+ All Categories
Home > Documents > 湖沼管理の法規制 - University of Shiga...

湖沼管理の法規制 - University of Shiga...

Date post: 15-Jul-2020
Category:
Upload: others
View: 1 times
Download: 0 times
Share this document with a friend
9
1 1 6.湖沼保全のために 採られてきた対策 滋賀県立大学 井手慎司 2 湖沼管理の法規制 1964 河川法1896年制定.1964年と1997年に改正) 1967 公害対策基本法 1969 滋賀県公害防止条例 1970 水質汚濁防止法 1972 滋賀県水質汚濁防止法第3条第3項の規定に基づく排水基準を定める条例 滋賀県公害防止条例(改正) 1979 滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例 1984 湖沼水質保全特別措置法 1992 滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例 1993 ラムサール条約の登録湿地 1996 滋賀県環境基本条例 2000 マザーレイク21計画 2002 滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例 湖沼管理の法規制 2003 滋賀県環境こだわり農業推進条例 制定 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律 制定 2004 滋賀県環境学習の推進に関する条例 制定 2005 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 施行 2006 ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例 制定 2011 マザーレイク21計画 2期改定(~2020環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律 改正 2013 内湖再生全体ビジョン 策定 2014 水循環基本法 成立 2015 琵琶湖の保全及び再生に関する法律 公布・施行(9/28生物多様性しが戦略 策定 生物多様性と文化2017 7期 琵琶湖に係る湖沼水質保全計画 策定(3/24)(~2020琵琶湖保全再生計画 策定(3/30)(~20203 4 新河川法(1964 水系一貫管理制度の導入 湖沼は法的に河川の一部 一級水系の河川管理者は国土交通大臣 二級水系の河川管理者は都道府県知事 琵琶湖の河川管理者は滋賀県知事 琵琶湖は都道府県知事に管理を委任された指定 区間(河川法第9条第2項) 滋賀県は琵琶湖に関する大きな権限を有す るとともに,その管理に大きな責任を負う 環境基準と排水基準 排水基準(排出元) 環境基準(排出先) 特定事業場(特定施設) 公共用水域 (河川・湖沼・海域) 人の健康の保護に関する排水基準 対象:全特定事業場 (全国一律+自治体別)の基準項目 と濃度基準値 人の健康の保護に関する環境基準 水道水基準) 全水域一律の基準項目と濃度基準 生活環境の保全に関する排水基準 対象:一部特定事業場 (水域別類型別+自治体別業種別 排水量別)の基準項目と濃度基準値 (+総量規制基準値/汚濁負荷量 規制基準値) 生活環境の保全に関する環境基準 水域別の基準項目と類型別の濃度 基準値 5 水質汚濁防止法(1970特定施設 認可 設置の届出 排出水の制限 排水基準 健康項目・生活環境項目 計画変更命令 罰則 改善命令 (水質汚濁防止法施行令第1条 別表第1Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007
Transcript
Page 1: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

1

1

6.湖沼保全のために採られてきた対策

滋賀県立大学 井手慎司

2

湖沼管理の法規制

1964 河川法(1896年制定.1964年と1997年に改正)1967 公害対策基本法1969 滋賀県公害防止条例1970 水質汚濁防止法

1972 滋賀県水質汚濁防止法第3条第3項の規定に基づく排水基準を定める条例滋賀県公害防止条例(改正)

1979 滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例1984 湖沼水質保全特別措置法1992 滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例1993 ラムサール条約の登録湿地1996 滋賀県環境基本条例2000 マザーレイク21計画2002 滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例

湖沼管理の法規制

2003 滋賀県環境こだわり農業推進条例 制定環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律 制定

2004 滋賀県環境学習の推進に関する条例 制定

2005 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 施行

2006 ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例 制定

2011 マザーレイク21計画 第2期改定(~2020)環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律 改正

2013 内湖再生全体ビジョン 策定

2014 水循環基本法 成立

2015 琵琶湖の保全及び再生に関する法律 公布・施行(9/28)生物多様性しが戦略 策定 <生物多様性と文化>

2017 第7期 琵琶湖に係る湖沼水質保全計画 策定(3/24)(~2020)琵琶湖保全再生計画 策定(3/30)(~2020)

3 4

新河川法(1964)

水系一貫管理制度の導入 湖沼は法的に河川の一部 一級水系の河川管理者は国土交通大臣 二級水系の河川管理者は都道府県知事 琵琶湖の河川管理者は滋賀県知事

琵琶湖は都道府県知事に管理を委任された指定区間(河川法第9条第2項)

