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オールインワン・多機能携帯型診断器
エレスマートの機能紹介
■エレスマートでの連続回転設備の診断は、従来の振動分析方法で成果を上げていますが、 近、
動作時間の短い機械、瞬間的に発生する事象、さらに電流での詳細分析機能まで現場より要望が
拡がってきました。そこで今回、要望の多い短時間の事象を自身の信号レベルをトリガーとして
診断する方法を5種類作成しました。
■短時間の信号測定機能
● 固有振動数
● 間欠・衝撃振動
● 特定周波数占有率
● 区間電流・電力量
● サイクル時間
株式会社日鉄エレックス
==(3)短時間信号診断(オプション)==
エレスマート ●固有振動数測定機能 1)概要・特徴 ・自身の信号レベルをトリガーの起点として打撃前後
の振動時間波形を表示できます。 ・ミスハンマリングの有無をグラフで確認でき、ミス
の場合打撃信号を除外できます。 ・ポストトリガを設定することで、打撃直後のアタッ
クノイズを除去できます。 ・FFT グラフでは、リニア/対数表示を選択できます。
・カーソル操作で周波数とレベルを表示できます。 2)測定 ①図 1 の回転シミュレータのベース部分を打撃した事
例を紹介します。 ②減衰信号が確認できます。(画面 1-1) ③今回 FreeRUN(打撃練習モード)で測定しました。
AutoRUN(連続打撃 )や StepRUN(打撃後停止 )でFFT 波形を平均化することもできます。
④ミスハンマリングがないことを確認して TIME/FFTボタンで FFT 波形表示にします。(画面 1-2)
⑤縦青カーソルが自動的に 大スペクトル位置へ移動
して、図下部に固有振動数(共振周波数)265Hz、0.03Gを表示しました。
⑥グラフ内の←→操作でカーソルを移動させ、周波数
とスペクトル値を表示します。
回転シミュレータ
振動センサ ハンマ
図 1 固有振動数測定機器
画面 1-1 時間波形
画面 1-2 FFT波形
固有振動数
AN No. 2012-01J1.0Published in May. 2012Revised in
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●間欠・衝撃振動測定機能 1)概要・特徴 ・衝撃や物体が通過する際に発生する短時間の信号を
分析できます。 ・振動センサだけでなく音響マイクも使用できます。
・自信号をトリガーとして測定できます。 ・トリガーを基点として信号の前後を表示できます。 ・プリ/ポスト設定とその時点からの指定採取時間をカ
ーソルで簡単に設定できます。 ・グラフ全体の中で指定区間内に絞って平均値、ピー
ク値を算出できます。 ・生波形(Md)と ENV 波形(Hi)の信号を選択できます。
・トリガレベル、プリ/ポストトリガ点、演算区間等は、
画面上のカーソルで自由に設定できます。 2)測定1 通過信号分析 ①物体が高速で通過する時の音響信号を指向性のある
音響マイクで測定しました。(図2) ②接近から通過終了までをトリガーを起点としてグラ
フ化しています。(画面 2-1) ③物体が接近してトリガー点(横青波線)を越えた時点
より遡りデータ保存・グラフ表示します。 ④ポストトリガから測定区間終了(緑縦線)までの平均
値、ピーク値を算出します。 ⑤音響マイクでの測定ですので単位はパスカル(Pa)表示します。
図 2 通過信号分析
画面 2-1 通過時間波形
画面 2-2 衝撃時間波形
3)測定2 衝撃信号分析 ①図1の回転シミュレータのベース部分を金属ハンマ
で打撃した時の高周波衝撃信号を測定しました。
(画面 2-2) ②高周波(Hi)信号で採取しています。(ENV 処理) ③予め設定した青縦~緑縦カーソル間の平均値とピー
ク値を表示しています。 ④グラフ縦軸スケールは、オートになっていますので
適なスケールで表示します。 ⑤今回は、打撃信号より測定開始していますが、打撃
時のアタックノイズを除くポストトリガを設定する
こともできます。また、計測範囲外の大きな信号入
力時は、赤文字で「OVER」表示します。
トリガ基点
演算区間
測定結果
ポストトリガ点
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●特定周波数占有率測定機能 1)概要・特徴 ・ドリル刃の摩耗やカッターの目詰まりなどが発生す
ると特定の周波数で振動したり音響が発生したりし
