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ISSN 1882 9481 BULLETIN OF THE OKINAWA PREF ECTURAL ... · 1 位から26...

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ISSN 18829481 BULLETIN OF THE OKINAWA PREFECTURAL AGRICULTURAL RESEARCH CENTER No.2 March, 2009 沖縄県農業研究センター研究報告 2 平成 21 3 [別刷] 沖縄県農業研究センター研究報告 21-29, 2009 沖縄県産野菜の抗酸化能及び抗酸化成分に関する研究 前田剛希
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ISSN 1882-9481

BULLETIN OF THE OKINAWA PREFECTURAL AGRICULTURAL RESEARCH CENTER

No.2

March, 2009

沖縄県農業研究センター研究報告

第 2号

平成 21年 3月

[別刷]

沖縄県農業研究センター研究報告 2:1-29, 2009

沖縄県産野菜の抗酸化能及び抗酸化成分に関する研究

前田剛希

Page 2: ISSN 1882 9481 BULLETIN OF THE OKINAWA PREF ECTURAL ... · 1 位から26 位まで急激に低下した事実は“26 ショック”と 呼ばれ,沖縄県では大きな問題となっている.沖縄県は,
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沖縄県農業研究センター研究報告 2: 1~29,2009

沖縄県産野菜の抗酸化能及び抗酸化成分に関する研究

前 田 剛 希

Studies on antioxidant activities of Okinawan vegetables and those antioxidant substances

Gouki MAEDA

目 次

第 1章 緒 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第 2章 沖縄県産野菜のポリフェノール含量と抗酸化能

2.1. 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2.2. 実験方法

2.2.1. 試薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2.2.2. 試料及び試料溶液の調・・・・・・・・・・4 2.2.3. 総ポリフェノール含量の測・・・・・・・・4 2.2.4. 抗酸化能の測定

(1) DPPHラジカル (DPPH・) 消去・・・・・・ 4 (2) スーパーオキサイドラジカル (O2

-・) 消去能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

(3) t-BuOOラジカル (t-BuOO・) 消去能 ・・・・4 (4) リノール酸 β - カロテン退色法・・・・・・4

2.3. 結果及び考察 2.3.1. 沖縄県産野菜の総ポリフェノール含量・・・5 2.3.2. 沖縄県産野菜の抗酸化能

(1) DPPHラジカル(DPPH・) 消去能 ・・・・・6 (2)スーパーオキサイドラジカル (O2

-・)消去能・・6 (3) t-BuOOラジカル (t-BuOO・) 消去能 ・・・・6 (4) リノール酸 β-カロテン退色法・・・・・・・7

2.4. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 第 3章 ホソバワダンのポリフェノール

3.1. 緒言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 3.2. 実験方法

3.2.1. 試薬・・・・・・・・・・・・・・・・・11 3.2.2. 沖縄県野菜のポリフェノール分布パターンの

比較・・・・・・・・・・・・・・・・・11 3.2.3. ホソバワダンポリフェノールの分離・同定 (1) ホソバワダン抽出液の調製・・・・・・・11

(2) ホソバワダンポリフェノールの分離・精製・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

(3) ホソバワダンポリフェノールの LC/MS及びNMR分析・・・・・・・・・・・・・・12

3.3. 結果及び考察 3.3.1. ホソバワダンなど沖縄県野菜のポリフェノー

ル分布パターンの比較・・・・・・・・・12 3.3.2. ホソバワダンポリフェノールの同定・・・12 3.4. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・13

第 4章 ホソバワダンポリフェノールの低密度リポタンパク質(LDL)抗酸化能

4.1. 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 4.2. 実験方法

4.2.1. 試薬・・・・・・・・・・・・・・・・・17 4.2.2. 試料及び試料溶液の調製・・・・・・・・17

4.2.3. ホソバワダンのポリフェノール含量の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

4.2.4. ホソバワダンポリフェノールの DPPH・消去能・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

4.2.5. ホソバワダン抽出液及びホソバワダンポリフェノールの LDL抗酸化能の測定・・・・・18

4.3. 結果及び考察 4.3.1. ホソバワダンのポリフェノール含量の測

定・・・・・・・・・・・・・・・・・18 4.3.2. ホソバワダンポリフェノールの DPPH・消去

能・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 4.3.3. ホソバワダン抽出液及びホソバワダンポリフ

ェノールのLDL抗酸化能の測定・・・・19 4.4. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第 5章 ラットにおけるホソバワダンポリフェノールの血中動態

5.1. 緒言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 5.2. 実験方法

5.2.1. 試薬・・・・・・・・・・・・・・・・・22 5.2.2. 試料及び試料溶液の調製・・・・・・・・23 5.2.3. 動物実験・・・・・・・・・・・・・・・23

5.2.4. 血漿中のポリフェノールの抽出及びGlucuronidase/ Sulfatase処理・・・・・・・23

5.2.5. 血漿中のポリフェノールのHPLC及びLC/ MS分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・23

5.3. 結果及び考察 5.3.1. ラットにおけるホソバワダンポリフェノー

ル類の血中動態・・・・・・・・・・・23 5.4. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 第 6章 総 括・・・・・・・・・・・・・・・・26 謝 辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

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第 1章 緒 論

伝統的な日本式の食スタイル,つまり,穀類,魚介類,

イモ類,豆類,野菜・果実類をバランスよく組み合わせた

和食は,生活習慣病の予防という観点から国際的に注目さ

れている.しかしながら,皮肉なことに我が国の食スタイ

ルは欧米化が進み,野菜,魚中心の和食から肉中心の洋食

が増えている.さらに核家族の増加,ファーストフードな

どの外食産業やコンビニエンスストアの増加,食品加工技

術の進歩による食の孤食化,個食化が進み,食スタイルは

非常に多様化している. 食スタイルの欧米化は,肥満や高脂血症,糖尿病,高血

圧症など生活習慣病の増加の原因と考えられている.これ

ら 4 つの病態のうちいずれかを合併するメタボリックシンドロームという病態は動脈硬化の危険因子が集積して

いる状態であり,アテローム性血栓症の発症を著しく増加

させる.動脈硬化を基盤として発症する心筋梗塞や脳梗塞

は我が国の死因のトップを占めており,生活習慣病の予防

やコントロールは大きな社会的課題の一つになっている.

長寿県として知られる沖縄県も例外ではなく,食スタイル

の変化に伴う肥満など生活習慣病の増加が指摘されてい

る.社会保険庁の調査によれば,2000~2004 年度の政府管掌健康保険「生活習慣病予防検診」受診者のうち,BMI(体格指数:体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m))が 25以上で“肥満”と診断される人の割合は,沖縄県が男女ともに全国一位である.また,厚生労働省の大臣官房統計情報

部人口動態保険統計課によると,沖縄県の男性の平均寿命

は 1985年には 1位であったが,1990,1995年は 5位,2000年には 26 位にまで低下している.男性の平均寿命が全国1 位から 26 位まで急激に低下した事実は“26 ショック”と呼ばれ,沖縄県では大きな問題となっている.沖縄県は,

戦後のアメリカ統治という歴史的事情から,国内でもいち

早く食の欧米化が進み,食スタイルが激変した地域である.

“26 ショック”が,従来の沖縄式食スタイルから肉食中心の欧米式食スタイルへの変化によるものかは不明である.

しかしながら,メタボリックシンドロームが社会問題とし

てクローズアップされる状況下,沖縄県が戦後数十年とい

う短期間で平均寿命全国一位から失墜し,全国一の肥満地

域に変貌した事実は,沖縄の伝統的な食文化,食材の見直

しという社会的気運の高まりに繋がっている.かつては長

寿地域であった沖縄県の伝統的な食材は,生活習慣病に予

防的作用を有する可能性がある食材として,改めて注目さ

れている. 沖縄県で利用される食材には他府県では見られないも

のが多い.その理由として,中国など近隣アジア諸国の影

響を強くうけた沖縄の食文化は日本の中でも独特である

こと,亜熱帯地域に位置するために本州と異なる生物相を

有し,食材の種類が豊富であることが考えられる.温帯地

域の本州と比べると,沖縄で栽培されている野菜,果実の

種類は非常に多様である.他府県とは異なる様々な食材を

利用してきた従来の沖縄式食スタイルは,豚肉を中心とし

た脂肪の摂取が多い反面,緑黄色野菜,薬草,海草の摂取

が多いことを特徴とする1) .中でも特筆すべきは,国内

で最も豚肉の利用が多いことである.さらに興味深いこと

に,沖縄県は国内で最も高脂肪摂取地域であるにも関わら

ず,動脈硬化に起因する心臓病,脳溢血などの循環器系疾

患による死亡が少ないという相反する現象が見られてい

る2) .この現象に類似したものとして有名なのが,フラ

ンスは高脂肪摂取国であるにも関わらず循環器系疾患に

よる死亡が少ないという矛盾した現象“フレンチパラドックス”である3) .フランスの例では,フランス人が日常的

に飲用している赤ワインに含まれる抗酸化成分のポリフ

ェノールが抗動脈硬化作用を示すことが明らかにされて

いる4-8) .フランスの例と同様に,沖縄県で伝統的に利用

されてきた食材も,動脈硬化に起因する循環器系疾患に対

して予防的効果を有するポリフェノールなどの抗酸化成

分を多く含んでいることが十分に期待される.先述したよ

うに沖縄県は高脂肪摂取地域であるが,一方では野菜の摂

取も多い地域であり,一人あたりの緑黄色野菜の年間消費

量は他府県に比べて約 30%以上多い2) .さらに沖縄県では

薬草として用いられる野菜を日常食に多く利用している.

例えばニシヨモギ,ホソバワダンは解熱などに,ウイキョ

ウやボタンボウフウは咳止めなどに効くとされる薬草で

あるが9) ,汁物の具材など野菜として日常的に食べられて

いる.これらの事実と伝承から,沖縄で食されてきた野菜

が何らかの生理活性を有していることは十分に予想され

る. そこで本研究では,まず沖縄で利用されている野菜,特

に茎・葉菜類,果菜類の抗酸化能を評価するために,沖縄

県内で入手した 45 品目の野菜のポリフェノール含量を調べるとともに,分光測定法によるDPPHラジカル消去能やスーパーオキサイドラジカル消去能などin vitroの実験系により抗酸化活性を測定した.さらに,ホソバワダンにつ

いては抗酸化成分であるポリフェノールの単離を行い,1H-NMR, 13C-NMR,MSスペクトル分析によって,数種類のポリフェノールを同定した.抗酸化物質であるポリフェ

ノール類は動脈硬化発症要因の一つとされる低密度リポ

タンパク質(Low density lipoprotein; LDL)の酸化を抑制することが明らかにされている.LDL抗酸化能を有するアントシアニンやカテキンなどのポリフェノールを含むワイ

ンやお茶の摂取後は血中の被酸化性が低下することも報

告されている10,11) .したがって,ワインやお茶のように

LDL抗酸化能を有し,摂取後は血中へ移行するポリフェノールを多く含む素材は,血中の状態を良好に保ち動脈硬化

に予防的に作用することが期待される.そこで,構造が明

らかになったホソバワダンポリフェノールについてはさ

1

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らに研究を進め,各成分のヒトLDLに対する抗酸化能を測定した.また,LDL抗酸化能を示した成分の体内吸収性を明らかにするために,ラットにホソバワダン抽出物を投与

し,ホソバワダンポリフェノールの血中動態について検討

した. 本論文では,まず第 2章に,沖縄で入手した野菜 45品

目のポリフェノール含量及び抗酸化能を評価した結果を

述べた.第 3章では,ホソバワダンに含まれるポリフェノ

ールの単離精製及びその構造決定についてまとめた.第 4章では,ホソバワダンに含まれるポリフェノールの LDL抗酸化能を,in vitro で調べた結果を述べた.さらに第 5章では,ホソバワダン抽出物を投与したラット血中のホソ

バワダンポリフェノールの動態を HPLC などで分析した結果をまとめた.最後に第 6章で,本研究の全内容を総括した.

