自身の活動によって生まれてきて、それが重層的にまちづくりのあり方になっていきます。そういった行為を僕自身期待しているし、僕自身も協力していきたいと思っています。本当におめでとうございます。

 皆さん、ご入学おめでとうございます。建築学専攻の加藤と言います。おそらく皆さんは、現代の日本の社会が大きな変化の時代にあることを強く実感していることと思います。僕自身は建築の歴史を専門としていて、普段はヨーロッパの建築の歴史を研究しています。歴史家の目線から、現代の日本が迎えている変化は、10年20年単位の不況の変化ではなく、おそらくもっともっと長いスパンの変化が起きていると思っています。例えば19、20世紀は地球規模の圧倒的な人口増加の変化でしたし、20世紀の都市や建築の問題は人口増加を背景とした問題軸を抱えていましたが、いまは人口が減少傾向にあり、問題軸のベクトルそのものが反対を向いてきています。 そういうなかで、皆さんはそれぞれの場所や、それぞれのお仕事・フィールドをお持ちの中で、まちづくり大学院で研究をしようというモチベーションで入学したと思います。こうした大きな変化を考えていくには、普段ご自身が抱えているフィールドやそのまち固有の問題と、そこから大きく俯瞰して、時間的にも空間的にも、大きく幅を取ってその問題を見つめなおすことが重要です。個人的には、今起こりつつある変化というのは、建築の理論を考えていくと16世紀から始まった500年くらいのフェーズが変わり始めている、そのくらい大きな変

化ではないかと思います。個人的な研究の話をすると、従来の建築史は、いつ頃この建築が建てられたのか、という話をしていましたが、それは過去の建築を扱っているようにみえて、新築された年代のことだけであり、いわば新築の歴史でした。ですがいま求められる建築史は、過去に建てられた建築がどのように使われ、どのように変化してきたかであり、こうした研究がホットな領域になっています。研究がそういうところに目線をうつし始めているということは、現代の社会がそういうことを求め始めていることと全く同義だろうと思っています。 皆さんはこれから研究をしていくことになると思いますが、ぜひご自身のフィールドを持ちながら大学という場で研究できることを活かして、ミクロにご自身の問題意識をみる目線と、マクロに広い目線で研究を育てて、大きくしていければと思います。本日はどうも、おめでとうございました。

 開講にあたって、2年間注意してほしいことを3点申し上げます。その前に、皆さんは倍率の高いまちづくり大学院に合格して入学したということを意識して、ぜひここから頑張っていただきたいと思います。加えて、お仕事と学業を両立するうえで、仕事先の方々にもいろいろご協力を得る必要があると思います。それらをふまえて、恵まれているということを意識していただければと思います。さらに、バランスも大事です。「このことをやりたい」と思ってまちづくり大学院に入学してきたのはもちろん立派だと思いますが、既存の研究をレビューして、そのなかでご自身の研究を位置づけることも大切です。ご自身がやりたいことと、研究としての新規性とのバランスに気を付けていただきたいと思います。 コース長としての一つ目のお願いとして、ここには人生のベテランの方もいるかもしれませんが、まちづくり大学院では新入生です。久しぶりの大学だと思うので、生活のリズムが変わったり、分からないことも多かったりすることと思います。新入生らしく、何か分からないことがあったら、遠慮せず事務の人や先生に色々聞いてほしいと思います。 二つ目は、生活リズムの変化に関連して体調を崩すこともあるかもしれません。もちろんそうならないことが

一番ですが、大学にはそのための相談室もあるので、そういうときも周囲に相談していただきたいと思います。 三つ目は、長期履修を選択した方も少なくないとは思いますが、土曜日の演習はできるだけ同期の人と頑張って、協力してほしいと思います。今まで多くの学生の方を見てきましたが、土曜日の演習が同期の方 と々仲良くなれる最初のとっかかりだと思います。仕事の関係上、履修が長引くこともあるかもしれませんが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 この大学院では、まちづくり大学院の仲間や講義をしていただく先生方、まちづくり大学院の先輩方がいらっしゃいます。先輩方がやるイベントもありますし、我々都市工学専攻のイベントもたくさんあるので、そうしたネットワークを十分に利用し、そこで吸収した色々なものを研究に活かしてください。ここにいる皆さんは、昼の大学院学生と比べて多様な方々がいらっしゃると思います。その環境のなかで様々な議論を交わせば刺激もあるはずです。卒業生の多くは新しい自分を見つけて卒業していきますので、皆さんも今より数段上のステップを見つめて、ネットワークを作ってください。おめでとうございました、頑張ってください。

2019年度秋季学位授与式・よいまち会12年間で修了生が161名に

謝恩会(よいまち会)での集い

まちづくり大学院原田 昇 教授(コース長)

社会基盤学専攻羽藤 英二 教授

(専攻長)

建築学専攻加藤 耕一 教授

(専攻長) まちづくり大学院生の修士論文【2019年3月修了】・ネパール国カトマンズ盆地における都市化の進展と地震災害による建物脆弱性の分析を踏まえた都市防災政策に関する研究

・東京都心部のフードデザート問題  ─港区麻布・高輪エリアにおける食料品店への経済的アクセス困難性に着目して─・行政主導による戦略的市街地再生の手法  ─豊島区池袋東地域の事例分析を通じて─・土地の高容積利用・老朽建物建替え促進・固有文化資源保全を目的とした容積移転の効果に関する研究  ─八重洲等地区における特例容積率適用地区制度の活用を例として─・東京都市圏の時間制約の強い共働き子育て世帯の居住地満足度からみた都市整備の在り方に関する基礎研究・中規模地方都市の都市基盤経費を適正値に収める土地利用のあり方