滋賀県は琵琶湖に関する大きな権限を有するとともに,その管理に大きな責任を負う

環境基準と排水基準

排水基準(排出元) 環境基準(排出先)

特定事業場(特定施設) 公共用水域(河川・湖沼・海域)

人の健康の保護に関する排水基準対象:全特定事業場

(全国一律+自治体別)の基準項目と濃度基準値

人の健康の保護に関する環境基準(≒水道水基準)

全水域一律の基準項目と濃度基準値

生活環境の保全に関する排水基準対象:一部特定事業場

(水域別類型別+自治体別業種別排水量別)の基準項目と濃度基準値

(+総量規制基準値/汚濁負荷量規制基準値)

生活環境の保全に関する環境基準

水域別の基準項目と類型別の濃度基準値

5

水質汚濁防止法(1970)

特定施設

認可設置の届出

排出水の制限

排水基準 健康項目・生活環境項目

計画変更命令罰則

改善命令

(水質汚濁防止法施行令第1条 別表第1)

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

Page 2: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

2

滋賀県水質汚濁防止法第3条第3項の規定に基づく排水基準を定める条例(上乗せ条例)

平均的日排出量(裾下げ)10 ~ 50 m3/日

上乗せ排水基準

生活環境項目①業種毎×②平均的日排出量(4区分)毎

10 ~ 30, 30 ~ 50, 50 ~ 1,000, > 1,000 m3/日

規制対象事業場

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

滋賀県公害防止条例

許認可制

横だし施設

脱脂施設などの悪質下水排出施設(1972~)小規模排水施設(1996~)

横だし項目

アンチモン

有害物質を使用する特定事業場等を「指定工場」と定め,特定施設の設置・変更等について許可制をとっている

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

9

富栄養化防止条例(1979)

有リン合成洗剤の県内での使用,販売の禁止 工業排水に対する窒素・リンの排水基準設定

世界初

肥料の適正使用 家畜ふん尿の適正処理 雑排水の処理

国の環境政策への影響 湖沼に係る窒素・リンの環境基準設定(1982) 湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)制定(1984) 窒素・リンの排水基準の追加(1985)

湖沼水質保全特別措置法

新たな規制対象

湖沼水質保全計画

湖沼特定事業場からの汚濁負荷量を規制する(水質汚濁防止法の特定事業場とみなす)

水質保全事業や工場排水対策,流出水対策等についての計画を策定し,水質保全対策を計画的・総合的に進める

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

特定事業場数

101 特定施設

水質汚濁防止法

≧50 m3/day 731 事業場

8 特定施設

滋賀県公害防止条例

74

滋賀県水質汚濁防止法第3条第3項の

規定に基づく排水基準を定める条例

≧10 m3/day 429 586

<10 m3/day 2,455 1,110

特定施設 →

日排

水量

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

'75 '80 '85 '90 '95 '00 '05

1,0

00 m

3/day

公害防止条例 水質汚濁防止法 総排水量

特定事業場数と総排水量の推移

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

Page 3: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

3

滋賀県における特定事業場数の業種別の割合

Septic

Tank30%

Hotel11%

Restaurant9%

Food manufacturing

9%

Car washer9%

Dry-cleaning4%

Livestock3%

Textile3%

Others22%

5,315

Establishments

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

特定事業場における生活環境項目の達成率

0

20

40

60

80

100

0

500

1000

1500

2000

2500

1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005

%

特定事業場数 未達成事業場数 未達成率

Toyohisa Nakamura: "REGULATORY FRAMEWORK AND CHALLENGES FOR CONTROLLING INDUSTRIAL EFFLUENTS IN SHIGA, JAPAN", the 12th World Lake Conference, India, 2007

15

河川の水質

Lake Biwa and Its Watershed(LBRI)16

内湖の再生

Lake Biwa and Its Watershed(LBRI)

17

ヨシ条例(1992)

ヨシ群落の機能 琵琶湖の原風景

水生植物生産機能(ヨシ簾やヨシ葺に利用)

環境形成機能(魚類,鳥類の生息地)

自然護岸機能 水質浄化機能

生態系保全を謳った最初の条例 「守る」「育てる」「活用す

る」 保護・保全地区の指定

造成(植栽)事業

Lake Biwa and Its Watershed(LBRI)

ヨシ条例制定以降のヨシの植栽面積は県が約15ha,水資源公団が約5ha

ヨシ群落面積

0

50

100

150

200

250

300

1953 1991 1997 2007 2014

18

(ha)