第 2章 沖縄県産野菜のポリフェノール含量と抗酸化能

2.1. 緒言 沖縄の伝統的な食文化は,日本の他の地域と比較すると

1)海草の摂取が多い,2) 緑黄色野菜の摂取が多い,3)薬草の摂取が多い,4)脂肪の摂取が多い,5)塩分の摂取が少ないという特徴を有していた1) .注目すべき点は,

沖縄は豚肉の摂取量が多い高脂肪摂取地域であるにもか

かわらず,動脈硬化に起因する循環器系の疾病,例えば虚

血性心疾患や脳溢血による死亡が少ないことである2) .

フランスでも同じような現象が見られ,フランスは欧米諸

国の中でも高脂肪摂取国である割に循環器系疾患による

死亡が少ない.この現象はフレンチパラドックスとして有

名であり3),フランス人の日常的な赤ワイン摂取が動脈硬

化疾患のリスクを軽減させており,その関与物質として赤

ワイン中のポリフェノールが血中の抗酸化活性を上昇さ

せ,低密度リポタンパク質(Low density lipoprotein;LDL)の酸化を抑制することで抗動脈硬化作用を示していると

考えられている4-8) .これと同様に,沖縄で日常食べられ

ている食材も,抗酸化成分として動脈硬化に抑制的に作用

するポリフェノールを含んでいることが期待される. ポリフェノールは,植物中に多く見られるカテコール構

造を有する化合物の総称であり,その多くは抗酸化能を有

する.生体内で過剰に発生した活性酸素やフリーラジカル

は細胞やDNAなどを損傷し,老化,癌,さらには動脈硬化など生活習慣病の発症要因になるとされている.生体内

で最初に生成されるフリーラジカルはスーパーオキサイ

ドラジカル(O2-・)である.O2

-・自体はそれほど毒性は

高くないが,O2-・の生成に引き続きヒドロキシルラジカ

ル(OH・)などの反応性が高く毒性の強いラジカル種が生

成する.さらに,生体内で発生したフリーラジカルによる

連鎖的脂質過酸化反応により,細胞膜の脂質は過酸化脂質

(LOOH)となり様々な疾患の原因となる12,13) .抗酸化能

を示すポリフェノールは,活性酸素やフリーラジカルによ

って発症すると考えられている疾患に予防的に作用する

ことが予想され,ポリフェノールを多く含む食材は人の健

康維持に有用であることも期待される. 本章では,沖縄で利用されている野菜,特に茎・葉菜類,

果菜類の抗酸化能評価を目的とし,県内で入手した野菜

45品目のポリフェノールの定量,比色法によるDPPHラジカル(DPPH・)消去能を測定した.さらに高ポリフェノールで強いDPPH・ 消去能を示した野菜については,O2-・,t-BuOOラジカル(t-BuOO・)消去能などin vitroの実験系により,詳細に抗酸化能を調べた.

2.2. 実験方法 2.2.1. 試薬

2-morpholinoethanesulfonic acid monohydrate(MES),1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH),Troloxは和光純薬工業(株)から購入した.diethylenetriamine- N,N,N’,N”,N”-pentaacetic acid(DTPA)は同人化学社製を用いた.hipoxanthine(HPX)は Sigma社製,xanthine oxidase(XOD,牛乳由来)と superoxide dismutase(SOD,ウシ赤血球由来)は Rosche Diagnositics社製を用いた.5,5-dimethyl-1-pyroline-N-oxide(DMPO)はラボテック(株)から購入した.その他の試薬は,市販の特級試薬を使用し

た.

2

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Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

1 Akageuri ** Cucumber Cucumis sativus L. flesh2 Akapiiman Red pepper Capscicum annuum L. flesh3 Aojiso Japanes Perilla Perilla ocymoides L. leaf4 Asuparagasu Asparagus Asparagus officinalis L. young stalk5 Bajiru Sweet basil Ocimum basilicum L. leaf6 Botanbouhuu Peucedanum japonicum Thunb. leaf7 Burokkori Broccoli Brassica oleracea L. var. italica Plenck bud8 Ensai Water convolvulus Ipomoea aquatica Forsk. leaf, stalk9 Hadaikon Japanese radish Raphanus sativus L. leaf10 Hechima Loofah Luffa cylndrica M.J.ROEM. flesh11 Hihatsumodoki Long pepper Piper retrofractum Vahl leaf12 Hosobawadan Crepidiastrum lanceolatum Nakai leaf13 Hourensou Spinach Spinacia oleracea L. leaf14 Karashina Mustard green Brassica juncea Czern.et Coss. leaf15 Komatsuna Chinese mustard Brassica campestris L. (rapa.group) leaf16 Kureson Watercress Nasturtium officinale R.Br. leaf, stalk17 Kuwansou ** Day lily Hemerocallis fuluva L. leaf18 Kyabetsu Cabbage Brassica oleracea L. var. capitata L. leaf19 Kyuuri Cucumber Cucumis sativus L. flesh20 Makomo Manchurian wild rice Zizania latifolia (GRISEB.) STAPF young stalk21 Maruokura Okra Abelmoschus esculentus Moench. whole fruit22 Mitsuba Japanese honewort Cryptotaenia japonica Hassk. leaf23 Moroheiya Jew's mallow Corchorus olitorius L. leaf

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

1 Akageuri ** Cucumber Cucumis sativus L. flesh2 Akapiiman Red pepper Capscicum annuum L. flesh3 Aojiso Japanes Perilla Perilla ocymoides L. leaf4 Asuparagasu Asparagus Asparagus officinalis L. young stalk5 Bajiru Sweet basil Ocimum basilicum L. leaf6 Botanbouhuu Peucedanum japonicum Thunb. leaf7 Burokkori Broccoli Brassica oleracea L. var. italica Plenck bud8 Ensai Water convolvulus Ipomoea aquatica Forsk. leaf, stalk9 Hadaikon Japanese radish Raphanus sativus L. leaf10 Hechima Loofah Luffa cylndrica M.J.ROEM. flesh11 Hihatsumodoki Long pepper Piper retrofractum Vahl leaf12 Hosobawadan Crepidiastrum lanceolatum Nakai leaf13 Hourensou Spinach Spinacia oleracea L. leaf14 Karashina Mustard green Brassica juncea Czern.et Coss. leaf15 Komatsuna Chinese mustard Brassica campestris L. (rapa.group) leaf16 Kureson Watercress Nasturtium officinale R.Br. leaf, stalk17 Kuwansou ** Day lily Hemerocallis fuluva L. leaf18 Kyabetsu Cabbage Brassica oleracea L. var. capitata L. leaf19 Kyuuri Cucumber Cucumis sativus L. flesh20 Makomo Manchurian wild rice Zizania latifolia (GRISEB.) STAPF young stalk21 Maruokura Okra Abelmoschus esculentus Moench. whole fruit22 Mitsuba Japanese honewort Cryptotaenia japonica Hassk. leaf23 Moroheiya Jew's mallow Corchorus olitorius L. leaf

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

1 Akageuri ** Cucumber Cucumis sativus L. flesh2 Akapiiman Red pepper Capscicum annuum L. flesh3 Aojiso Japanes Perilla Perilla ocymoides L. leaf4 Asuparagasu Asparagus Asparagus officinalis L. young stalk5 Bajiru Sweet basil Ocimum basilicum L. leaf6 Botanbouhuu Peucedanum japonicum Thunb. leaf7 Burokkori Broccoli Brassica oleracea L. var. italica Plenck bud8 Ensai Water convolvulus Ipomoea aquatica Forsk. leaf, stalk9 Hadaikon Japanese radish Raphanus sativus L. leaf10 Hechima Loofah Luffa cylndrica M.J.ROEM. flesh11 Hihatsumodoki Long pepper Piper retrofractum Vahl leaf12 Hosobawadan Crepidiastrum lanceolatum Nakai leaf13 Hourensou Spinach Spinacia oleracea L. leaf14 Karashina Mustard green Brassica juncea Czern.et Coss. leaf15 Komatsuna Chinese mustard Brassica campestris L. (rapa.group) leaf16 Kureson Watercress Nasturtium officinale R.Br. leaf, stalk17 Kuwansou ** Day lily Hemerocallis fuluva L. leaf18 Kyabetsu Cabbage Brassica oleracea L. var. capitata L. leaf19 Kyuuri Cucumber Cucumis sativus L. flesh20 Makomo Manchurian wild rice Zizania latifolia (GRISEB.) STAPF young stalk21 Maruokura Okra Abelmoschus esculentus Moench. whole fruit22 Mitsuba Japanese honewort Cryptotaenia japonica Hassk. leaf23 Moroheiya Jew's mallow Corchorus olitorius L. leaf

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

1 Akageuri ** Cucumber Cucumis sativus L. flesh2 Akapiiman Red pepper Capscicum annuum L. flesh3 Aojiso Japanes Perilla Perilla ocymoides L. leaf4 Asuparagasu Asparagus Asparagus officinalis L. young stalk5 Bajiru Sweet basil Ocimum basilicum L. leaf6 Botanbouhuu Peucedanum japonicum Thunb. leaf7 Burokkori Broccoli Brassica oleracea L. var. italica Plenck bud8 Ensai Water convolvulus Ipomoea aquatica Forsk. leaf, stalk9 Hadaikon Japanese radish Raphanus sativus L. leaf10 Hechima Loofah Luffa cylndrica M.J.ROEM. flesh11 Hihatsumodoki Long pepper Piper retrofractum Vahl leaf12 Hosobawadan Crepidiastrum lanceolatum Nakai leaf13 Hourensou Spinach Spinacia oleracea L. leaf14 Karashina Mustard green Brassica juncea Czern.et Coss. leaf15 Komatsuna Chinese mustard Brassica campestris L. (rapa.group) leaf16 Kureson Watercress Nasturtium officinale R.Br. leaf, stalk17 Kuwansou ** Day lily Hemerocallis fuluva L. leaf18 Kyabetsu Cabbage Brassica oleracea L. var. capitata L. leaf19 Kyuuri Cucumber Cucumis sativus L. flesh20 Makomo Manchurian wild rice Zizania latifolia (GRISEB.) STAPF young stalk21 Maruokura Okra Abelmoschus esculentus Moench. whole fruit22 Mitsuba Japanese honewort Cryptotaenia japonica Hassk. leaf23 Moroheiya Jew's mallow Corchorus olitorius L. leaf

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture (continued)