【2019年9月修了】・まちづくり視察の実態に関する研究  ─初期観光まちづくり論の地平をのぞんで─・スポンジ化が著しい郊外住宅地における地域住民の居場所の形成初動期に係る研究  ─横須賀市谷戸地域をケーススタディとして─・公有地処分とまちづくりの連携に関する研究  ─官民対話の導入による効果に着目して─・聴竹居とその一帯の住宅地の関係性に関する研究  ─住宅地の形成過程と自主規範の継承・変容に着目して─・市街化区域内農地の住宅系用途転用における人口構造への影響に関する研究  ─東京都練馬区大泉地区を対象として─・鉄道事業者による沿線郊外における地域コミュニティ拠点の整備に関する研究  ─首都圏大手私鉄の取組みに着目して─・マンション管理組合運営とコミュニティ形成  ─中規模団地の建替を事例として─・ニューカマーを中心としたエスニックビジネスによる商店街活性化に関する研究   ─多文化共生型まちづくりの視点から─・容積消化型不動産が周辺住宅地に与える影響について・シードル産業の発展プロセスと地域活性化に向けた活動の連鎖に関する研究  ─青森県、長野県を対象として─・耕作放棄地を利活用したワイン産地形成過程に関する研究  ─長野県東御市を事例として─

Page 4: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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グループディスカッションの様子演習のフィールドワーク(修士1年 宇都宮演習)演習の作業風景(修士2年 加賀演習)

 事前復興計画の一つである復興イメージトレーニングと出会い、これを市民に広めたいと思い、その為の専門的な知識を修得するため、まち大にて学んでいます。30年前に短期大学家政科を卒業して以来主婦として過ごしていたのですが、まち大を目標にしてからは、通信制の女子大学を2年半で卒業しました。 入学後は、最高の先生方からの贅沢な講義、様々な業種・専門分野に詳しい学友達から刺激を受け、自らの考えを体系化する課題を通して、人々の暮らしが豊かになる為に社会に貢献したいという将来の夢へ邁進しています。人生の半分を過ぎた私ですが、今一番楽しいキャンパスライフを過ごしています!人生100年時代アナタもご一緒にいかがですか?

 まち大はとにかく贅沢です。超一流の先生陣、東大ならではの充実した研究環境、そして多様な分野の第一線で活躍する同級生。自由にモノを考え、問いかけ、議論できる環境がある。こんなに素晴らしいことはありません。私は交通分野を深く学びたいとの思いから志望しましたが、都市という存在について多面的に学ぶほどに、自らの専門領域が明るくなるのを感じます. 職業人としてのプロフェッショナリズムも学生としての学問的探求心も十二分に刺激されます。 迷うことはありません。今すぐ願書を書きましょう。

 大学時代は英文学専攻で郊外論を題材に卒論を書くなど、都市やコミュニティに元来関心がありました。本業はIT業界の人事ながら、後半生でいつか学びたい分野であった都市工学を学びたく、まち大に飛び込みました。1年半の育休を取得していた際に、まちがもっと生活に近くなって繋がりをうむ場所になれば良いなと、子育てをしていて実感したことも動機になっています。 同級生は多様なメンバーながら、皆まちを良くしたいという思いがあって、志を同じくする新たな友人が増えていることがとても嬉しいです。学ぶ内容も贅沢な講師陣に加え実践型のフィールド演習もあり、どこよりも贅沢な都市を学ぶ環境です。トライを考えている方、ぜひご一緒に!

 文学部日本史学専攻を卒業後、茨城県に入庁。商店街業務をきっかけに「まちづくり」の奥深さに目覚め、中小企業診断士を取得。県職員のかたわら、人と人とのネットワークづくりや、歴史と地形から紐解くまちの成り立ち考察などをライフワークに、ネオ茨城県人会、茨城のまち歩き&学習会、ブラタ○リごっこ等の活動を企画し実践しています。これらの活動の知見を整理し深堀してみたく、まち大に飛び込みました。 水戸市在住のため、往復5時間の遠距離通学中。体力的にも金銭的にもハードですが、それを上回る知的な刺激に圧倒されています。まちづくりへの志を胸に一歩を踏み出した仲間として、お互いに学び合いを深めていきましょう!

 偶然にも辿り着いた”まち大”のホームページ。「東大で面白いことやってる。しかも、まちづくりで!」そう思った瞬間、受験が決まりました。「長年携わってきた土地区画整理を東大ではどう捉えているのか?」興味本位の疑問を抱えて入学して以来4箇月、「まちづくりって間口が広くて奥も深い。」と思い知らされています。現在、長期履修制度を活用して全科目履修(残したらもったいない!)を目指していますが、まち大の講師陣と環境は文句なし。さらに異文化交流といえる学友と語らい。今、私が伝えられるのは「叩けよさらば開かれん!」「まち大を素通りするなんてもったいない!」以上、待ってます。

 学生の頃、東日本大震災の被災地で、津波の後に残された広大な景色を見たときに初めて「まちとは何か」という問いを抱きました。人の営みも含めて「まち」とは何か、どうやって形成されるのか――それを知りたいと手にとった本の1つがまち大の『復興まちづくり最前線』でした。その後シンクタンクに勤め、復興・防災や交通の業務に携わるなか、次第にその問いが大きくなり、入学を決めました。後押ししてくれた会社や環境に感謝です。 一線で活躍する先生方や学生達と学び合う時間は、仕事から離れて自分なりの「まち」の捉え方や関わり方を考える、貴重な時間となっています。働きながらだからこそ学べる・研究できることがあると感じています。

 私はデベロッパーにて、現在CREコンサルティング業務に従事しておりますが、過去に携わった再開発事業のエリアにおいて様々な都市問題が起こっている現状を見分し、まちづくりについて学び直す必要性を強く感じるに至り、まち大を志望し、入学させていただきました。 まち大では、奥深い内容の講義と共に、多様なジャンルの方 と々討論することなどを通じ、新鮮で貴重な経験を積ませていただいております。仕事を終えた後の通学は、きつく感じることもありますが、それを差し引いても余りある学びの価値がまち大にはあると思います。今後まち大での学びを活かして、まちづくりに貢献できるよう、一歩ずつ着実に取り組んでいきたいと考えております。

 区画整理事業や再開発事業、土地利用計画の実務で得た経験と知識をもとにまちづくりを学びなおしたい、専門性を高めると同時に、先生や共に学ぶ仲間に刺激をもらいながら、仕事ではなかなか得られない知識を得たいと思い、まち大に入学しました。様々な分野で活躍される想像以上に個性の強い同期に揉まれながら、講義や演習を毎日楽しく受講しています。各講義は、まちづくりや社会の課題について、様々な視点や示唆を与えてくれる充実した内容になっています。 仕事や子育てとの両立は大変ですが、その分、実りある学生生活を送っています。まちづくりに関心のある方、是非、まち大で一緒に学びましょう!

