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肝疾患 - Yamagata...

Date post: 02-Aug-2020
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肝疾患
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Page 1: 肝疾患 - Yamagata Universitykusumoto/liver-work-up.pdf補足2:分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤(BCAA顆粒、肝不全用経腸 剤)の蛋白量を含む。非代償性肝硬変の多くは蛋白不耐症の可能性があり、血液アンモニア値を参照にし

肝疾患

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肝臓の位置と構造

重量:体重の約1/50( 1,200~1,500g)

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肝小葉の構造

1/5

4/5

類洞内皮細胞星細胞

VAの貯蔵コラーゲン繊維の合成

肝実質細胞(肝細胞)クッパー細胞

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肝臓の働き(1)栄養素の代謝①グリコーゲンの生成②アルブミンの生成とアミノ酸の処理

尿素生成③脂肪代謝:脂肪の分解、コレステロール生成

ケトン体の産生④ホルモンの不活作用:余分なエストロゲン、抗利尿ホルモン

(2)胆汁の生成:500~800ml/日(3)解毒作用:フェノール・インドフェノール・スカトール(4)血液凝固への関与

フィブリノーゲン・プロトロンビンの生成、ヘパリンの生成(5)造血・壊血作用:ビリルビン(6)血液の貯蔵:出血の際の補血作用(7)その他:水分代謝、ビタミンの貯蔵

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肝臓障害(肝硬変)の主要症状参考:医歯薬出版「臨床栄養学」p.90、図2-2-6

(1)全身症状(2)胃腸症状(3)黄疸(4)肝腫大(5)腹水(6)浮腫(7)出血傾向(8)解毒障害

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肝臓の疾患

(1)肝炎;hepatitis肝炎ウィルス感染、アルコールの過剰摂取、薬剤、アレルギー等が原因で起きる肝細胞が壊死に陥った状態。大半は肝炎ウィルスによるもの。

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肝臓の疾患の進行

C型肝炎の多くが脂肪肝を併発し、肝硬変、肝癌へと移行するアルコール性肝障害では、脂肪肝となり肝硬変へと移行する。肥満者で見られる、非アルコール性肝障害(NASH)においても肝硬変へと移行する。

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(2)肝硬変

大半がC型肝炎ウィルスによるもの慢性の肝障害と、結合組織の増生による線維化がみられる

代償期:残っている肝臓の組織で機能を補完できる。非代償期:肝臓の機能を補完できない

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(3)脂肪肝

中性脂肪が肝湿重量の5%を超えて肝細胞内に蓄積した状態アルコール、肥満、糖尿病が誘因となる。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

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NASHとNAFLD

●非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)

明らかな飲酒歴がない脂肪性肝疾患予後良好な単純性脂肪肝と進行性のNASHに分かれる。

●非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic fatty steatohepatitis; NASH)

NASHは肝組織で診断され、脂肪編成に壊死・炎症や線維化を伴う脂肪肝炎を呈する。

NASH

NAFLD

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肝機能検査

肝細胞破壊AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHの上昇AST>ALT

胆汁流出障害ALT、γ-GPT、総胆汁酸、直接ビリルビンコレステロールの上昇

肝臓の合成能

プロトロンビン時間の延長アルブミン(3g/dl以下)コリンエステラーゼコレステロール(130mg/dl以下)の低下

肝臓の解毒機能総胆汁酸、アンモニア、ビリルビンアミノ酸分画(Phe、Tyr、Met)の上昇

肝臓の血流や線維化の指標ICG負荷テスト(30%以上)血小板(10万以下)ヒアルロン酸(130ng/ml以下)

その他IgG、ZTT(硫酸亜鉛混濁試験)TTT(チモール混濁試験)、血清フェリチン

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肝疾患の食事療法のポイント

エネルギーが適正で、栄養バランスのとれた食事!!

肝臓の機能が落ちるとエネルギー不足になる。

⇒夜食(Late evening snack; LES)の考え方

エネルギー、たんぱく質は適度にとる

ビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかりとる

塩分のとりすぎに注意

加工食品を控える

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夜食(Late evening snack; LES)

1 日の総エネルギーは変えず、夜食分のエネルギーは朝・昼・夕から少しずつ減らした量とする。

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なぜ必要か?肝疾患は、病気によって壊されてしまった肝細胞が多いため、エネルギー源となる糖質(グ ルコース)の肝臓での取り込みが減少する。また、安静時のエネルギー消費量(何もせずに横になっている状態で使うエネルギー)が亢進しているため、健常者に比べて多くのエネルギーが必要となる。