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

24 Muji ** Stem of Taro Colocasia esculenta Schott stem25 Nasu Egg plant Solanum melongena L. whole fruit26 Nigauri Bitter gourd Momordica charantia L. flesh27 Nira Chinese chive Allium tuberosum ROTTLER leaf28 Nishiyomogi Mugwort Artemisia princeps Pamp. leaf29 Papaya Papaya Carica papaya L. flesh30 Paseri Parsley Petroselinum crispum Nym. leaf31 Piiman Sweet pepper Capscicum annuum L. flesh32 Retasu Head lettuce Lactuca sativa L. var. L.capitata L. leaf33 Ryukyuyomogi Field mugwort Artemisia campestris L. leaf34 Sayaingen Field snap bean Phaseolus vulgaris L. var. humulis Alef. pod35 Serurii Celery Apium graveolens L. stem36 Shimaoutaniwatari Bird's nest fern Asplenium nudus young leaf37 Shimatougarashi ** Pepper Capscicum frutescence L. whole fruit38 Shishitou Small sweet green pepper Capscicum annuum L. whole fruit39 Suberihiyu Purslane Portulaca oleracea L. leaf, stalk40 Suizenjina Gynura Gynura bicolor DC. leaf41 Shungiku Garland chrysanthemum Chrysanthemumu coronaium L. leaf42 Tougan Wax gourd Benincasa hispida COGN. flesh43 Uikyou Fennnel Foeniculum vulugare Mill. leaf44 Wakegi Green onion Allium fistulosum L. leaf45 Yaeyamakazura Sweet potato leaf Ipomoea batatas LAM. leaf, stalk

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture (continued)

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

24 Muji ** Stem of Taro Colocasia esculenta Schott stem25 Nasu Egg plant Solanum melongena L. whole fruit26 Nigauri Bitter gourd Momordica charantia L. flesh27 Nira Chinese chive Allium tuberosum ROTTLER leaf28 Nishiyomogi Mugwort Artemisia princeps Pamp. leaf29 Papaya Papaya Carica papaya L. flesh30 Paseri Parsley Petroselinum crispum Nym. leaf31 Piiman Sweet pepper Capscicum annuum L. flesh32 Retasu Head lettuce Lactuca sativa L. var. L.capitata L. leaf33 Ryukyuyomogi Field mugwort Artemisia campestris L. leaf34 Sayaingen Field snap bean Phaseolus vulgaris L. var. humulis Alef. pod35 Serurii Celery Apium graveolens L. stem36 Shimaoutaniwatari Bird's nest fern Asplenium nudus young leaf37 Shimatougarashi ** Pepper Capscicum frutescence L. whole fruit38 Shishitou Small sweet green pepper Capscicum annuum L. whole fruit39 Suberihiyu Purslane Portulaca oleracea L. leaf, stalk40 Suizenjina Gynura Gynura bicolor DC. leaf41 Shungiku Garland chrysanthemum Chrysanthemumu coronaium L. leaf42 Tougan Wax gourd Benincasa hispida COGN. flesh43 Uikyou Fennnel Foeniculum vulugare Mill. leaf44 Wakegi Green onion Allium fistulosum L. leaf45 Yaeyamakazura Sweet potato leaf Ipomoea batatas LAM. leaf, stalk

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture (continued)

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

24 Muji ** Stem of Taro Colocasia esculenta Schott stem25 Nasu Egg plant Solanum melongena L. whole fruit26 Nigauri Bitter gourd Momordica charantia L. flesh27 Nira Chinese chive Allium tuberosum ROTTLER leaf28 Nishiyomogi Mugwort Artemisia princeps Pamp. leaf29 Papaya Papaya Carica papaya L. flesh30 Paseri Parsley Petroselinum crispum Nym. leaf31 Piiman Sweet pepper Capscicum annuum L. flesh32 Retasu Head lettuce Lactuca sativa L. var. L.capitata L. leaf33 Ryukyuyomogi Field mugwort Artemisia campestris L. leaf34 Sayaingen Field snap bean Phaseolus vulgaris L. var. humulis Alef. pod35 Serurii Celery Apium graveolens L. stem36 Shimaoutaniwatari Bird's nest fern Asplenium nudus young leaf37 Shimatougarashi ** Pepper Capscicum frutescence L. whole fruit38 Shishitou Small sweet green pepper Capscicum annuum L. whole fruit39 Suberihiyu Purslane Portulaca oleracea L. leaf, stalk40 Suizenjina Gynura Gynura bicolor DC. leaf41 Shungiku Garland chrysanthemum Chrysanthemumu coronaium L. leaf42 Tougan Wax gourd Benincasa hispida COGN. flesh43 Uikyou Fennnel Foeniculum vulugare Mill. leaf44 Wakegi Green onion Allium fistulosum L. leaf45 Yaeyamakazura Sweet potato leaf Ipomoea batatas LAM. leaf, stalk

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

Table 1. Vegetables used as experimental materials, obtained from retail stores in Okinawa Prefecture (continued)

Sample No. Japanese name* English name Scientific name Parts used

24 Muji ** Stem of Taro Colocasia esculenta Schott stem25 Nasu Egg plant Solanum melongena L. whole fruit26 Nigauri Bitter gourd Momordica charantia L. flesh27 Nira Chinese chive Allium tuberosum ROTTLER leaf28 Nishiyomogi Mugwort Artemisia princeps Pamp. leaf29 Papaya Papaya Carica papaya L. flesh30 Paseri Parsley Petroselinum crispum Nym. leaf31 Piiman Sweet pepper Capscicum annuum L. flesh32 Retasu Head lettuce Lactuca sativa L. var. L.capitata L. leaf33 Ryukyuyomogi Field mugwort Artemisia campestris L. leaf34 Sayaingen Field snap bean Phaseolus vulgaris L. var. humulis Alef. pod35 Serurii Celery Apium graveolens L. stem36 Shimaoutaniwatari Bird's nest fern Asplenium nudus young leaf37 Shimatougarashi ** Pepper Capscicum frutescence L. whole fruit38 Shishitou Small sweet green pepper Capscicum annuum L. whole fruit39 Suberihiyu Purslane Portulaca oleracea L. leaf, stalk40 Suizenjina Gynura Gynura bicolor DC. leaf41 Shungiku Garland chrysanthemum Chrysanthemumu coronaium L. leaf42 Tougan Wax gourd Benincasa hispida COGN. flesh43 Uikyou Fennnel Foeniculum vulugare Mill. leaf44 Wakegi Green onion Allium fistulosum L. leaf45 Yaeyamakazura Sweet potato leaf Ipomoea batatas LAM. leaf, stalk

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa.** Plants of unknown Japanese names were indicated by the local names used in Okinawa.

3

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2.2.2. 試料及び試料溶液の調製 試料の沖縄県産野菜 45品目は,2003年に沖縄県那覇市の小売店で入手した(ヒハツモドキのみ民家の庭木より採

取)(Table 2-1).試料の皮や種,茎などの非可食部は除去し,凍結乾燥した.乾燥物はミルで粉砕して,分析に用い

るまで−20˚Cで保存した.凍結乾燥試料(生鮮物 1.6 g相当量)に 80%エタノール 8 mLを加え,80˚Cで 30分間抽出した.抽出液は 1600 × g,10分間の遠心分離を行い,上清を試料溶液とした.

2.2.3. 総ポリフェノール含量の測定 総ポリフェノール含量はFolin-Denis法14) で測定した.

すなわち,蒸留水で適宜希釈した試料溶液 2 mLにフォーリン試薬(タングステン酸ナトリウム 25 g,リンモリブデン酸 5 g,リン酸 12.5 mLと蒸留水 188 mLを混合し,2時間の環流煮沸後,蒸留水で全量を 1 Lとした)2 mL加えて3分後,10%炭酸ナトリウム溶液 2 mLを加えて室温で 1時間静置し,700 nmの吸光度を分光光度計(UV-160A,島津製作所)で測定した.検量線は没食子酸を用いて作成し,

総ポリフェノール含量は生鮮物重量 100 gあたりの没食子酸相当量として算出した.

2.2.4. 抗酸化能の測定 (1) DPPHラジカル(DPPH・)消去能

DPPH・消去能は沖ら15) の方法に準じて測定した.すな

わち 96穴マイクロプレートに 80%エタノールで段階的に希釈した試料溶液,0.2 M MES緩衝液(pH 6.0),20%エタノールをそれぞれ 50 µL入れ,0.8 M DPPH溶液 50 µLを加えて攪拌し,室温で 20 分間放置後,マイクロプレートリーダー(Benchmark,日本BioRad)で 540 nmの吸光度を測定した.標準物質にはα-tocophenolの水溶性同族体であるTroloxを用いた.吸光度を縦軸,試料添加量を横軸にグラフを作成し,吸光度が直線的に変化する範囲で試料添加X µLに対する吸光度の減少量(∆540)を求め,その∆540に相当するTrolox量を求めた.DPPH・消去能は,生鮮物 100 gあたりのTrolox相当量(µmol Trolox eq./100 g)として算出した.

(2) スーパーオキサイドラジカル(O2

-・)消去能 O2-・ 消去能の測定は,XOD/HPX系で発生するO2-・

をスピントラップ剤DMPOでトラップし,そのスピンアダプトであるDMPO - O2

-・のシグナルを電子スピン

共鳴(ESR)測定装置で計測するスピントラップ法で測定した16) .すなわち,スピッツ型小型試験管に反応混合

液(2 mM HPX : 5.5 mM DTPA : DMPO = 50 : 35 : 15)100 µL,検体溶液(分析試料,エタノール,100 mMリン酸緩衝液(pH 7.4)を含有)50 µLを加え,0.4 U/ mL XOD(50 µL)を添加,撹拌して反応を開始した.捜引は,反応液を入れ

た扁平水溶液セル(JEOL LC-11 cuvette,日本電子)をESR装置(JES-RE1X,日本電子)にセットし,XOD添加 60

秒後から開始した(ESR測定条件:マイクロ波出力;8 mW,磁場掃引幅;335.85 mT,磁場変調;100 kHz,0.1 mT,増幅率;400,応答時間;0.1秒).DMPO - O2

-・の

シグナル強度は装置内部標準Mn2+ のシグナル強度と

比較して求めた.標準物質はSODを用い,SOD無添加時のシグナル強度の比(DMPO- O2

-/ Mn2+)をI0,SOD添加時のシグナル強度の比を Iとし, I0/ I-1 を縦軸,SOD添加量(unit/ assay)を横軸にプロットし検量線を作成し,傾きを求めた.試料も同様にして,直線性

が維持される範囲で傾きを求め,検量線の傾きとの比

からO2-・消去能をSOD単位数として算出した.試料抽

出液は 80%エタノールで 5段階に希釈して測定に用い,活性は生鮮物 100 g当たりのSOD単位数に換算した. (3) t-BuOOラジカル (t-BuOO・)消去能 脂質ペルオキシドラジカル消去能は前田ら16) のtert-ブ

チルヒドロペルオキシド/へミン/ ルミノール系によるt-BuOOラジカル発生系を用いた方法を一部改変して,評価した.すなわち,試料抽出液 120 µL(80% エタノールで 4段階に希釈)と混合液 960 µL(6 mM DTPA 120 µL,12 mM t-BuOOH 120 µL,60 µM luminal 120 µL,phosphate buffered saline(pH 7.3)600 µL)を 24穴プレートに分注し,0.6 mg/ mL methemoglobin 120 µLを加えて反応を開始した.反応液の化学発光は,CCDカメラを装備した分析装置(type CLA-IMG2,東北電子産業)で測定した.t-BuOO・消去能は,α-tocophenolの水溶性同族体であるTroloxを比較対照に用いて,発光の程度を比較する事で評価した.

(4) リノール酸 β - カロテン退色法 リノール酸過酸化物によるβ - カロテンの退色を利用した津志田ら18) の方法で抗酸化能を測定した.0.1% β - カロテン,10% リノール酸,20% ツイーン 40のクロロホルム溶液をそれぞれ 0.5 mL,0.1 mL,1.0 mLずつ三角フラスコに取り,窒素ガスでクロロホルムを完全に蒸発させた

後,100 mLの蒸留水に溶解させ,リノール酸 - β -カロテン溶液とした.次に,調製したリノール酸 - β -カロテン溶液 45 mLに 4 mLの 0.2 Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.8)を加え撹拌した後,4.9 mLずつ試験管に分注した.100 µLの試料溶液を添加後,50℃の反応槽に移し,反応を開始した.標準溶液として 3(2)-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(BHA)の 1 mg/ 100 mL溶液を用いた.抗酸化能(A)は蒸留水をコントロールとして,反応後 45分と15分の吸光度を用いて次式により算出した.