 東京大学まちづくり大学院には、空き家の利活用に取り組む組織で活動する自分の実務経験を活かし、住宅政策または都市計画に学問上の貢献をしたいと考えて志望した。 入学後は、週3日~4日(休日含む)、大学で授業を受けることになるので、これまでと生活は一変する。仕事との折り合いがつかないこともある。それでも、これまで知らなかった知識を吸収し、アウトプットできる機会を得られたことに大変感謝している。入学希望者の皆様。仕事で忙しいとは思う。しかし、入学することが、そのために挑戦することが、これまでとは違う人生の「はじめの一歩」になることは間違いない。ぜひ、皆さんと学友としての交流ができればと思う。がんばってください。

 大学で建築学を専攻し、主に住宅等の設計に従事してまいりました。数年前から地元のまちづくり活動に参画する機会があり、都市計画・まちづくりを深く学びたいと思い、まち大に入学しました。入学から4か月経ちましたが、毎日がとても刺激があり、日々充実した生活を送っています。  専門性の高い日々の講義では、自分にない高いレベルの知見ににふれることができ、少しづつですが成長を感じています。土曜演習では、演習を通じていろいろな人の考え方に気づかされています。  ここで学んだ知識、経験がまちづくりに活かせるよう日々切磋琢磨していきたいと思います。今更ながらまちづくりは楽しいものだと実感しております。

2019年度入学の第13期のみなさんに、志望の動機や今後の抱負などを思い思いに語っていただきました。

 本当にまち大に入って良かったと思っています!!私は文系の出身で、長らくベンチャー企業やアート関係に関わってきましたが、数年前より都心不動産のコンバージョンや衰退したスキーリゾートの再生等に関わるうちに、都市計画やまちづくりを体系的に学びたいと思い、まちづくり大学院を志望しました。まちづくりの専門的な知識もなく、久しぶりの勉強と仕事との両立は未知の世界でした。平日の夜の講義、土曜日の演習と、息をつく暇もなく約半年が経過しましたが、先生方の素晴らしい講義、楽しい同期に恵まれ、充実した日々を過ごしています。

 沢山の人が幸せになるだろうことを願ってまちづくりを行うことはなんて楽しいのだろう。なんて幸せなことなんだろうと、数ある仕事の中で、都市開発、PPP、TOD等を行う際、特に幸せに感じていました。そんな中、まちづくり大学院の存在を知り、飛びつきました。入学して4ヶ月…最高でした。 仕事、子育て、その上大学院?と周りに驚かれます。しかし普段のビジネスとの接点は大いにあるものの、接点の向こうにある巨大な学問の世界を感じるたびに涙が出るほどの感動を覚え、癒されるのです。(実際何度も授業中涙が出そうになったことは否定しません)それは、お勉強時代の学生がとうの昔に終了し、長年ビジネスに身を置く者には、まるで美しい万華鏡を覗いているような高揚を感じるような瞬間です。今の私にとってまちづくり大学院へ通うことは必然であり、まちづくり大学院へ通うこと自体に人生に喜びを感じ、勉強をさせていただけることに深い感謝を感じます。入学に迷う?理由はありません。

 前職は開発コンサルタントとして、途上国へのIT 技術支援に携わっておりました。IT インフラの導入を効率的行うには、しっかりとまちづくりのことを学ぶ必要があると業務を通じて感じたことが志望動機でした。入学後転職し、AI を用いたデジタルトランスフォーメーションの事研究開発に携わっておりますが、まちづくりの実現まで 2̃30 年プロセスの中にどのように変化のスピードの速い IT 技術をなじませるか考えながら学んでいるところです。今後はこのような問題を多面的視野で解決する策を提案できるようになりたいと思っております。様々な背景を持つ方と議論をして、新しい視野を開拓するチャンスが豊富にあります。一緒に楽しみましょう。

 草加市に入庁し初めて携わった大きな業務が都市計画マスタープランの改定でした。その中で、都市計画やまちづくりの楽しさに出会いました。人口減少や超高齢社会など社会構造が変化する中で、都市計画やまちづくりについてもっと学びたいと思っていたそんな時に、大学院のことを職場の先輩に教えてもらったのが入学のきっかけです。 大学院での最高の先生方や同級生からのたくさんの刺激や学ぶことの楽しさ、大切さを噛みしめながら、大学院へ通うことを応援してくださる市のためにも、今の自分にできること、社会へ貢献できることを必ず見つけ、市のまちづくりに活かしていきたいです。

■今井裕子─NPO法人代表理事

■浦江寿人─建設会社、NPO法人■岡田康宏─交通事業

■調 恵介─情報・通信業

■助川達也─茨城県

■児玉明雄─神奈川県

■小田嶋美咲─株式会社三菱総合研究所

■鈴木康晴─東京建物株式会社

■江藤元治─東京都

■大垣凜太郎─一般社団法人移住・住みかえ支援機構

 まちづくり大学院に入学して──志望動機と入学後の感想

■久保田(春山)明日香─特定非営利活動法人タウンアートマネジメント研究所

■長岡英里─デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー

■町田 剛─SB C&S 株式会社

■峯 敬泰─草加市役所

Page 5: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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グループディスカッションの様子演習のフィールドワーク(修士1年 宇都宮演習)演習の作業風景(修士2年 加賀演習)

 事前復興計画の一つである復興イメージトレーニングと出会い、これを市民に広めたいと思い、その為の専門的な知識を修得するため、まち大にて学んでいます。30年前に短期大学家政科を卒業して以来主婦として過ごしていたのですが、まち大を目標にしてからは、通信制の女子大学を2年半で卒業しました。 入学後は、最高の先生方からの贅沢な講義、様々な業種・専門分野に詳しい学友達から刺激を受け、自らの考えを体系化する課題を通して、人々の暮らしが豊かになる為に社会に貢献したいという将来の夢へ邁進しています。人生の半分を過ぎた私ですが、今一番楽しいキャンパスライフを過ごしています!人生100年時代アナタもご一緒にいかがですか?