Page 4: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

4

19

淡海の原風景を守る-ヨシ群落保全条例のあらましー平成15年度改訂版(滋賀県)より

滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例(ヨシ群落保全条例)(1992年7月1日施行,2002年12月改正)

20

ヨシ刈り風景

丸立て(ヨシの乾燥)

淡海の原風景を守る-ヨシ群落保全条例のあらましー平成15年度改訂版(滋賀県)より

21ヨシ群落とはヨシ・マコモ等の抽水植物とヤナギ・ハンノキの混生植物群落をいう

淡海の原風景を守る-ヨシ群落保全条例のあらましー平成15年度改訂版(滋賀県)より

22

ヨシ群落のはたらき

生態系保全機能 水域から陸域への推移帯 約100種の野鳥の産卵場・餌場・ねぐら コイ・フナなどの産卵場,稚魚の隠れ場,餌場

水産資源保全機能 侵食防止機能

地下茎による湖岸の侵食防止

水質浄化機能 汚濁物質の沈殿を促進する作用 水中茎に付着する微生物による有機物分解 窒素やリンの栄養分としての吸収

水生植物生産機能 屋根葺き材料,よしず,衝立,ヨシ工芸品

23

ヨシ群落保全条例の三つの柱

守る

保全の必要な区域を「ヨシ群落保全区域」に指定し,保全に支障のある行為を規制し守っていく

育てる

ヨシを育てる計画を立て,計画に基づきヨシの増殖・再生を図る.また,保全区域の清掃やヨシの刈取り作業をおこなう

活用する 新たなヨシの利用方法を調査,研究する

24

ヨシ群落保全区域

保護地区 優れたヨシ群落が形成され,生

態系の保全を図る上で特に重要と認められるところ.地域内での行為の一部に許可が必要

保全地域 同地域のヨシを保全することで

隣接するヨシ群落と一体となった群落の形成が可能なところ.地域内での行為の一部に許可が必要

普通地域 ヨシ群落保全区域の中で保護地

区・保全地域以外のところ.地域内での行為の一部に届出が必要

淡海の原風景を守る-ヨシ群落保全条例のあらましー平成15年度改訂版(滋賀県)より

Page 5: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

5

25

マザーレイク21計画琵琶湖総合保全計画(2001)

琵琶湖の未来像を示す 施策の体系化

環境施策と環境保全運動を車の両輪と位置づける

琵琶湖総合開発の反省

環境政策の主眼を集水域全体の管理から流入河川毎の流域の取り組みの総体としての琵琶湖の保全にシフトさせた

早崎内湖干拓地環境調査(2001.11~)

2013年 県による20haの用地買収完了

バブルの犠牲となったもう一つの内湖かつてニゴロブナの最大の産卵場

干拓面積89haのうち琵琶湖側17ha

時代に翻ろうされた津田内湖

1967年着工→(減反政策への転換)→‘69年畑作転換→‘71年干陸(100.7ha)(28万/反)

畑作での出発/高い地下水位/スクモ地/連作障害→上がらない収益→(後継者不足)地権者の75%が土地を手放したがっていた

‘90リゾート計画(700万/反)→バブル崩壊→マイタケ工場(公園)進出計画(500万/反)→‘98玉田市長の逮捕(収賄罪)→’99内湖復元計画登場(淡海環境保全財団)

→‘00津田内湖を考える市民会議→進展しない復元計画→公共残土受入れ(嵩上げ:2011年度末で面的整備率は約6割)

レジャー利用適正化条例(2002) 琵琶湖環境対策特別委員会資料(2017/05/23)

28

レジャー利用適正化条例(2002) 琵琶湖環境対策特別委員会資料(2017/05/23)

29

マザーレイク21計画(第2期改訂版 2011)

Page 6: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

6

マザーレイク21計画の進行管理

学術フォーラム

専門家らによる評価・助言・提言

成果発表・意見交換(学術委員会の後継)

P

D

C

A学術的観点からの進行管理

地域フォーラム

流域協議会などによる地域別の交流・意見交換

県域フォーラム

県域レベルでの市民らの交流・意見交換

Plan Do Action

第2期計画の策定

見直し結果を計画に反映

県民・行政らによる事業や施策、活動の

実施

評価を受けた改善・対応

策の検討

県民主体の取組や協働への発展

マザーレイク21計画の進行管理

P

D

C

A地域ごとの進行管理

P

D

C

A各種個人・団体の進行管理

Check 琵琶湖総合保全の方向性の確認・評価

びわコミ会議

前年度の琵琶湖環境や取り組みなどについて、

多様な主体が議論しつつ評価・提言を行う

市民団体

民間企業

農林漁業

市民団体

若者流域

協議会

専門家行政

びわコミ会議

運営委員会

円卓会議の進め方や提示する資料等について多様なセクター

参加のもと協議

「思い」と「課題」によってゆるやかにつながるプラットフォーム機能

マザーレイクフォーラム多様な主体が評価・提言を行う円卓会議と分野・地域別フォーラム

琵琶湖保全再生法(2015)