A = (V45 min – V15 min)/(B45 min – B15 min) ここで,V45 minは試料添加時の反応後 45分の吸光度,V15 min

は試料添加時の反応後 15分の吸光度,B45 minはBHA 1 mg添加時の反応後 45分の吸光度,B15 minはBHA 1 mg添加時の反応後 15分の吸光度とした. 2.3. 結果及び考察

4

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2.3.1. 沖縄県産野菜の総ポリフェノール含量 Table 2-2に,供試した 45品目のポリフェノール含量を示した.ポリフェノール含量の平均値は 141.8 mg/ 100 g生鮮物であった.45品目中,最も含量が多かったのはニシヨモギ(786.3 ± 12.6 mg/ 100 g生鮮物)であり,最も少なかったトウガン(5.8 ± 0.3 mg/ 100 g生鮮物)と比較すると約135倍の値であった.この結果から,ポリフェノール含量

は品目により非常に広い範囲の分布を示すことが明らか

になった.興味深いことに,ポリフェノール含量が平均値

以上の野菜 11品目のうち,8品目(ニシヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダン,エンサイ,ヤエヤマカズラ,

ボタンボウフウ,スイゼンジナ,ウイキョウ)は沖縄で伝

統的に食べられている野菜であった.

Table 2-2. Polyphenol contents and antioxidant activities of vegetables from Okinawa prefectu

Japanese name*

Nishiyomogi 786.3 ± 12.6 4390.3 ± 434.5Ryukyuyomogi 590.0 ± 40.0 2754.0 ± 263.5Aojiso 563.9 ± 3.6 4943.3 ± 448.6Moroheiya 511.4 ± 11.5 1804.8 ± 70.3Hosobawadan 407.8 ± 4.2 1847.6 ± 265.5Bajiru 399.1 ± 56.6 2230.6 ± 653.2Ensai 349.1 ± 18.4 1085.9 ± 62.9Yaeyamakazura 295.4 ± 17.4 1036.4 ± 63.4Suizenjina 263.9 ± 11.7 1016.3 ± 16.5Botanbouhuu 245.5 ± 18.7 904.5 ± 116.8Uikyou 171.7 ± 1.9 1068.0 ± 28.9Hihatsumodoki 132.1 ± 6.2 736.1 ± 37.7Shimatougarashi 125.9 ± 2.0 800.1 ± 3.3Shishitou 101.5 ± 1.5 525.7 ± 44.8Akapiiman 100.5 ± 3.6 846.7 ± 80.8Burokkori 93.3 ± 4.8 346.7 ± 23.5Mitsuba 88.1 ± 4.1 415.6 ± 22.0Muji 87.1 ± 6.6 343.9 ± 14.9Kureson 83.9 ± 5.0 424.9 ± 44.9Nasu 80.5 ± 7.2 403.4 ± 1.2Hourensou 74.1 ± 10.4 149.6 ± 15.2Shungiku 67.1 ± 10.7 335.0 ± 89.3Piiman 65.9 ± 8.3 146.9 ± 15.5Shimaoutaniwatari 55.0 ± 0.7 177.6 ± 7.7Nira 52.8 ± 2.5 176.9 ± 11.9Asuparagasu 51.0 ± 2.2 164.2 ± 11.9Kuwansou 48.0 ± 7.9 164.3 ± 4.7Suberihiyu 47.5 ± 6.2 784.0 ± 83.8Hadaikon 45.5 ± 3.8 160.1 ± 25.3Maruokura 43.9 ± 10.2 533.3 ± 124.7Paseri 43.2 ± 1.1 353.9 ± 28.6Sayaingen 42.9 ± 1.4 205.9 ± 13.5Nigauri 38.1 ± 1.4 63.9 ± 12.2Karashina 35.9 ± 2.8 174.7 ± 8.1Komatsuna 30.4 ± 6.8 137.3 ± 11.6Kyabetsu 27.9 ± 5.5 98.9 ± 1.9Retasu 27.6 ± 8.6 81.9 ± 1.0Wakegi 21.7 ± 1.1 88.9 ± 6.2Papaya 19.5 ± 3.5 63.4 ± 9.2Kyuuri 16.5 ± 1.6 36.5 ± 5.2Serurii 14.3 ± 2.4 15.5 ± 6.8Akageuri 13.1 ± 0.5 29.9 ± 2.7Hechima 7.9 ± 1.0 49.7 ± 52.9Makomo 7.8 ± 0.6 19.7 ± 0.6Tougan 5.8 ± 0.3 96.2 ± 3.5

Average valueof 45 vegetables 141.8 716.3

*The underline denotes vegetables which are traditionally eaten in Okinawa. Each valuerepresents the mean ± SD (n=3).

(mg-gallic acid eq./100 g f. wt.)DPPH・ scavenging activity

(µ mol-Trolox eq./100 g f. wt.)Polyphenol content

5

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-

10

20

30

40

50

- 200 400 600 800polyphenol content

(mg-gallic acid eq./100g f.wt.)

DPP

H・

scav

engi

ng a

ctiv

ty(µ

mol

-Tro

lox

eq./1

00g

f.wt )

Ryukyuyomogi

R = 0.9287

Nishiyomogi

Hosobawadan

EnsaiYaeyamakazura

SuizenjinaBotanbouhuu

Uikyou

0

0

Fig. 2-1. Correlation between polyphenol contents and DPPH・scavenging activites of vegetables from Okinawa prefecture 2.3.2. 沖縄県産野菜の抗酸化能 (1) DPPHラジカル(DPPH・)消去能

Table 2-2に,供試した 45品目の野菜のDPPH・消去能を示した.DPPHは濃い紫色を呈した安定したフリーラジカルであり,517nmに特異的な吸収を持つ。DPPHは,ラジカル消去物質が存在すると非ラジカル体に変化し,517nmの吸収が減少,退色する.DPPHの色の変化を利用した分光測定法は,抗酸化能の簡単な指標として良く用いられて

いる19,20) .DPPH・消去能とポリフェノール含量は相関することが報告されており20,21) ,本研究で高ポリフェノー

ル含量を示した野菜(ニシヨモギ,リュウキュウヨモギ,

ホソバワダン,エンサイ,ヤエヤマカズラ,ボタンボウフ

ウ,スイゼンジナ,ウイキョウ)も,DPPH・消去能は強かった. そこで,供試した沖縄の野菜 45品目の DPPH・消去能とポリフェノール含量の相関を調べた結果,高い相関(R = 0.9287)が確認され,沖縄の野菜の DPPH・消去能にはポリフェノールが関与していることが推察された(Fig. 2-1).特に,ポリフェノール含量が平均値以上だった伝統野菜 8品目に限れば,DPPH・消去能とポリフェノール含量の相関係数は R=0.9672であり,ポリフェノールが抗酸化能の寄与成分として,大きく影響していることが推察された. (2) スーパーオキサイドラジカル(O2

-・)消去能 Fig. 2-2に示すように,O2

-・は生体内のミトコンドリア電

子伝達系やミクロソーム電子伝達系などでO2から生成さ

れる最初の活性酸素種であり,O2-・を起点として速やか

に他の活性酸素種(OH・,H2O2,1O2,ROO・)が生成され

ていく12) .さらにO2-・は生体にとって重要な働き(血管

平滑筋弛緩作用など)を有する一酸化窒素(NO)とも反応してNOの作用を消滅させる.次式に示すように,O2

-・

とNOの反応はNOを失活するだけではなく,毒性の強いペルオキシナイトライト(ONOO-)を生じることから,O2

の過剰な産生を抑えることは生体にとって重要な意味を

持つ12,13) . NO・ + O2

-・ → ONOO- + H+

本研究において,高ポリフェノール含量の沖縄伝統野菜

8品目は,いずれもO2-・消去能を示した.特に最もポリフ

ェノール含量の多かったニシヨモギの活性が最も強く,次

いでホソバワダン,ヤエヤマカズラ,リュウキュウヨモギ

などが強い活性を示した(Fig. 2-3). (3) t-BuOOラジカル(t-BuOO・)消去能 脂質ペルオキシドラジカル(LOO・)は,過酸化脂質(LOOH)とヘム鉄などとの反応から生じるラジカルである(Fig. 2-4).LOO・は他のラジカル類と比較すると反応性は弱いが寿命は長く,DNAの損傷や発癌促進作用を有することが報告されている12,13) .したがってLOO・の消去物質は,LOO・由来の発癌促進作用に対し防御的に働くことが期待される.

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水溶性のt-BuOOHとヘモグロビン(Hb3+)を緩衝液中で

反応させると次式のように,t-BuOO・とHb4+ が生成される.

t-BuOO・とアミノフタール酸(Luminol)を共存させるとアミノフタール酸は励起状態のアミノフタール酸・ジアニ

オンとなり,基底状態(アミノフタール酸)に戻る際に光

を発する.本測定法はこの現象を利用し た LOO・消去能の測定法であり,視覚的に抗酸化能を確認できる.

2 t-BuOOH + Hb3+ → t-BuOO・ + t-BuOH + Hb4+

(=O) t-BuOO・+アミノフタール酸 (Luminol)

→アミノフタール酸・ジアニオン(励起状態)

→アミノフタール酸(基底状態)+ 光 Furuta et al.22) は,21品目のサツマイモで,ポリフェノ

ール含量の多いものほどt-BuOO・消去能が強くなることを明らかにしている.本研究で沖縄伝統野菜 8品目のt-BuOO・消去能を調べた結果,いずれも用量依存的に活性を示した(Fig. 2-5).特にポリフェノール含量の多いニシ

ヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダンなどが強い活

性を示した.これらの野菜についてもポリフェノールが

t-BuOO・消去能の寄与成分として大きく影響していることが推察された.

(4) リノール酸 β-カロテン退色法 リノール酸β-カロテン退色法は,リノール酸の自動酸化で生じるLOOHと,β-カロテンの二重結合の反応によって,β-カロテンが退色するのを利用した測定法である.津志田らは本測定法で測定した野菜の抗酸化能がポリフェノー

ル含量と高い相関を示すことを明らかにしている18) . 高ポリフェノール含量だった沖縄伝統野菜の 8品目(ニシヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダン,エンサイ,

ヤエヤマカズラ,ボタンボウフウ,スイゼンジナ,ウイキ

ョウ)をリノール酸 β-カロテン退色法で調べた結果,標準物質として用いた合成抗酸化剤 BHAと比較して,いずれも強い抗酸化能を示した(Fig. 2-6). この結果と前述した 2.3.2.(3) の結果から,8品目の野菜は脂質の酸化を防ぎ,連鎖的に進行する脂質過酸化反応

(自動酸化)を抑制していることが明らかになった.

HOO・hydroperoxyl radical

transition metal

(Fe2+, Cu+ )

3O2triplet oxygen(oxygen in the air)

O2-

superoxide1O2

singlet oxygen

H2O2hydrogen peroxide

H2Oradial ray

ultraviolet ray

superoxide dismutase

HO・hydroxyl radical

catalase

photosensitizing reaction

(porphyrin)

HOO・hydroperoxyl radical

transition metal

(Fe2+, Cu+ )

3O2triplet oxygen(oxygen in the air)

O2-

superoxide1O2

singlet oxygen

H2O2hydrogen peroxide

H2Oradial ray

ultraviolet ray

superoxide dismutase

HO・hydroxyl radical

catalase

photosensitizing reaction

(porphyrin)

Fig. 2-2. Generation of active oxygen in vivo12)

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O2− ・ scavenging activity

( SOD units/100g fresh wt.)