ます。この特定の周波数スペクトル成分を占有率で
分析できます。 ・被対象物が固定の場所では振動センサ、危険場所や
測定物が移動する場合は音響マイクを使用して分析
できます。 ・異常時に発生する特徴的な周波数の範囲をグラフ上
のカーソルで簡単に設定できます。 ・時間波形/FFT波形の切り替え状況を確認できます。
2)分析 ①図3の装置で、カッターの切削音を音響により分析
しました。 ②カッタから 1m 離れた位置に音響マイクをセットし
ます。 ③10kHz までの音響生信号(Md)で分析しています。信
号の発生条件によっては、超音波領域の 40kHz まで
分析することもできます。 ④一定時間測定後、画面に信号の時間波形,平均値,
ピーク値,占有率を表示します。(画面 3-1) ⑤画面のTIME/FFTボタンにより周波数分析グラフを
表示します。(図 3-2) ⑥青縦-緑縦カーソル間に含まれるスペクトル占有度
を表示しています。また、カーソル操作により、カ
ーソル周波数とスペクトル値を表示して,占有率を
再計算できます。
音響マイク
図 3 特定周波数占有率分析機器
画面 3-1 時間波形
画面 3-2 FFT 波形
切断カッタ
占有率範囲
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●区間電流・電力量測定機能 1)概要・特徴 ・ロボットや移動機械など、測定物自体が動作中の負荷
電流を分析できます。 ・信号は、電流クランプにより常時サンプリングを行っ
ており、電流トリガー点を基点として前後の信号を表
示します。 ・プリ/ポスト時間を設定することでトリガー点より演算
区間をずらすことができます。 ・演算区間の電流平均値、電流 大値、電力を表示でき
ます。 ・測定後、演算範囲の2本の時間軸カーソル操作により
分析結果を再計算表示できます。 2)分析 ①図 4 の機器で、ロボット旋回中にアームを下降停止後
上昇させる動作を電流信号で測定しました。 (画面 4-1) 予めトリガレベル(横青波線)、ポスト遅れ時間(青縦ラ
イン)、測定範囲(緑縦ライン)の測定タイムスケジュー
ルを画面上のカーソルにて設定しておきます。 ②ロボットベース旋回開始 旋回開始により電流がトリガレベルを超えた時点を計
測の基点とし、その前よりグラフの表示・保存対象と
します。(図中②) ③アーム下降が開始した時から演算を開始しています。
(図中③) 演算区間(縦青-縦緑)でカーソル間の平均電流、平均電
力、 大電流を演算表示します。 ④アーム上昇時点で電流が再び増加しますが演算範囲外
のためグラフ表示のみとなります。(図中④)
画面 4-1 時間軸電流波形
② ③ ④
図 4 区間電流・電力量分析機器
②
③ ④
アーム下降区間演算範囲
ベース旋回
②ベース旋回③アーム下降 ④アーム上昇
アーム 上昇区間 演算範囲外
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●本社・営業部 〒104-0033 東京都中央区新川 1-8-8 アクロス新川ビル 6F TEL 03-6688-5850 FAX 03-6688-5874 ●営業本部 操業診断 Gr 〒805-8555 北九州市八幡東区前田大塚 1320-4 TEL 093-288-5919 FAX 093-288-5968 ●ホームページ:http:www.ns-elex.co.jp/
5.サイクル時間測定機能 1)概要・特徴 ・一定動作を繰り返す電動機器の動作サイクル時間を
電流や電圧変化で測定できます。 ・信号変化を測定する方法として、商用電流を測定す
る電流クランプとエレスマートへ直接電圧変化を入
力する2種の方法があります。 ・サイクルの測定開始はトリガレベル以上の地点を基
点として、設定のポスト時間経過後、測定を開始し
ます。 ・サイクルのON演算時間は、3種の終了条件を設定
できます。
①演算開始→信号の下降によりトリガー点以下 になった時点の間
②演算開始→信号の下降による信号が0に なった時点の間
③演算開始→信号が一旦マイナスになり再度 信号が上昇しプラスになった時点の間
2)分析 ①パルスを測定しました。(画面 5-1) ②トリガー点とプリ・ポスト位置を同じにしています。
またサイクル終了位置をトリガー間(図中①点)に設
定しています。 ③画面上部へサイクル時間測定結果を表示します。
画面 5-1 時間軸電流波形
今回トリガ基点と
ポスト位置は同じ ①点
②点
③点
演算範囲