目的(第 1 条):国民的資産である琵琶湖の保全・再生

基本方針〔国〕(第 2 条)と琵琶湖保全再生計画〔滋賀県〕(第 3 条)

国による支援(第4条~第6条)

国及び関係地方公共団体が講ずべき施策策(第 9 条~第 23 条)

32

33

事業・計画の枠組の変遷琵琶湖総合開発

1972-1996第1期ML21

2000-2010保全再生計画

2017-2020第2期ML21

2011-2020

利水/治水

守る 流域生態系の保全・再生

保全「水質保全」 水質保全 水質汚濁防止・改善 「集水域」

治水「水源山地保全涵養」 水源かん養 水源かん養/林業 「集水域」

保全「自然環境保全・利用」

自然的環境・景観保全生態系保全再生景観整備保全

「湖辺域」「つながり」

利水「土地改良」水源かん養/

自然的環境・景観保全農業

「湖辺域」「集水域」「つながり」

<漁業補償> (自然的環境・景観保全) 【水産業】 「湖内」「集水域」

暮らしと湖の関わりの再生

事業の目的・水資源開発(利水)・治水・地域の社会基盤整備(地域振興)

活かす 「個人・家庭」「地域」

農林水産業「生業」

観光・交通

(住民参画等) 推進体制「つながり」

環境教育

(調査研究) 調査研究 (調査研究)34

支える

琵琶湖の価値の発信

35

7.実施体制や制度環境

36

モニタリングと調査研究能力

水産試験場による水温と透明度の測定(1922年から)

環境監視は1966年に始まる 現モニタリング体制(湖内48測定局)は1979年に完

成 汚染監視から環境監視へ

国土交通省近畿地方整備局と滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター

琵琶湖研究所(現「滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター」)を1982年に,滋賀県立大学を1995年に,琵琶湖博物館を1996年に設立

Page 7: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

7

37

滋賀県における環境学習の始まり

「環境保全に関する指導資料」発行(1974)

「環境教育実践事例集」(小学校編)発行(1976)

同中学校編発行(1977)

「環境教育実践推進校」事業開始(1980) 小・中・高等学校を対象に毎年 30 校指定 1996年からは「環境教育モデル校」事業

環境教育副読本「あおいびわ湖」(小学校編),「あおい琵琶湖」(中学校編),「琵琶湖と自然」(高等学校編)を発行(1980) 環境教育実践事例集

38

あおいびわ湖環境教育副読本

39

びわ湖フローティングスクール

滋賀県では小学校5年生が毎年「うみのこ」という名前の専用船で「フローティングスクール」と呼ばれる1泊2日の体験学習を受けることになっている

フローティングスクールは1983年からはじまり,現在までに50万人以上の県内の児童が湖の子に乗船している 年間94回の出航,1航海あたりの児童数は

約160人,費用は約300万円,

びわ湖フローティングスクールが生まれた社会的背景

昭和57年3月県議会において「青少年の健全

育成について、最近における非行の増加と低年齢化・一般化の傾向に対処するため、その背景にある子どもの甘えや大人の過保護などを見直し、厳しい生活体験と集団訓練によりたくましい少年づくりをすすめるため」に「滋賀県立びわ湖フローティングスクール事業の設置および管理に関する条例」が議決。

40

https://uminoko.jp/outline/about-uminoko/

41

旧学習船「うみのこ」

全長 65 m,幅 12 m,高さ 20 m,総トン数 928 トン,航海速力 8~9ノット,児童定員 240 人

42

新学習船「うみのこ」(2018~)

全長 65 m,幅 12 m,総トン数 1355 トン,航海速力 8~9ノット,児童定員 330 人

https://uminoko.jp/outline/about-uminoko/

Page 8: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

8

43

滋賀県の環境学習の特徴

県内の小中学校340校のうち,95%の学校が校外で自然環境学習を実施している.71%の学校は校内と校外の両方で実施している

校内における自然環境学習は,理科や生活の教科の中で,陸上の動植物調査や野鳥観察などが校内の樹林地や草地で主に実施されている

校外における自然環境学習は,総合的学習の時間の中で,水質調査や水生生物調査,川の流れ学習などが川や水田などで主に実施されている

県内には学校から徒歩20分以内の近距離に学習に適した自然が残っており,それらの場所が校外における自然環境学習の主な実施場所となっている

学校ビオトープ(SB)は,約11%の学校に整備されている

44

環境学習の更なる推進

「滋賀県環境学習の推進に関する条例」が全国初の環境学習推進条例として平成16年3 月に制定され,同年4月に施行.同年10月には「滋賀県環境学習推進計画」を策定 平成15年10月に「環境の保全のための意欲の増