0 1000 2000 3000 4000

Nishiyomogi

Ryukyuyomogi

Hosobawadan

Yaeyamakazura

Suizenjina

Ensai

Botanbouhuu

Uikyou

Fig. 2-3. Superoxide radical scavenging activity of Okinawan traditional vegetables

LHlipid

LOOHlipid peroxide

LOO・lipid peroxyl radical

L・lipid radical

LHlipid

O2oxygen

free radical

LHlipid

LOOHlipid peroxide

LOO・lipid peroxyl radical

L・lipid radical

LHlipid

O2oxygen

free radical

Fig. 2-4. Lipid peroxidation by free radical chain reaction12)

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Sample (µl/assay) Sample (µl/assay)0.1 0.2 0.5 12.0 0.1 0.2 0.5 12.0

Botanbouhuu Ensai

Suizenjina Uikyou

Hosobawadan Yaeyamakazura

Nishiyomogi Ryukyuyomogi

Trolox Trolox

0 4 8 16 0 4 8 16100 µM Trolox (µl/assay) 100 µM Trolox (µl/assay)

Fig. 2-5. t-BuOO・ scavenging activity of Okinawan traditional vegetables

3.73

1.00

0.21

0.14

0.25

0.22

0.28

0.20

0.30

0.26

- 1 2 3 4

Control

BHA

Nishiyomogi

Ryukyuyomogi

Hosobawadan

Yaeyamakazura

Suizenjina

Ensai

Botanbouhuu

Uikyou

Antioxidant activty (A)

0

Fig. 2-6. Antioxidant activity by β-caroten discoloration method of Okinawan traditional vegetables A = (V45min – V15min)/(B45min – B15min), where V45min = absorbance at 45 min, with vegetable extract or control; V15min = absorbance at 15 min, with vegetable extract or control; B45min = absorbance at 45 min, with BHA; B15min = absorbance at 15 min, with BHA. Each value represents the mean ± SD, n=3

9

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2.4. 小括 沖縄県は国内でも高脂肪摂取地域であるが,動脈硬化に

起因する疾患での死亡は少ないという相反する現象が見

られる.この要因として,沖縄の伝統的な食スタイルの影

響が考えられる.沖縄県は他府県と比較して緑黄色野菜や

薬草を多く摂取しており,これらの食材がポリフェノール

などの生理活性成分を含み,動脈硬化などの疾患に予防的

に作用していたことも予想される.そこで本章では,沖縄

で利用されている野菜 45品目のポリフェノール含量及びDPPH・消去能を調べた.さらに,高ポリフェノール含量で強いDPPH・消去能を示した野菜は,O2

-・,t-BuOO・消去能などin vitroの実験系により,詳細に抗酸化能を調べた. 対象とした野菜 45 品目中、沖縄の伝統野菜であるニシ

ヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダン,エンサイ,

ヤエヤマカズラ,ボタンボウフウ,スイゼンジナ,ウイキ

ョウは,特に高ポリフェノールで強いDPPH・消去能を有することが明らかになった.これら 8 品目の野菜は,O2

-・

消去能を有しており,リノール酸の自動酸化や

t-BuOOHを用いた測定法でも強い抗酸化能を示した.また,ポリフェノール含量と抗酸化能の強さはいずれも相

関する傾向を示した. 以上の結果から,高ポリフェノール含量の沖縄伝統野菜

8 品目は,O2-・などのフリーラジカルを消去するととも

に,脂質の自動酸化を抑制することで,総合的に高い抗酸

化能を発揮することが予想された.

第 3章 ホソバワダンのポリフェノール

3.1. 緒言 沖縄では苦いものほど滋養になるという考え方から,ニ

シヨモギやホソバワダンなど薬草としても用いられる野

菜を日常の食事の中で頻繁に利用している.このような医

食同源的な考え方を基本とする沖縄の伝統的な食スタイ

ル,食材は長寿の要因のひとつであったと考えられ23) ,沖

縄の食材が注目されている.本研究では,第 2章において,ニシヨモギやホソバワダンなど沖縄伝統野菜 8品目が高ポリフェノール含量で強い抗酸化能を有することを明ら

かにした.これらの野菜は強い抗酸化能を有するポリフェ

ノールを含んでいることが期待される. そのうちの一つであるホソバワダン(Crepidiastrum

lanceolatum)は,西日本の広い範囲に分布するキク科アゼトウナ属の多年生草本で,海岸の岩場などに自生している

野草だが.沖縄では栽培されたものが小売店などで販売さ

れており,比較的容易に入手できる伝統野菜である24)(Fig. 3-1).沖縄では独特の苦みを呈することからニガナと呼ばれ,白和えやイカ墨汁の具材として古くから食されており25) ,食用以外にも,風邪をひいた際の解熱を始め,アメ

ーバ赤痢,大腸カタール,リンパ腺腫,健胃・整胃作用,

回虫駆除,心臓病,高血圧などに効果がある薬草として伝

統的に利用されている植物である26,27,28) .第 2章で明らかになった科学的知見と合わせて,伝承されている効能か

らも,ホソバワダンは単なる野菜としてだけではなく,有

用な生理活性物質を含んだ植物であることが十分に期待

される. 第 2章で着目した 8品目のうち,ホソバワダン以外の野菜については含有する抗酸化成分について幾つかの報告が

ある29-33) .しかしながら,ホソバワダンについては科学

的知見自体が非常に少なく,その情報24,34-37)も断片的で,

抗酸化成分を特定した報告は見当たらない. そこで,本章ではホソバワダンに含まれる抗酸化成分を

明らかにすることを目的として,実験を行った.まず,ホ

ソバワダン抽出液を調製し,HPLCでポリフェノール組成のパターンを他の野菜と比較した.さらに抗酸化性を有す

るポリフェノール成分を単離し,1H-NMR, 13C-NMR,MSスペクトル分析により,構造を解析した.

10

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(Wild Hosobawadan) (Cultivated hosobawadan)

Japanese name : Hosobawadan Scientific name : Crepidiastrum lanceolatum Nakai

Hosobawadan is used as an edible plant and as a folk medicine for colds, diarrhea, arteriosclerosis, and hypertension and for treatment of gastrointestinal diseases in Okinawa, where it is known by the local name of "Nigana" or "Njana".

Fig. 3-1. Profile of Hosobawadan

3.2. 実験方法 3.2.1. 試薬

caffeic acid(CA),chlorogenic acid(ChgA)は和光純薬工業(株)から購入した. 3,4-O-dicaffeoylquinic acid(3,4-diCQA),4, 5-O-dicaffeoylquinic acid(4,5-diCQA),3,5-O-dicaffeoylquinic acid(3,5-diCQA),3,4,5-O-tricaffeoylquinic acid(3,4,5-triCQA)は独立行政法人農業技術機構九州沖縄農業研究センターから譲与していただいた.その他の試薬は,

市販の特級試薬を使用した.

3.2.2. 沖縄県産野菜のポリフェノール分布パターンの比較 ホソバワダンのポリフェノール分布パターンを,HPLC(LC-10A,島津製作所)を用いて他の数品目の野菜と比較,検討した.HPLC分析用試料は,第 2章の 2.2.2.で調製した試料溶液を適宜希釈後,0.45 µmメンブレンフィルターで濾過して用いた.HPLCは次の条件で分析した.カラム;Wakosil II 5C 18RS(250 × 4.6 mm i.d.,和光純薬工業(株)),移動相;A)0.1%ギ酸及び B)0.1%ギ酸/ メタノール,グラジェント条件;5→100% B(0~30 min,リニアグラジェント),流速;1 mL/ min,カラム温度;40˚C,検出波長;330 nm.各成分は標準物質の溶出時間と UVスペクトルとの一致で同定した.標準物質は CA,ChgA,3,4-diCQA,4, 5-diCQA,3,5-diCQA,3,4,5-triCQAを用いた.

3.2.3. ホソバワダンポリフェノールの分離・同定 (1) ホソバワダン抽出液の調製 試料のホソバワダンは,2004年 1月に沖縄県那覇市の小売店で入手した.試料の非可食部は除去し凍結乾燥した.

乾燥物はミルで粉砕して,実験に用いるまで−20˚Cで保存した.凍結乾燥試料(生鮮物 1 Kg相当量)に 50%エタノール 8 Lを加え,80˚Cで 30分間抽出した.抽出液は吸引濾過し,濾液をホソバワダンポリフェノールの分離に用い

た. (2) ホソバワダンポリフェノールの分離・精製 ホソバワダンポリフェノールの分離・精製は,DPPH・消去能(2.2.4. (1))を指標とし,津志田らの方法18) に

準じて行った.ホソバワダン抽出液をロータリーエバポレ

ーターで濃縮乾固後,蒸留水 1 Lに溶かし,ヘキサンで洗浄した.ヘキサン洗浄後の水相を濃縮乾固後,適当量の

0.2%ギ酸に溶解した粗抽出物をToyoPearl HW - 40F(TOSHO)を充填したカラム(50 × 4 cm i.d.)に吸着させた後,100%までメタノール濃度を増加させる濃度勾配溶出を行った.分画した画分の 280,330 nmにおける吸光度を測定し,ピークが検出された画分を回収した.回収した

画分は濃縮後,HPLCでさらに分画した.HPLCは,カラムにShimadzu-Shimpack PRC-ODS(250 × 20 mm i.d.)(島津製作所)を使用し,0.2%ギ酸とメタノールの混合による5~100% メタノール濃度勾配による溶出で行い,330 nmで検出される成分を回収した.HPLCによる精製を繰り返し,抗酸化成分を精製した.

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(3) ホソバワダンポリフェノールの LC/MS及び NMR分析 ホソバワダンから精製した成分はLC/MS装置(JNM-400,

日本電子)を用いたMSスペクトル分析と,NMR装置(JMS-700,日本電子)を用いた1H-NMR及び13C-NMRスペクトル分析により構造を解析した.比旋光度はDIP-180 digital polarimeter(日本分光)で測定した. 3.3. 結果及び考察 3.3.1. 沖縄県野菜のポリフェノール分布パターンの比較 第 2章で,ニシヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダン,ヤエヤマカズラ,エンサイなどは高ポリフェノール

で抗酸化能も強いことを明らかにした.これらの野菜のう

ち,ニシヨモギについては,市場ら32) によって 3,5-diCQAと3,4-diCQAなどが主要なポリフェノールであることが報告されている.リュウキュウヨモギにはChgA類縁体やQuercetin配糖体などが含まれている30) .ヤエヤマカズラ

は沖縄で生食用とされている甘藷葉であるが,甘藷葉から

はChgAと 3,4-diCQA,,3,5-diCQA,4,5-diCQA,3,4,5-triCQAが抗酸化成分として単離されている33) .また,甘藷葉と

同様にヒルガオ科の植物であるエンサイについても,

ChgAと 3,4-diCQA,3,5-diCQA,4,5-diCQA,3,4,5-triCQAが抗酸化成分として単離されている31) .ボタンボウフウ

についてはChgAとneoChgAが含まれていることが明らかにされている29) .このように高等植物の多くにはChgAなどのCA誘導体が含まれている事が多く,本研 究でポリフェノールを多く含むことが確認された沖縄伝

統野菜からも CA誘導体が多く確認されている.しかしながらホソバワダンのポリフェノールについては,これまで

報告がない. そこで,HPLC分析を行い,ホソバワダンのポリフェノール分布パターンを主要な成分が確認されている野菜と

比較した結果,ホソバワダンはニシヨモギやヤエヤマカズ

ラと比較的類似したパターンのクロマトグラムを示し,複

数のピークが検出された(Fig. 3-3).ピーク 1とピーク 2は,標準物質と比較した結果,それぞれ ChgAと CAと推察された.しかしながら,主要なピーク 4 の溶出時間は,ニシヨモギやヤエヤマカズラの主要なポリフェノールで

ある 3,5-diCQA と近似しているが完全には一致しなかった.また 3,4,5-triCQAとも一致しなかった.さらにホソバワダンからは未同定ピーク 5,6 が検出された.これらの結果から,ホソバワダンには ChgAと CAと推察される成分以外に,他の沖縄野菜にも含まれていないポリフェノー

ルが複数含まれていることが明らかになった.