 まち大はとにかく贅沢です。超一流の先生陣、東大ならではの充実した研究環境、そして多様な分野の第一線で活躍する同級生。自由にモノを考え、問いかけ、議論できる環境がある。こんなに素晴らしいことはありません。私は交通分野を深く学びたいとの思いから志望しましたが、都市という存在について多面的に学ぶほどに、自らの専門領域が明るくなるのを感じます. 職業人としてのプロフェッショナリズムも学生としての学問的探求心も十二分に刺激されます。 迷うことはありません。今すぐ願書を書きましょう。

 大学時代は英文学専攻で郊外論を題材に卒論を書くなど、都市やコミュニティに元来関心がありました。本業はIT業界の人事ながら、後半生でいつか学びたい分野であった都市工学を学びたく、まち大に飛び込みました。1年半の育休を取得していた際に、まちがもっと生活に近くなって繋がりをうむ場所になれば良いなと、子育てをしていて実感したことも動機になっています。 同級生は多様なメンバーながら、皆まちを良くしたいという思いがあって、志を同じくする新たな友人が増えていることがとても嬉しいです。学ぶ内容も贅沢な講師陣に加え実践型のフィールド演習もあり、どこよりも贅沢な都市を学ぶ環境です。トライを考えている方、ぜひご一緒に!

 文学部日本史学専攻を卒業後、茨城県に入庁。商店街業務をきっかけに「まちづくり」の奥深さに目覚め、中小企業診断士を取得。県職員のかたわら、人と人とのネットワークづくりや、歴史と地形から紐解くまちの成り立ち考察などをライフワークに、ネオ茨城県人会、茨城のまち歩き&学習会、ブラタ○リごっこ等の活動を企画し実践しています。これらの活動の知見を整理し深堀してみたく、まち大に飛び込みました。 水戸市在住のため、往復5時間の遠距離通学中。体力的にも金銭的にもハードですが、それを上回る知的な刺激に圧倒されています。まちづくりへの志を胸に一歩を踏み出した仲間として、お互いに学び合いを深めていきましょう!

 偶然にも辿り着いた”まち大”のホームページ。「東大で面白いことやってる。しかも、まちづくりで!」そう思った瞬間、受験が決まりました。「長年携わってきた土地区画整理を東大ではどう捉えているのか?」興味本位の疑問を抱えて入学して以来4箇月、「まちづくりって間口が広くて奥も深い。」と思い知らされています。現在、長期履修制度を活用して全科目履修(残したらもったいない!)を目指していますが、まち大の講師陣と環境は文句なし。さらに異文化交流といえる学友と語らい。今、私が伝えられるのは「叩けよさらば開かれん!」「まち大を素通りするなんてもったいない!」以上、待ってます。

 学生の頃、東日本大震災の被災地で、津波の後に残された広大な景色を見たときに初めて「まちとは何か」という問いを抱きました。人の営みも含めて「まち」とは何か、どうやって形成されるのか――それを知りたいと手にとった本の1つがまち大の『復興まちづくり最前線』でした。その後シンクタンクに勤め、復興・防災や交通の業務に携わるなか、次第にその問いが大きくなり、入学を決めました。後押ししてくれた会社や環境に感謝です。 一線で活躍する先生方や学生達と学び合う時間は、仕事から離れて自分なりの「まち」の捉え方や関わり方を考える、貴重な時間となっています。働きながらだからこそ学べる・研究できることがあると感じています。

 私はデベロッパーにて、現在CREコンサルティング業務に従事しておりますが、過去に携わった再開発事業のエリアにおいて様々な都市問題が起こっている現状を見分し、まちづくりについて学び直す必要性を強く感じるに至り、まち大を志望し、入学させていただきました。 まち大では、奥深い内容の講義と共に、多様なジャンルの方 と々討論することなどを通じ、新鮮で貴重な経験を積ませていただいております。仕事を終えた後の通学は、きつく感じることもありますが、それを差し引いても余りある学びの価値がまち大にはあると思います。今後まち大での学びを活かして、まちづくりに貢献できるよう、一歩ずつ着実に取り組んでいきたいと考えております。

 区画整理事業や再開発事業、土地利用計画の実務で得た経験と知識をもとにまちづくりを学びなおしたい、専門性を高めると同時に、先生や共に学ぶ仲間に刺激をもらいながら、仕事ではなかなか得られない知識を得たいと思い、まち大に入学しました。様々な分野で活躍される想像以上に個性の強い同期に揉まれながら、講義や演習を毎日楽しく受講しています。各講義は、まちづくりや社会の課題について、様々な視点や示唆を与えてくれる充実した内容になっています。 仕事や子育てとの両立は大変ですが、その分、実りある学生生活を送っています。まちづくりに関心のある方、是非、まち大で一緒に学びましょう!