・1食あたり 150~200kcal のもの・エネルギー源となる糖質を含むもの・胃もたれしないもの・簡単に準備できるもの・BCAAを多く含む肝不全用経口栄養剤

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分岐鎖アミノ酸(BCAA)の生理作用

1.アルブミン合成の促進2.筋肉でのたんぱく分解抑制3.エネルギー源として利用4.免疫能の強化5.肝再生の促進

アミノ酸のインバランス(BCAA/AAA比の低下)のために肝性脳症を引き起こした場合にはタンパク質制限が必要

しかし、血清アルブミン値は高くしたい(予後が良い)

BCAAを多く含んだ製剤の利用

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給与量/日栄養基準の区分

I II III IV

エネルギー(kcal/kg) 25~30 35 30~35 20~30

たんぱく質(g/kg) 1.0~1.2 1.2 0.5~1.0 1.2

脂肪エネルギー比(%) 20 20~25 20~25 20~25

付加食塩(g) 6~7 5~9 4~5 6~7

適応急性肝炎初期・極期慢性肝炎増悪期

急性肝炎回復期慢性肝炎安定期代償性肝硬変アルコール性肝障害

慢性肝不全非代償性肝硬変

糖尿病合併症過栄養性脂肪肝

肝疾患治療食の栄養基準とその適応

南江堂「臨床栄養」p.176 表12-8

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補足1: 肝硬変患者では安静時エネルギー消費量が亢進していることが多く、約80 ~90%に蛋白・エネルギー代謝異常(protein-energy malnutrition: PEM)を認め るが、約30%の患者はBMI 25以上の肥満者である。また、C型肝炎例ではインスリ ン抵抗性を示す頻度も高い。このような病態を加味して必要エネルギー量を決定す ることが重要である。 補足2:分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤(BCAA顆粒、肝不全用経腸剤)の蛋白量を含む。 非代償性肝硬変の多くは蛋白不耐症の可能性があり、血液アンモニア値を参照にし て判断する。 補足3:高アンモニア血症を有する例を含めて非代償期にある患者は蛋白不耐症あ りと判 断する。血 清Alb<1.8、BTR25の男 性C型肝硬変患者では本剤の長期投与により肝発癌抑制が期待される。アミノ酸イ ンバランスの是正は樹状細胞機能低下の改善にも有用である。 補足4:肝不全用経腸剤(アミノレバンEN、ヘパンED)を併用投与する場合にはそれ ぞれに含まれるエネルギー量、蛋白量を1日の総エネルギー量、蛋白量に含める。なお、 PEMを呈する患者では蛋白不耐症の有無に関わらず肝不全用経腸剤の併用を第一 選択とする。 補足5:肝発癌抑制に有効な脂肪酸構成比は明らかにされていないが、肝硬変患者 ではn-6系およびn-3系の多価不飽和脂肪酸の低下が認められる。 補足6:理学的に浮腫・腹水を認めない患者においても水分貯留傾向にあり、基本的 には塩分を制限する。 補足7:鉄過剰沈着は酸化ストレスを惹起し肝発癌を促進することは明らかであり、高 度の貧血を認めない限り鉄制限食を基本とする。また、血清フェリチン値の基準値は性 差によって異なるが、150ng/ml以上の高値例(男性)では少量瀉血療法も検討する。 補足8:高アンモニア血症の改善のみならず長期的には肝発癌抑制の可能性が示さ れている。 補足9:患者のライフスタイル、食習慣を把握した上で行うべきである。LESは耐糖 能異常を示す患者の血糖管理にも有用であり、 αーグルコシダーゼ阻害薬の併用はそ の効果を高める。通常、おにぎりなどの軽食を行うが、肝不全用経腸剤を用いること が推奨され、BCAAに富む食品も用いられる。

肝硬変の栄養基準(例)❶エネルギー必要量1)

食事摂取基準を目安にして25~35kcal/kg(標準体重)/日耐糖能異常のある場合:25kcal/kg(標準体重)/日

❷たんぱく質必要量2)

蛋白不耐症がない場合: 1.0~1.5g/kg/day(リーバクト顆粒を含む)3)

蛋白不耐症がある場合: 0.5~0.7g/kg/day + 肝不全用経腸栄養剤4)

❸脂質必要量5):脂質エネルギー比20~25% ❹食塩6):6g/日以下、腹水・浮腫がある場合には5g/日以下❺鉄分7):血清フェリチン値が基準値以上の場合には7mg/day以下❻その他:亜鉛の補充8)、ビタミンおよび 食物繊維(野菜、果実、芋類)の適量摂取❼分割食(1日4回):就眠前補食late evening snack(LES)(200kcal相当)9)

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肝硬変診療ガイドライン日本消化器病学会(2010年)


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