3.3.2. ホソバワダンポリフェノールの同定 3.3.1.で,ホソバワダンはChgAとCAと推察される成分及び未知のポリフェノールを複数含んでいることが明らかに

なった.そこで,ホソバワダン抽出液から抗酸化成分の単

離・精製作業を行った結果,5成分を単離した(Fig. 3-3).

得られた 5つの成分は,文献値38-42) と1H 及び13C NMR,MS,UVスペクトルを比較して同定した.Compound 1と 2については,HPLCの溶出時間とUV及びMSスペクトルの一致から,それぞれChgA,CAと同定した(Fig. 3-4).Compound 3はFig. 3-2で示したHPLCクロマトグラムのピーク 4 の成分であり,chicoric acid(ChA)と同定した.ChAは分子内に酒石酸を有するため,Fig. 3-5 に示すように,D体,L体,Meso体の 3種類の立体異性体が存在する43)

.そこで,ホソバワダンから単離したChAの立体配置を決定するため,比旋光度を測定した結果,[α] 24

D +321(c = 1.30,メタノール)であった.文献値39)([α] 22

D +340(c = 1.08,メタノール))との比較により,ホソバワダンに含まれるChAはD(+)-chicoric acidであることが明らかになった(Fig. 3-4).同じキク科のニシヨモギだけでなく,ヤエヤマカズラやボタンボウフウなど他の沖縄野菜に含ま

れる主要なポリフェノールは,ChgAや 3,5-diCQAなどのCAとキナ酸のエステル化合物である29-33) .ホソバワダン

がCAと酒石酸のエステル化合物であるChAを含んでいることは,他の沖縄伝統野菜と比較すると特徴的なことであ

ると考えられる.また,Compound 4と 5は,Fig. 3-2で示したピーク 5と 6の成分であり,文献値41-42) と各スペク

ト ル を 比 較 し た 結 果 , そ れ ぞ れ luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside ( LU-glc ) , luteolin 7-O-β-D-glucuronide(LU-gluc)と同定した(Fig. 3-6) 得られた単離物質の各種スペクトルデータは次のとお

りであった.

Compound 2, chlorogenic acid(5-caffeoyl quinic acid): 白色粉末; UV(80%エタノール)λmax 327 nm; ESI-MS(negative)m/z 353 [M - H]-; 1H NMR(CD3OD, 500 MHz)δ7.41(1H, d, J = 15.9 Hz, H-7'), 7.03(1H, d, J = 2.0 Hz, H-2'), 6.98(2H, dd, J = 8.2, 2.0 Hz, H-6'), 6.76(1H, d, J = 8.1 Hz, H-5'), 6.14(1H, d, J = 15.9 Hz, H-8'), 5.06(1H, d, J = 18.0 Hz, H-3), 3.92(1H, dd, J = 3.5, 7.0 Hz, H-5); 13C NMR(CD3OD, 125 MHz)δ175.0(C-7), 165.8(C-9), 148.4(C-4'), 145.7(C-7'), 145.0(C-3'), 125.7(C-1'), 121.5(C-6'), 115.8(C-5'), 114.8(C-2'), 114.3(C-8'), 73.5(C-1), 70.9(C-4), 70.4(C-3), 68.2(C-5), 37.3(C-6), 36.3(C-2) Compound 3, D(+)-chicoric acid(di-E-caffeoyl-(2S, 3S)-(+)-tartaric acid): 白色粉末; UV(80%エタノール)λmax 331 nm; ESI-MS(negative) m/z 473 [M - H]-; 1H NMR(CD3OD, 500 MHz)δ 7.67(2H, d, J = 15.7 Hz, H-7', H-7''), 7.11(2H, d, J = 2.0 Hz, H-2', H-2''), 7.01(2H, dd, J = 8.2, 1.8 Hz, H-6', H-6''), 6.82(2H, d, J = 8.1 Hz, H-5', 5''), 6.39(2H, d, J = 15.9 Hz, H-8', 8''), 5.86(2H, s, H-2, H-3); 13C NMR(CD3OD, 125 MHz)δ 169.4(C-1, 4), 167.5(C-9', 9''), 149.8(C-4', 4''), 148.5(C-7', 7''), 146.6 (C-3', 3''), 127.3(C-1', 1"), 123.4(C-6', 6''), 116.6(C-5', 5''), 115.2(C-2', 2''), 113.5 (C-8',

12

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8''), 72.3(C-2, 3); [α]24D +321(c = 1.30, メタノール)

Compound 4, luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside: 黄色粉末; UV(80%エタノール)λmax 350 nm; APCI-MS(negative)m/z 447 [M - H]-; 1H NMR(DMSO-d6, 500 MHz)δ 7.44(1H, dd, J = 8.2, 2.0 Hz, H-6'), 7.41(1H, d, J = 2.0 Hz, H-2'), 6.90(1H, d, J = 8.2 Hz, H-5'), 6.78(1H, d, J = 2.0 Hz, H-8), 6.74(1H, s, H-3), 6.43(1H, d, J = 2.0 Hz, H-6), 5.07(1H, d, J = 7.5 Hz, H-1"), 3.43-3.16(4H, m, H-2", 3", 4", 5"); 13C NMR(DMSO-d6, 125 MHz)δ 181.9(C-4), 164.5(C-2), 162.9(C-7), 161.1(C-5), 156.9 (C-9), 150.0(C-4'), 145.8(C-3'), 121.3(C-1'), 119.1(C-6'), 116.0(C-5'), 113.6(C-2'), 105.3(C-10), 103.2(C-3), 99.9(C-1'"), 99.9(C-6), 94.7(C-8), 77.2(C-5'"), 76.4(C-3'"), 73.1(C-2'"), 69.5(C-4'"), 60.6 (C-6'") Compound 5, luteolin 7-O-β-D-glucuronide:

Yellow powder; UV(80%エタノール)λmax 350 nm; APCI-MS(negative)m/z 461 [M - H]-; 1H NMR(DMSO-d6, 500 MHz)δ 7.44(1H, dd, J = 8.4, 2.3 Hz, H-6'), 7.41(1H, d, J = 2.1 Hz, H-2'), 6.90(1H, d, J = 8.2 Hz, H-5'), 6.81(1H, d, J = 2.1 Hz, H-8), 6.72(1H, s, H-3), 6.45(1H, d, J = 2.1 Hz, H-6), 5.27(1H, d, J = 7.3 Hz, H-1"), 4.03(1H, d, J = 9.5 Hz, H-5"), 3.41-3.27(3H, m, H-2", 3", 4"); 13C NMR(DMSO-d6, 125 MHz)δ 181.9(C-4), 164.6(C-2), 162.5(C-7), 161.2(C-5), 157.1(C-9), 150.0(C-4'), 145.8(C-3'), 121.4(C-1'), 119.2(C-6'), 116.0(C-5'), 121.4(C-2'), 105.5(C-10), 103.2(C-3), 99.4(C-1'"), 99.4(C-6), 94.6(C-8), 75.4(C-5'"), 75.7(C-3'"), 72.8(C-2'"), 71.3(C-4'"), 70.3(C-6'").

10 15 2520

1

1

1

3

2

3

4

2 65

Retention time (min)

A

B

C

10 15 2520

1

1

1

3

2

3

4

2 65

Retention time (min)

A

B

C

10 15 252010 15 252010 15 2520

1

1

1

3

2

3

4

2 65

Retention time (min)

A

B

C

Fig. 3-2. HPLC chromatogram of 80% EtOH extract (A, Yaeyamakazura; B, Nishiyomogi; and C, Hosobawadan) Peak 1, chlorogenic acid; peak 2, caffeic acid; peak 3, isochlorogenic acid; and peaks 4, 5, and 6, unknown.

3.4. 小括 第 2章で,ニシヨモギやホソバワダンなど沖縄の伝統野菜 8品目はポリフェノール含量が高く,強い抗酸化能を有することを明らかにした.その中の一つホソバワダンは,

沖縄では独特の苦みを呈することからニガナと呼ばれ,食

素材や薬草として伝統的に利用されてきた植物である.第

2章で明らかになった科学的知見と合わせて,伝承されている効能からも,ホソバワダンは単なる野菜としてだけで

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はなく,有用な生理活性物質を多く含んでいることが期待

される.そこで,本章ではまず,ホソバワダンに含まれる

抗酸化成分を明らかにすることを目的として,ホソバワダ

ン抽出液のポリフェノール組成のパターンをHPLCで分析し,他の野菜と比較した.さらに,ホソバワダン抽出液か

らポリフェノールを単離し,1H-NMR,13C-NMR,MSスペ

クトル分析により構造を解析した. ホソバワダンのポリフェノール分布パターンを主要な

成分が確認されている野菜と比較した結果,ホソバワダン

にはchlorogenic acid(ChgA)とcaffeic acid(CA)と推定される成分以外に,他の高ポリフェノールの沖縄伝統野菜に

は含まれていないポリフェノールも複数含まれているこ

とが推察された.そこで,ホソバワダンからポリフェノー

ルを単離した結果,5つの成分を得た. 1H-NMR,13C-NMR,MSスペクトル分析によって,得られた成分はCA,ChgA,D(+)-chicoric acid(ChA),luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside,luteolin 7-O- β-D-glucuronideであることが明らかになった. 同じキク科のニシヨモギだけでなく,ヤエヤマカズラや

ボタンボウフウなど他の沖縄野菜に含まれる主要なポリ

フェノールは ChgAや 3,5-diCQAのように CAとキナ酸のエステル化合物であるが,ホソバワダンは CAと酒石酸のエステル化合物である ChA を多く含む特徴を有することが示唆された.

Dry leaf powder of Hosobawadan (1000 g fresh weight eq.)