 東京大学まちづくり大学院には、空き家の利活用に取り組む組織で活動する自分の実務経験を活かし、住宅政策または都市計画に学問上の貢献をしたいと考えて志望した。 入学後は、週3日~4日(休日含む)、大学で授業を受けることになるので、これまでと生活は一変する。仕事との折り合いがつかないこともある。それでも、これまで知らなかった知識を吸収し、アウトプットできる機会を得られたことに大変感謝している。入学希望者の皆様。仕事で忙しいとは思う。しかし、入学することが、そのために挑戦することが、これまでとは違う人生の「はじめの一歩」になることは間違いない。ぜひ、皆さんと学友としての交流ができればと思う。がんばってください。

 大学で建築学を専攻し、主に住宅等の設計に従事してまいりました。数年前から地元のまちづくり活動に参画する機会があり、都市計画・まちづくりを深く学びたいと思い、まち大に入学しました。入学から4か月経ちましたが、毎日がとても刺激があり、日々充実した生活を送っています。  専門性の高い日々の講義では、自分にない高いレベルの知見ににふれることができ、少しづつですが成長を感じています。土曜演習では、演習を通じていろいろな人の考え方に気づかされています。  ここで学んだ知識、経験がまちづくりに活かせるよう日々切磋琢磨していきたいと思います。今更ながらまちづくりは楽しいものだと実感しております。

2019年度入学の第13期のみなさんに、志望の動機や今後の抱負などを思い思いに語っていただきました。

 本当にまち大に入って良かったと思っています!!私は文系の出身で、長らくベンチャー企業やアート関係に関わってきましたが、数年前より都心不動産のコンバージョンや衰退したスキーリゾートの再生等に関わるうちに、都市計画やまちづくりを体系的に学びたいと思い、まちづくり大学院を志望しました。まちづくりの専門的な知識もなく、久しぶりの勉強と仕事との両立は未知の世界でした。平日の夜の講義、土曜日の演習と、息をつく暇もなく約半年が経過しましたが、先生方の素晴らしい講義、楽しい同期に恵まれ、充実した日々を過ごしています。

 沢山の人が幸せになるだろうことを願ってまちづくりを行うことはなんて楽しいのだろう。なんて幸せなことなんだろうと、数ある仕事の中で、都市開発、PPP、TOD等を行う際、特に幸せに感じていました。そんな中、まちづくり大学院の存在を知り、飛びつきました。入学して4ヶ月…最高でした。 仕事、子育て、その上大学院?と周りに驚かれます。しかし普段のビジネスとの接点は大いにあるものの、接点の向こうにある巨大な学問の世界を感じるたびに涙が出るほどの感動を覚え、癒されるのです。(実際何度も授業中涙が出そうになったことは否定しません)それは、お勉強時代の学生がとうの昔に終了し、長年ビジネスに身を置く者には、まるで美しい万華鏡を覗いているような高揚を感じるような瞬間です。今の私にとってまちづくり大学院へ通うことは必然であり、まちづくり大学院へ通うこと自体に人生に喜びを感じ、勉強をさせていただけることに深い感謝を感じます。入学に迷う?理由はありません。

 前職は開発コンサルタントとして、途上国へのIT 技術支援に携わっておりました。IT インフラの導入を効率的行うには、しっかりとまちづくりのことを学ぶ必要があると業務を通じて感じたことが志望動機でした。入学後転職し、AI を用いたデジタルトランスフォーメーションの事研究開発に携わっておりますが、まちづくりの実現まで 2̃30 年プロセスの中にどのように変化のスピードの速い IT 技術をなじませるか考えながら学んでいるところです。今後はこのような問題を多面的視野で解決する策を提案できるようになりたいと思っております。様々な背景を持つ方と議論をして、新しい視野を開拓するチャンスが豊富にあります。一緒に楽しみましょう。

 草加市に入庁し初めて携わった大きな業務が都市計画マスタープランの改定でした。その中で、都市計画やまちづくりの楽しさに出会いました。人口減少や超高齢社会など社会構造が変化する中で、都市計画やまちづくりについてもっと学びたいと思っていたそんな時に、大学院のことを職場の先輩に教えてもらったのが入学のきっかけです。 大学院での最高の先生方や同級生からのたくさんの刺激や学ぶことの楽しさ、大切さを噛みしめながら、大学院へ通うことを応援してくださる市のためにも、今の自分にできること、社会へ貢献できることを必ず見つけ、市のまちづくりに活かしていきたいです。

■今井裕子─NPO法人代表理事

■浦江寿人─建設会社、NPO法人■岡田康宏─交通事業

■調 恵介─情報・通信業

■助川達也─茨城県

■児玉明雄─神奈川県

■小田嶋美咲─株式会社三菱総合研究所

■鈴木康晴─東京建物株式会社

■江藤元治─東京都

■大垣凜太郎─一般社団法人移住・住みかえ支援機構

 まちづくり大学院に入学して──志望動機と入学後の感想

■久保田(春山)明日香─特定非営利活動法人タウンアートマネジメント研究所

■長岡英里─デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー

■町田 剛─SB C&S 株式会社

■峯 敬泰─草加市役所

Page 6: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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 まち大では、既存の取り組みを批判的・客観的に捉える視点をもち、それを新たなまちづくりの展開に活かすための実践的な教育・研究を行っています。実際のまちづくりと連動した演習など、在学中の実践的な教育プログラムのほか、修了生もまち大在学中の経験と人的ネットワークを活かし、続々と新しい取り組みを行っています。ここでは、その一端をご紹介します。

 2019 年度「まちづくり演習第1:持続可能な都市圏計画」の課題は、「ネットワーク型コンパクトシティ」の方向性をいち早く示し LRT 整備を進める栃木県宇都宮市を対象に、土地利用・交通・環境の各分野を統合する空間戦略の立案を求めるもの。19 名の学生が4つのチームに分かれて取り組み、最終日には市役所の都市計画系職員7名の前で約2ヶ月の演習の成果を発表した。1班は、観光、暮らし、新産業、伝統産業をテーマとした街道の沿道とそれらの結節点である中心市街地の空間形成を提案。2班は、工業団地などの働く場所に地域生活機能誘導拠点を整

備して郊外部でも職住近接を実現することにより、市民の幸福度向上をねらう。3班は、人々の移動を基軸に、環状道路沿いに都市機能集積拠点を整備して多極分散型の都市構造を構築する方針を打ち出した。そして、4班は、LRT 沿線、中心市街地、市街地縁辺部、大谷観光拠点の施策を検討した上で、それらを東西の回廊としてつなぐ方針を提案。大学院という自由な場で、既成概念や既定路線を冷静に見直し、新しいアプローチで課題を解決し、将来を構想する能力が問われる演習であった。