進及び環境教育の推進に関する法律」が施行 平成24年10月に改正法「環境教育等による環境

保全の取組の促進に関する法律」が施行

滋賀県環境学習支援センターの開設(2005)

45

琵琶湖博物館

The Lake Biwa Museum was opened in 1996 as a center of EE for local people as well as school children. As the best learning spot about Lake Biwa, it welcomes more than 600 thousand visitors yearly.

2012年6月,800万人の来館者を記録.46

琵琶湖博物館敷地・施設面積

敷地面積 42,434 m2

主要施設面積 17,512 m2

水族館 6,475 m2

主要施設の延べ面積 23,987 m2

高さ 15 m

建設費と維持管理運営費

建設費 220億円

年間維持管理運営費 10億円

入場料

小・中学生 250 円高・大学生 400 円

一般 500 円

47

A展示室【 琵琶湖のおいたち 】

B展示室【 人と琵琶湖の歴史 】

水族展示室【 淡水の生き物たち 】

Information Map of LBM

C展示室【 湖の環境と人々のくらし 】

48

博物館の活動

研究・調査 交流・サービス 情報 資料整備 展示

湖と人との関係を過去にさかのぼって研究・調査し,資料を収集・整理し,その成果をもとに県民とともに考え,今後の望ましいありかたを探ることを目的とする

Page 9: 湖沼管理の法規制 - University of Shiga Prefecturecsspcat8.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/Wesppt06.pdf · と定め,特定施設の設置・変更等について許可制

9

49

琵琶湖博物館は展示物を見学するだけの施設ではない

一般の人たちはもちろん,専門家も含めて,あらゆる人びとが展示や交流・サービス活動,研究・調査活動などの博物館活動にかかわり,楽しみながら学び考え,出会いの場となるような,またそのことが博物館の成長,発展につながるような,人,物,情報が交流する場を目指す

2016年7月14日(木)リニューアルオープン

50

民間企業の努力

滋賀県環境公害防止協会(現「社団法人滋賀県環境保全協会」)の設立(1981) 湖南・甲賀環境協会(1978)

約400社の県内関連企業で構成

もともとは,企業担当者間の廃水処理技術に関する情報交換会からスタート

窒素やリンに関する排水基準を盛り込んだ富栄養化防止条例が制定されたときにも,県内企業からの大きな反対はなかった.圧倒的な県民世論の中,県内企業としては,事業所が位置する地域のコミュニティとの良好な関係を維持する必要があったためである.わが国では,同様の理由によって,工場と近隣住民との間に,一般に法的な排出基準よりより厳しい基準を定める「公害防止協定」が交わされることが多い.

51

国際協力

第1回世界湖沼会議開催(大津,1984) ㈶国際湖沼環境委員会(ILEC)設立(1986) 第9回世界湖沼会議開催(滋賀,2001) 第3回世界水フォーラム開催(滋賀・京都・大

阪,2003) 「世界湖沼ビジョン」 策定支援(世界水フォー

ラム2003年で発表)

52

世界湖沼会議とは

琵琶湖を抱える滋賀県が提唱(1984) 湖沼に関する数少ない国際会議の一つ 最大の特徴は,市民に対して開かれているこ

と 市民や科学者,行政,企業などが一堂に会し

て,湖沼環境や水質の保全について話し合うことを目的とする

53

第1回滋賀県(1984)

第2回アメリカ・マッキノウ(1986)

第3回ハンガリー・バラトン(1988)

第4回中国杭州(1990)

第5回イタリア・ストレーサ(1993)

第7回アルゼンチン・ラカール(1997)

第8回デンマーク・コペンハーゲン(1999)

第9回滋賀県(2001)

第10回米国シカゴ(2003)

第11回ケニア・ナイロビ(2005)

過去の世界湖沼会議

第12回インド・ジャイプール(2007)

第14回米国テキサス(2011)

第15回イタリア・ペルージャ(2014)

第13回中国武漢(2009)

第16回インドネシア・バリ(2016)

第17回茨城霞ヶ浦(2018)

第6回茨城霞ヶ浦(1995)


Recommended