50% EtOH extraction (80℃, 30 min)

Crude extract

partitioned with n -hexane/water

n -Hexane layer Water layer

concentration

dissolved in 0.2% formic acid

Toyopearl HW40F column chromatography0.2% formic acid/MeOH, 100%/0% to 0 %/100 % gradient

Fraction 1 Fraction 2 Fraction 3 Fraction 4

HPLC (Shim-pack PRC-ODS) HPLC (Shim-pack PRC-ODS)

Compound 1 (32.6 mg) Compound 2 (130.3 mg)Compound 3 (0.5 mg)Compound 4 (11.0 mg)Compound 5 (23.5 mg)

Fig. 3-3. Isolation of antioxidative compounds in Hosobawadan

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COOHOH

OH

COOH

COOH

O

OHOH

O

O

OH

OH

O

OH

OH

O

O

OH COOH

OH

OH

Caffeic acid (2)

Chlorogenic acid (1)

D(+)-chicoric acid (3)

1) chlorogenic acid (ChgA)

2) caffeic acid (CA) 3) D(+)-chicoric acid (ChA)

COOHOH

OH

COOH

COOH

O

OHOH

O

O

OH

OH

O

OH

OH

O

O

OH COOH

OH

OH

Caffeic acid (2)

Chlorogenic acid (1)

D(+)-chicoric acid (3)

1) chlorogenic acid (ChgA)

2) caffeic acid (CA) 3) D(+)-chicoric acid (ChA)

Fig. 3-4. Chemical structures of compounds isolated from Hosobawadan

COOH

COOH

O

OHOH

O

O

OH

OH

O

COOH

COOH

O

OHOH

O

O

OH

OH

O

COOH

COOH

O

OHOH

O

O

OH

OH

O

D-chicoric acid L-chicoric acid

meso-chicoric acid

Fig. 3-5. The stereoisomer of chicoric acid

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O O

O

OH

OH

OH

O

OH

HOH2C

OHOH

O O

O

OH

OH

OH

O

OHOH

OHHOOC

Luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside (4)

Luteolin 7-O-β-D-glucuronide (5)

4) luteolin 7-O-β-D-glucopyranosyde (LU-glc)

5) luteolin 7-O-β-D-glucuronide (LU-gluc)

O O

O

OH

OH

OH

O

OH

HOH2C

OHOH

O O

O

OH

OH

OH

O

OHOH

OHHOOC

Luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside (4)

Luteolin 7-O-β-D-glucuronide (5)

4) luteolin 7-O-β-D-glucopyranosyde (LU-glc)

5) luteolin 7-O-β-D-glucuronide (LU-gluc)

Fig. 3-6. Chemical structures of compounds isolated from Hosobawadan 第 4章 ホソバワダンポリフェノールの低密度リポタンパク質(Low density lipoprotein: LDL)抗酸化能 4.1. 緒言 第 1 章 緒論で,沖縄は動脈硬化に起因する心疾患など循環器系疾患での死亡が少ないと述べた.重大な血管障害で

ある動脈硬化は大別すると,細小動脈硬化,中膜硬化(メ

ンケベルグ型),粥状硬化(アテローム性動脈硬化)の 3つに分けられる44) .特にアテローム性動脈硬化症は冠動

脈や大動脈に多く発生することから心筋梗塞などとの関

連が大きく,低密度リポタンパク質( Low density lipoprotein:LDL)の酸化変性は,その発症要因の一つと考えられている.通常,LDLは細胞表面に存在するLDL受容体を介して細胞内に取り込まれ,コレステロールを細胞

に供給する.この際,コレステロールは,フィードバック

調節機構の働きにより必要な量だけ細胞に供給される.と

ころが酸化修飾を受けたLDLは,LDL受容体に認識されずに,血中の単球が分化したマクロファージに異物として認

識される.マクロファージは酸化LDLをスカベンジャー受容体を介して際限なく取り込み,最終的には泡沫化して血

管内膜を肥厚させ,動脈硬化症を引き起こす(Fig. 4-1).さらに酸化LDLは,単球の血管内皮細胞への接着促進と内膜への遊走化,マクロファージの保持促進と増殖誘導,血

管内皮細胞の損傷,血管平滑筋細胞の中膜から内膜への遊

走と増殖を誘導し,動脈硬化を促進させる45).LDLの酸化を抑制するポリフェノール類及びそれらのポリフェノ

ールを含む食材は動脈硬化の予防だけでなく,疾病の進展

抑制作用を示すことも期待される

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oxidative LDL macrophage

LDL

monocyteoxidation

vascular wall vascular space

form celloxidative LDL macrophage

LDL

monocyteoxidation

vascular wall vascular space

form cell

Fig.4-1. Correlation between oxidation of LDL and development of atherosclerosis

前章までに,沖縄県の伝統野菜であるホソバワダンは,

O2¯・及びt-BuOO・消去能などの強い抗酸化能を有してお

り,D(+)-chicoric acid(ChA)などのcaffeic acid(CA)誘導体とluteolin 7-O-β-D-glucuronide(LU-gluc),luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside(LU-glc)などのluteolin(LU)誘導体を多く含んでいることを明らかにした.LU誘導体であるLU-glc 46) やそのアグリコンであるLUはLDLの酸化を強く抑制することが報告されており47) ,LU誘導体を含むホソバワダンは動脈硬化症の予防作用が期待される.さ

らにホソバワダンはLU誘導体以外にChAなどのポリフェノールを多く含んでいる.ChAはチコリ48) ,ツクシ40,48)

,エキナセア39,49) などに多く含まれる 2 分子のカフェ酸と酒石酸のエステル化合物であり,血管平滑筋弛緩作用48)

,抗HIV作用39,50,51) ,抗酸化能52)などの種々の生理機能

を示すことが報告されているが,LDL抗酸化能に関する報告は見あたらない. そこで,本研究ではホソバワダンの動脈硬化予防作用に

関する基礎的知見を得るために,ホソバワダンのポリフェ

ノール含量を調べるとともに,個々のポリフェノールの

DPPH・消去能及びヒト LDLに対する抗酸化作用を in vitroの試験系で評価した. 4.2. 実験方法 4.2.1. 試薬

D(+)-chicoric acid(ChA),luteolin 7-O-β-D-glucuronide(LU-gluc)は前章でホソバワダンから単離したものを用いた.caffeic acid(CA),chlorogenic acid(ChgA),epicatechin

galla(ECg),2,2’-azovis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)は和光純薬工業(株), luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside(LU-glc),luteolin(LU),は Sigma-Aldrich Chemical Co.から購入した.epicatechin(EC),epigallocatechin gallate (EGCg)はナカライテスク(株)で購入した.ヒト LDLは(株)SAKURA Inc.から購入した.その他の試薬は,市販の特級試薬を使用した. 4.2.2. 試料及び試料溶液の調製 試料の沖縄県産ホソバワダンは,2004 年 1 月に沖縄県那覇市の小売店で入手した.ホソバワダンは凍結乾燥後,

ミルで粉砕して,分析に用いるまで−20˚Cで保存した. 凍結乾燥試料(生鮮物 1.6 g相当量)に 80%エタノール 8 mLを加え,80˚Cで 30分間インキュベートした後,1600 × g,10分間の遠心分離で得られた上清を試料溶液とした. 4.2.3. ホソバワダンのポリフェノール含量の測定 総ポリフェノール含量は第 2 章の 2.2.3 と同様に

Folin-Denis法14) で測定し,生鮮物重量 100 gあたりの没食子酸相当量として算出した.

Fig. 3-4, 5 に示したホソバワダンに含まれる各ポリフェノール(CA,ChgA,ChA,LU-glc,LU-gluc)含量は,HPLC(LC-10A,島津製作所)を用いて,次の条件で分析した.カラム;Wakosil II 5C 18S(250 × 4.6 mm i.d.,和光純薬工業(株)),移動相;A)0.1%ギ酸及び B)0.1%ギ酸/メタノール,グラジェント条件;5→100% B(0~30 min,リニアグラジェント),流速;1 mL/min,カラム温度;

17

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40˚C,検出波長;330 nm.各成分は標準物質の溶出時間とUVスペクトルとの一致で同定し,標準物質に対する各成分のピーク面積比で定量した.

4.2.4 ホソバワダンポリフェノールの DPPH・消去能 ホソバワダンポリフェノールは 80%エタノールに溶解し,分析用試料とした.DPPH・消去能は,第 2章の 2.2.4.(1)と同様の方法15) で測定し,Trolox相当量(µmol Trolox eq./ µmol)として算出した. 4.2.5. ホソバワダン抽出液及びホソバワダンポリフェノールの LDL抗酸化能の測定

LDL抗酸化能は,Hiranoら47) の方法を改変して測定し

た.すなわち,リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(pH 7.4)で調製したヒトLDL 2.225 mL と 2.5 mM EDTA/PBS 100 µL,試料溶液 125 µLをよく混合し(混合液 2.5 mLのLDL濃度:100 µg protein/mL),分光光度計用セル(容量 4 mL)に移した.次に 37˚C保温下, 20 mM 2,2’-azovis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile)エタノール溶液 50 µLを加えて反応を開始させ,6 分毎に 234 nmの吸光度を分光光度計で測定した.ホソバワダンの活性は,ホソバワ

ダン生鮮物相当量 0~5.0 mg/assayになるように,試料溶液を 80%エタノールで適宜希釈して分析した.ホソバワダンポリフェノール類は,茶カテキン(EC, ECg,EGCg)を比較対照に用いて,反応液中の最終濃度が 2及び 5 µMになるように 80%エタノールで調製して分析した.LDL抗酸化能は,反応開始後,吸光度が 0.1増加する時間をLag timeとして評価した.また,ホソバワダンとホソバワダンに含

まれる各ポリフェノールのLag timeの延長時間を,次式により算出した.

(試料の Lag time-Controlの Lag time)/ 反応液中の試料

量(g)× ホソバワダン 100 g中の試料量 4.3. 結果及び考察 4.3.1. ホソバワダンのポリフェノール含量の測定 ホソバワダンの総ポリフェノール含量及び個々のポ

リフェノール含量の測定結果をTable 4-1に示した.総ポリフェノール含量は,没食子酸相当量で 166.1 mg/100 g生鮮物であった.総ポリフェノール含量と個々のポリフェノールの総量は,ほぼ同程度(ホソバワダンの約

0.2%)であり,分析したポリフェノールがホソバワダンの主要なポリフェノールであることが明らかになっ

た.個々のポリフェノール類では,ChA(144.6 mg/100 g生鮮物)が最も多く,次いでLU-gluc,ChgA,LU-glc,CAの順に多かった.ChA含量は,分析したポリフェノールの総量の 66.7%を占めており,ホソバワダンに含まれるポリフェノールの特徴的な成分であることが明らか

になった.さらに文献値53)(mg/100 g生鮮物:エンダイブ;33.4 mg,レタス;7.3 mg,チコリ;1.7 mg)と比較すると,ホソバワダンはChAを多く含む野菜であることが明らかになった.また,ホソバワダンは,LU誘導体も生鮮物 100gあたり 50 mg以上含んでいた.分析したホソバワダンポリフェノールの 92.3%をChAとLU誘導体が占めていたことから,ホソバワダンはChAとLU誘導体を多く含む野菜と推察された.

4.3.2 ホソバワダンポリフェノールの DPPH・消去能 ホソバワダンポリフェノールの DPPH・消去能測定結果を Table 4-2 に示した.ホソバワダンポリフェノールのDPPH・消去能の強さは ChA,LU-glc,LU-gluc > CA > ChgAの順で強かった.含量を考慮すると,ホソバワダンの

DPPH・消去能には ChA,LU-glc,LU-gluc が大きく影響しているものと考えられた.

Table 4-1. Polyphenol contents of Hosobawadan and each polyphenol constituent in Hosobaw

Polyphenol content (per 100 g fresh weight)

1 Hosobawadan 166.1 ± 30.1 (mg gallic acid eq.)

2 Polyphenol constituent in Hosobawadan

 caffeic acid (CA) 2.0 ± 0.7 chlorogenic acid (ChgA) 14.8 ± 2.7 D(+)-chicoric acid (ChA) 144.6 ± 37.8 luteolin 7-O -β-D-glucopyranoside (LU-glc) 8.2 ± 2.5 luteolin 7-O -β-D-glucuronide (LU-gluc) 47.3 ± 25.5

1, 2 Polyphenol contents of 1, 2 were determind by Folin Denis assay and HPLC, respectively.