 まち大の特徴の1つは、東大の先生方は勿論ですが、各地で最先端のまちづくりを実践されている自治体・企業などの多様な実務者も講師としてお越しいただき、少人数での講義・演習・議論の中で、専門的な知見の習得と、ネットワークづくりができることだと思います。 私が勤務するJR東日本グループでは「ヒトを起点とした新たなサービスの創造」に取組んでおり、多様な魅力あるまちづくりを推進しています。その1つとして現在、東京都港区竹芝地区において、ラグジュアリーホテル・オフィス・商業・劇場等からなる『WATERS takeshiba』の開発を進めており、2020年4月に開業します。 本計画では、水辺に面した立地特性をまちづくりに活かすことを目的に、国土交通省が推進する「ミズベリングプロジェクト」の枠組みを活かし、「ミズベリング竹芝」として、水辺活性化に向けた様々な社会実験や環境調査を実施。地域・関係者との協議等を重ね、一般社団法人竹芝エリアマネジメント※が河川占用を行った上で、JR東日本が船着場と干潟を整備することが決定しました。「舟運の活性化」「環境再生・学習の場づくり」「賑わいの創出」に向けた、水辺を活かした新たなまちづくりに、ぜひご期待ください。 まち大で得られた、エリアマネジメントや公共空間利活用の視点、ネットワークなども活かしながら実現できたものであり、今後も、様々なまちづくりに実践していきたいと思います。

※竹芝地区のエリアマネジメント組織。準備期間含め2014年からまちづくり活動を積極的に行っている。

 再開発事業のコンサルタントとして、まちをより良くしたいと奔走する中で、自身の知識不足や、現行都市計画の制度・手法にもどかしさと悔しさを覚え、大学院を志望しました。 実務を経てからの学び直しは想像を超える楽しさです。働きながら学び直す時代に生まれ、それが実現できる環境に身を置き、入試を経てこの機会が得られた自身の境遇も相まり、授業後は「神に感謝」と思わずSNSで呟くほど。 この秋には事業者へ転職し、業務においても新たな視点を得る一方、研究したい内容の幅が日に日に広く、出口が遠くなっていくのを感じています。それに焦りを感じつつも、都市計画愛は深まっていく一方で(笑)、そんな日々全部が楽しいです。

 「鉄道沿線まちづくり」について、体系的に学びを深めたいと思い、まち大に入学しました。日々都市開発実務に携わりながらも、なかなか得られることのなかった都市に関する最先端の知識を学んだり、多種多様なバックグラウンドを持つ同期学生と議論を重ねることで、自身の都市を見る視点が大きく変わったように思います。 都市を創造することは「地図に残す」ことだけではなく、「地図そのものを変え、つくる」ことだと感じるようになりました。昼間は実務、夜は学問とスイッチを切り換える日々は気力と体力を要しますが笑、それに見合う経験が得られると思いますので、文系理系出身関係なく、都市への思考を深めたい方は入学をおすすめします。

 文系学部を卒業後、事務職として行政の実務を行ってきた中で、今後のまちづくりは、福祉や教育など分野横断的にさらに総合的に推進する必要性を感じてきました。専門職との連携を図るうえで、都市政策の専門知識を体系的に習得したいと思っていたところ、職場の審議会の先生からまち大のことを教えて頂き、学び直しをしたいと思い志望しました。 仕事との両立はハードですが、自分はなぜ学びたいのかを真に向き合う機会にもなりました。第一線でご活躍の教授陣によるご指導や長期履修制度などのサポート体制も充実し、学べる環境にあることに感謝しています。まち大で学んだことを、職場や自分の地域に着実に活かしたいと考えています。

■第13期生のプロフィール人数:18名年齢:25~60歳(平均41歳)性別:男性11名、女性7名

(横張・瀬田・村山)

片桐 暁史(まち大9期/東日本旅客鉄道株式会社)

4つの班の提案より

『WATERS takeshiba』完成イメージ

河川の特例占用による桟橋・干潟の整備

水辺利活用社会実験(仮設桟橋設置・舟運、SUP)

特別セミナーの様子

演習成果の発表(修士2年 加賀演習)

演習成果の発表(修士1年 宇都宮演習)

忘年会の様子

まち大生のまちづくり

■ 宇都宮市の新たな空間戦略の立案

■ 水辺を活かしたまちづくり『WATERS takeshiba』が開業■渡辺麻理乃―野村不動産株式会社

■山岡史典―東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

■宮本千穂―世田谷区

Page 7: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

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 まち大では、既存の取り組みを批判的・客観的に捉える視点をもち、それを新たなまちづくりの展開に活かすための実践的な教育・研究を行っています。実際のまちづくりと連動した演習など、在学中の実践的な教育プログラムのほか、修了生もまち大在学中の経験と人的ネットワークを活かし、続々と新しい取り組みを行っています。ここでは、その一端をご紹介します。

 2019 年度「まちづくり演習第1:持続可能な都市圏計画」の課題は、「ネットワーク型コンパクトシティ」の方向性をいち早く示し LRT 整備を進める栃木県宇都宮市を対象に、土地利用・交通・環境の各分野を統合する空間戦略の立案を求めるもの。19 名の学生が4つのチームに分かれて取り組み、最終日には市役所の都市計画系職員7名の前で約2ヶ月の演習の成果を発表した。1班は、観光、暮らし、新産業、伝統産業をテーマとした街道の沿道とそれらの結節点である中心市街地の空間形成を提案。2班は、工業団地などの働く場所に地域生活機能誘導拠点を整

備して郊外部でも職住近接を実現することにより、市民の幸福度向上をねらう。3班は、人々の移動を基軸に、環状道路沿いに都市機能集積拠点を整備して多極分散型の都市構造を構築する方針を打ち出した。そして、4班は、LRT 沿線、中心市街地、市街地縁辺部、大谷観光拠点の施策を検討した上で、それらを東西の回廊としてつなぐ方針を提案。大学院という自由な場で、既成概念や既定路線を冷静に見直し、新しいアプローチで課題を解決し、将来を構想する能力が問われる演習であった。

 まち大の特徴の1つは、東大の先生方は勿論ですが、各地で最先端のまちづくりを実践されている自治体・企業などの多様な実務者も講師としてお越しいただき、少人数での講義・演習・議論の中で、専門的な知見の習得と、ネットワークづくりができることだと思います。 私が勤務するJR東日本グループでは「ヒトを起点とした新たなサービスの創造」に取組んでおり、多様な魅力あるまちづくりを推進しています。その1つとして現在、東京都港区竹芝地区において、ラグジュアリーホテル・オフィス・商業・劇場等からなる『WATERS takeshiba』の開発を進めており、2020年4月に開業します。 本計画では、水辺に面した立地特性をまちづくりに活かすことを目的に、国土交通省が推進する「ミズベリングプロジェクト」の枠組みを活かし、「ミズベリング竹芝」として、水辺活性化に向けた様々な社会実験や環境調査を実施。地域・関係者との協議等を重ね、一般社団法人竹芝エリアマネジメント※が河川占用を行った上で、JR東日本が船着場と干潟を整備することが決定しました。「舟運の活性化」「環境再生・学習の場づくり」「賑わいの創出」に向けた、水辺を活かした新たなまちづくりに、ぜひご期待ください。 まち大で得られた、エリアマネジメントや公共空間利活用の視点、ネットワークなども活かしながら実現できたものであり、今後も、様々なまちづくりに実践していきたいと思います。

※竹芝地区のエリアマネジメント組織。準備期間含め2014年からまちづくり活動を積極的に行っている。

 再開発事業のコンサルタントとして、まちをより良くしたいと奔走する中で、自身の知識不足や、現行都市計画の制度・手法にもどかしさと悔しさを覚え、大学院を志望しました。 実務を経てからの学び直しは想像を超える楽しさです。働きながら学び直す時代に生まれ、それが実現できる環境に身を置き、入試を経てこの機会が得られた自身の境遇も相まり、授業後は「神に感謝」と思わずSNSで呟くほど。 この秋には事業者へ転職し、業務においても新たな視点を得る一方、研究したい内容の幅が日に日に広く、出口が遠くなっていくのを感じています。それに焦りを感じつつも、都市計画愛は深まっていく一方で(笑)、そんな日々全部が楽しいです。

 「鉄道沿線まちづくり」について、体系的に学びを深めたいと思い、まち大に入学しました。日々都市開発実務に携わりながらも、なかなか得られることのなかった都市に関する最先端の知識を学んだり、多種多様なバックグラウンドを持つ同期学生と議論を重ねることで、自身の都市を見る視点が大きく変わったように思います。 都市を創造することは「地図に残す」ことだけではなく、「地図そのものを変え、つくる」ことだと感じるようになりました。昼間は実務、夜は学問とスイッチを切り換える日々は気力と体力を要しますが笑、それに見合う経験が得られると思いますので、文系理系出身関係なく、都市への思考を深めたい方は入学をおすすめします。

 文系学部を卒業後、事務職として行政の実務を行ってきた中で、今後のまちづくりは、福祉や教育など分野横断的にさらに総合的に推進する必要性を感じてきました。専門職との連携を図るうえで、都市政策の専門知識を体系的に習得したいと思っていたところ、職場の審議会の先生からまち大のことを教えて頂き、学び直しをしたいと思い志望しました。 仕事との両立はハードですが、自分はなぜ学びたいのかを真に向き合う機会にもなりました。第一線でご活躍の教授陣によるご指導や長期履修制度などのサポート体制も充実し、学べる環境にあることに感謝しています。まち大で学んだことを、職場や自分の地域に着実に活かしたいと考えています。

■第13期生のプロフィール人数:18名年齢:25~60歳(平均41歳)性別:男性11名、女性7名

(横張・瀬田・村山)

片桐 暁史(まち大9期/東日本旅客鉄道株式会社)

4つの班の提案より

『WATERS takeshiba』完成イメージ

河川の特例占用による桟橋・干潟の整備

水辺利活用社会実験(仮設桟橋設置・舟運、SUP)

特別セミナーの様子

演習成果の発表(修士2年 加賀演習)

演習成果の発表(修士1年 宇都宮演習)

忘年会の様子

まち大生のまちづくり

■ 宇都宮市の新たな空間戦略の立案

■ 水辺を活かしたまちづくり『WATERS takeshiba』が開業■渡辺麻理乃―野村不動産株式会社

■山岡史典―東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

■宮本千穂―世田谷区

Page 8: Department of Urban Enginnering, the University of …2 3 2019年9月13日、に東京大学秋季学位授与式及び学位記伝達式が行われました。2019年9月修了は、8期生1名、9期生2名、10期生

2020.3.13

東大まちづくり大学院社会人のための修士課程|都市持続再生学コース東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻

18

15

開講式:第13期生18名が入学

お祝いのことば

「生活者視点から考えるスマートシティとSDGsが描く未来」の開催

「人生100年時代の都市・インフラ整備」の開催

「水道事業の広域化と官民連携の展望」の開催特別セミナー2019 ①

「建築と交通は都市を3―五輪は東京を二度変えるか」の開催

イブニングセミナー2020 4月27日開催予定

特別セミナー2019 ②

 イブニングセミナー2019 ①

 イブニングセミナー2019 ②

2020年度 東大まちづくり大学院入試情報

 皆さん、ご入学おめでとうございます。現在、都市工学専攻の専攻長を仰せつかっている横張です。今日は、以前から台湾の大学で講演を頼まれ、やむなく欠席させていただきますので、代わりに飯田先生にメッセージを託したいと思います。 世界は今、狭小で近視眼的なナショナリズムが横行するなか、どんどんと対立構図が深まる様相にあります。ジョージ・オーウェルがかつて「1984年」で描いたような、国家間、民族間、宗派間、様々なレベルで、対立を煽ることで集団や国家の内部の矛盾や不満に蓋をして、その統一を図ろうとする、きわめて危険な思想が世界を席巻しつつあります。 都市とは、いろいろな人々が、いろいろな価値観や目的のもと、呉越同舟、肩を寄せ合って暮らす空間です。そこでは、お互いがお互いを尊重し合い、多少の不満や齟齬には目をつむり、いわばお互いの最大公約数を求めながら暮らすことが求められます。対立構図を基調にしたら、都市は絶対に成立しません。 人類が都市を形成するようになって、すでに何千年の月日が流れています。私達はその経験から、どうやったらお互いの対立を越え、ひとつの空間を共有しながら生きていったらよいかを学んできたはずです。今こそその叡智を、社会のあり方全体に反映していくことが求められるのではないでしょうか。 今、都市計画を勉強することは、つまりはそうした今日的な社会課題に答える視座を養うことなのではないかと思います。志を高く持ち、一緒に頑張っていきましょう。

2020年度の入学試験を右記のように行います。募集要項の確認方法など詳しくは、東大まちづくり大学院のホームページをご覧ください。

募集要項・入学志望者案内Web公開日 4月1日(水)説 明 会:4月 6日(月)19:00~ 本郷キャンパス工学部14号館141講義室出願時期:5月 8日(金)~15日(金)入学試験:6月 20日(土)、 入学式:9月24日(木)

http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/

 2019年9月24日、工学部14号館にて、記念すべき第13期生のための開講式およびガイダンスが執り行われました。今年は入試に合格した18名の新入生がまち大に加わりました。都市工学専攻、社会基盤専攻、建築学専攻、およびまちづくり大学院を代表する教員からの祝辞をご紹介します。

 2019年4月4日、イブニングセミナー「生活者視点から考えるスマートシティとSDGsが描く未来」が開催されました。前半は、民間の立場で実務にあたっている薗田綾子氏(クレアン/サステナビリティ日本フォーラム)から「生活者視点のSDGsが描く未来」と題して、ご自身の実務をご紹介していただくとともに、そうした経験から、SDGsの実現には個々の価値観における転換がいかに重要であるかを講演頂きました。後半は、出口敦教授(新領域創成科学研究科)から「次世代スマートシティと生活者・地域をつなぐ」、小泉秀樹教授(先端科学技術センター/都市工学専攻)から「スマートシティ政策の現状と課題」と題して、それぞれ異なる論点からスマートシティの事例紹介と提言を頂きました。最後に、登壇者と来場者を交えて総合討論が行われました。限られた時間の中で、いまなぜ「生活者視点」が重要視されるのか、持続可能な社会の実現に向けてなすべきこと・あるべき考え方とは何かについて充実した議論がなされ、活況のうちに講演は結びとなりました。

 2019年5月27日、まちづくり大学院の特別セミナーの「人生100年時代の都市・インフラ整備」を開催しました。寄付企業の方や卒業生も多数来場し、会場は満員の聴衆の熱気に包まれました。セミナーには和泉洋人氏(内閣総理大臣補佐官)にご登壇頂き、「人生100年時代」を迎える我が国の都市のありかたについて、様々な視点から話題提供を頂きました。セミナーの前半では年齢・健康状態・ライフスタイル・国籍・価値観などあらゆる面で多様化が劇的に進んでいく社会としての「人生100年時代」の意味をご紹介頂き、新しい社会=Society 5.0を実現する都市のインフラ整備に求められる機能についてご紹介頂きました。また近年活発化しているスマートシティ・スーパーシティ構想を支える様々な都市のインフラについて話題提供頂き、エネルギーシステム、自動運転、宇宙空間利用などの取組みについてご紹介頂きました。後半では科学技術イノベーションに係る政府の取組みや、応用的研究からより基礎的かつチャレンジ度の高い「ムーンショット型研究開発」の制度の推進について話題提供を頂き、大盛況のうちに閉会しました。

 2019年7月16日、特別セミナー「水道事業の広域化と官民連携の展望」が開催されました。本セミナーでは、都市圏・広域での連携をテーマとする同大学院の講義「持続可能な都市圏計画論」の時間を利用して、近年、政策的な議論が活発に行われている水道の広域化と官民連携について取り上げ、一般公開の講義を行いました。滝沢智教授(都市工学専攻)からの基調講演「水道法改正を踏まえたこれからの水道広域化と官民連携」の後、奈良県水道局の浦山博幸氏、群馬東部水道企画業団の篠木達哉氏、メタウォーター株式会社の川上貴幸氏、水ingエンジニアリング株式会社の鹿島田浩二氏の4名をゲストに迎え、官・民それぞれの立場からの取組みをご紹介頂きました。最後に、全員で自治体間・官民の連携のあり方について、活発な総合討論を行いました。

 2019年11月28日、原田昇教授(都市工学専攻)の講義「都市の交通政策」の一環として特別セミナー「建築と交通は都市を 3―五輪は東京を二度変えるか」を開催しました。前半は、大学・公共の立場で東京五輪の交通計画に取り組まれている、赤羽弘和教授(千葉工業大学)、森昌文氏(前国土交通省)、苦瀬博仁教授(流通経済大学)からそれぞれ、渋滞させない交通管理やロードプライシング、ロジスティクスといった交通計画論についてご紹介頂きました。後半は、それぞれ建築・デザインの現場でご活躍されている、五十嵐太郎氏(建築評論家)、千葉学教授(建築学専攻)、乾久美子教授(横浜国立大学)から東京の都市文化像に関する話題提供を頂きました。最後に、登壇者・来場者を交えた総合討議のなかで、五輪による都市への政治的・経済的影響や、建築と交通が都市に与える影響について活発な議論が交わされました。

開催日時:2020年4月27日(月)19:00-21:00(予定)会  場:工学部14号館141教室登 壇 者:久田嘉章 教授(工学院大学)、 中嶋利隆(三菱地所(株))、 廣井悠准教授(東京大学)テ ー マ:「大都市とレジリエンス」(予定)

※この情報は3月1日時点での情報を掲載しています。最新情報は、まちづくり大学院HPをご覧ください。

都市工学専攻 横張 真 教授(専攻長)

開講式での集合写真─新入生とまちづくり大学院教員

上:会場の様子 下:総合討論

■発行:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 都市持続再生学コース・同寄付講座 〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1 TEL. 03-5841-8362■[email protected] ■http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/


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