18

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CA 1.52 ± 0.02ChgA 1.21 ± 0.07ChA 1.83 ± 0.03LU-glc 1.85 ± 0.07LU-gluc 1.77 ± 0.09

Each value is the mean ± SD (n =3).

DPPH・ scavenging activity(µmol - Trolox eq. / µM)

Table 4-2. DPPH radical scavenging activity of phenoliccompounds in Hosobawadan

4.3.3. ホソバワダン抽出液及びホソバワダンポリフェノールのLDL抗酸化能の測定 二重結合を持つ高度不飽和脂肪酸は,自動酸化によりヒ

ドロペルオキシド(過酸化脂質)になるが,その際,二重

結合が移動して共役ジエンが形成される.共役ジエンは

230~235nmの紫外部に強い吸収を持つことから54) ,脂肪

酸ミセルやリポゾームなどが過酸化を受ける際の初期変

化を測定するのに有効である.LDLの酸化は,マクロファージや内皮細胞由来のO2

-・,Cu2+ によってLDLの脂質部分(コレステロールやリン脂質)が酸化を受け,その後脂

質過酸化反応が連鎖的に進行し,引き続きApo蛋白Bのアミノ酸部分が酸化されると考えられている 55).近藤ら 56)

は,共役ジエン生成の経時変化より,共役ジエン生成前期

をlag phase,生成段階をpropagation phase,生成終了・分解期をdecomopotion phaseに分け, lag phaseとpropagation phaseの交点をlag timeと定義し,LDL酸化抑制の指標とし

ている.しかしながら,近藤らの方法ではグラフ上でlag phaseとpropagation phaseの接線を作成し,交点(lag time)を判別しなければならず,活性が強い試料では生成段階の

吸光度上昇が緩やかで傾きが小さいために,lag timeの判別が難しい.そこで,本研究では,吸光度が平衡に達する

まではほぼ直線的に上昇することに着眼して,反応開始後,

吸光度が 0.1 増加する時間をlag timeと定義してLDL抗酸化能の指標とした.この方法によって,効率的に試料の

LDL抗酸化能を比較することができた. Fig. 4-2, 4-3 に示すようにホソバワダンは用量依存的にLDL の酸化を抑制した.LDL の酸化はコントロールと比較して,ホソバワダン添加量 0.63 mg/assay で有意に遅延しており,ホソバワダンが LDL 抗酸化能を有することが明らかになった.また,LDL 抗酸化能は用量依存的に強くなることも確認された.

19

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-

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 1 2 3 4 5Time of oxidation (hr)

Abs

orba

nce

at 2

34 n

m Fig. 4-2. Inhibition of conjugated diene formation during oxidation of LDL (100 µg/ mL LDL protein) by Hosobawadan extract at 37°C The oxidation was initiated by the addition of 400 µM (at a final concentration) AMVN-CH3O. The final concentration of Hosobawadan were ×, 0; ○, 0.63; �, 1.25; □,1.00; ●, 5.00 mg fresh weight/ assay. The results represent the mean of three experiments.

- 1 2 3 4

Control

0.63mg

1.25mg

2.50mg

5.00mg

Lag time (hr)

Fig. 4-3. Effect of Hosobawadan on lag times of conjugated diene formation during oxidation of LDL Each value is the mean ± SD, n = 3. The lag time was obtained by the time when absorbance at 234 nm reached to 0.1 after a measurement start.

20

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0 1 2 3

CA

ChgA

ChA

LU-Glc

LU-Gluc

EC

ECg

EGCg

Lag time (hr)

5 µM2 µM0 µM

T

ea c

atec

hins

Hos

obaw

adan

pol

yphe

nol

Fig. 4-4. Effects of polyphenol compounds in Hosobawadan and tea on lag times of conjugated diene formation during oxidation of LDL CA ; caffeic acid, ChgA ; chlorogenic acid, ChA ; D(+)-chicoric acid, LU-glc ; luteolin 7-O-β-D-glucopylanoside, LU-gluc ; luteolin 7-O-β-D-glucuronide, EC ; epicatechin, ECg ; epicatechin gallate, EGCg ; epigallocatechin gallate Each value is the mean ± SD, n = 5. The lag time was obtained by the time when absorbance at 234 nm reached to 0.1 a fter a measurement start.

Hosobawadan 3206

Polyphenol constituent inHosobawadan

CA 23

ChgA 14

ChA 347

LU-glc 44

LU-gluc 217

Anti LDL oxidative activity (per 100 g fresh weight, lag time;

sec × 105)

Table 4-3. Effects on LDL oxidation of Hosobawadan and eachpolyphenol constituent in Hosobawadan

21

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ホソバワダンポリフェノール類と茶カテキン類の

LDL抗酸化能を比較した結果を Fig. 4-4 に示した.LU-glc,LU-gluc,CAは,ECと同程度の強い LDL抗酸化能を有することが確認された.ホソバワダンに含まれるポリフェ

ノールで最も量の多い ChAの活性は,LU-glc,LU-gluc,CA と比較するとやや弱かった.ChgA には活性がほとんど認められなかった.各ポリフェノールの LDL 抗酸化能は,濃度に比例して強くなる傾向を示した. ホソバワダンの LDL 抗酸化能に各ポリフェノールがどの程度寄与しているか確認するために,ホソバワダン 100 gあたりに含まれる各ポリフェノールのLag timeの延長時間を算出した(Table 4-3).各ポリフェノールの延長時間の合計は645秒であり,ChA(347秒)とLU誘導体(LU-gluc; 217秒,LU-glc; 44秒)の影響が大きかった.ホソバワダン全体の値(3206 秒)と比較すると,各ポリフェノールの延長時間の合計は少なかった.この結果は,今回評価し

たポリフェノール以外の成分,例えば抗酸化性ビタミン類

の寄与や,複数の成分による相乗効果を示唆するものと考

える. 4.4. 小括 前章までに,沖縄県の伝統野菜であるホソバワダンが

O2¯・及びt-BuOO・消去能などの強い抗酸化能を有してお

り,CA誘導体とLU誘導体を多く含んでいることを明らかにした.LU誘導体やLUは動脈硬化発症要因の一つとされるLDLの酸化を強く抑制することが明らかにされており,これらのポリフェノール成分を含み、抗酸化能を有するホ

ソバワダンは,動脈硬化の予防に有用な食素材であること

が期待される.そこで本章では,ホソバワダンの動脈硬化

予防作用を明らかにするために,ホソバワダンのポリフェ

ノール組成の特徴を調べるとともに,個々のポリフェノー

ルのDPPH・消去能及びヒトLDLに対する抗酸化作用をin vitroの試験系で評価した. ホソバワダンの ChA含量は 144.6 mg/ 100 g生鮮物であり,他の野菜(エンダイブ,レタス,チコリ)と比較する

と,ホソバワダンは ChA を多く含む野菜であることが明らかになった.また,ホソバワダンには 100 g あたり 50 mg以上の LU 誘導体も含まれていた.分析したホソバワダンポリフェノールの 92.3%を ChAと LU誘導体が占めていたことから,ホソバワダンは ChAと LU誘導体を多く含む野菜であるといえる.各ポリフェノール

の DPPH・消去能は ChA,LU-glc,LU-gluc > CA > ChgAの順で強かった.ホソバワダンにおける含量を考慮すると,

ホソバワダンの DPPH・消去能には ChA,LU-glc,LU-glucが大きく影響しているものと考えられた.さらに,これ

らのポリフェノールを含むホソバワダンは in vitro でLDL の酸化を抑制し,その活性は用量に依存して強くなった.個々のポリフェノールの LDL 抗酸化能を調べた結果,LU 誘導体や ChA はカテキン類と同程度か,やや弱い活性を示した.強い活性を有する LU-gluc,LU-glc

と,活性はやや弱いが量の多い ChA は,ホソバワダンのLDL 抗酸化能に大きく影響していることが推察された.しかしながら,ホソバワダンの LDL 抗酸化能の値は,各ポリフェノール類の活性の合計より大きく,今回評価した

ポリフェノール以外の成分,例えば抗酸化性ビタミン類の

寄与や複数の成分による相乗効果も考えられた. 以上の結果から,ホソバワダンは強い LDL 抗酸化能を有するポリフェノールを多く含み,動脈硬化予防作用が期

待される素材であると示唆された. 第 5章 ラットにおけるホソバワダンポリフェノールの

血中動態

5.1. 緒言 アテローム性動脈硬化症は,狭心症や心筋梗塞,脳梗塞,

大動脈硬化などの原因となり臨床的に最も重要とされる

タイプの動脈硬化であり,低密度リポタンパク質(Low density; LDL)の酸化を起因として冠状動脈や大動脈の血管壁が肥厚することが発症の要因とされる45) .したがって,

LDLの酸化を抑制する抗酸化成分,例えばポリフェノール類などは動脈硬化症の予防に繋がる成分と期待される.前

章で,沖縄県の伝統野菜であるホソバワダンには

7-O-β-D-glucuronide ( LU-gluc ) や luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside(LU-glc)などのluteolin(LU)誘導体とchicoric acid(ChA)が特徴的に多く含まれていること,これらの成分はin vitroの評価系で強いLDL抗酸化能を有していることを明らかにした.しかしながら,LDLは生体内で血液中を循環しており,in vitroでLDLに対する抗酸化能を示した成分がin vivoでも効果を発揮するためには,摂取後,体内へ吸収されて血中に移行していることが必要

である. 本研究で調べたChAやLU誘導体と同様にLDL抗酸化能などの生理活性を示すポリフェノールの体内吸収性につ

いては,幾つかの報告がある.カテキン10,57) やアントシ

アニン類58,59,60) ,一部のカフェ酸誘導体61-66) については,

ラットやヒトにおける研究で,目的とする成分あるいは成

分を含む食材の摂取後,成分が血中へ移行することが確認

されている.しかしながら,ホソバワダンについては含ま

れる成分に関する知見自体が少なく,主要なポリフェノー

ルであるChAの体内吸収性に関する報告は見当たらない. そこで,本研究では ChA をはじめとするホソバワダンポリフェノール類の体内動態を明らかにするために,ホソ

バワダン抽出物(HWE)をラットに経口投与し,血中のホソバワダンポリフェノールを HPLCなどで分析,成分の血中動態を検討した.

5.2. 実験方法 5.2.1. 試薬

HPLC分析の標準物質 D(+)-chicoric acid(ChA),luteolin 7-O-β-D-glucuronide ( LU-gluc), caffeic acid(CA),

22

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chlorogenic acid(ChgA)は第 4章の 4.2.1.と同じものを用いた.β-glucuronidase(EC 3.2.1.3.1)は和光純薬工業(株),sulfatase(EC 3.1.6.1)は Sigma-Aldrich Chemical Co.から購入した.その他の試薬は,市販の特級試薬を使用した. 5.2.2. 試料及び試料溶液の調製 試料のホソバワダンは 4.2.2.と同様に,2004年 1月に沖縄県那覇市の小売店で入手したものを用いた.ホソバワダ

ンは凍結乾燥後,ミルで粉砕して,分析に用いるまで−20˚Cで保存した.

5.2.3. 動物実験 動物試験には 7週齢Wistar系雄性ラット(九動(株))

15匹を用いた.ラットは室内温度 22 ± 1˚C,相対湿度 50 ± 5%,12 時間毎の明暗サイクル下で,固形飼料 CE-II(日本クレア(株))と水を自由摂食させ,個別ケージで飼育

した.ラットに投与した HWE は,合成吸着樹脂 Diaion HP20(三菱化学(株))を用いて,ホソバワダン 80%エタノール抽出液から ChA などのポリフェノールを含む画分を調製した.1週間の予備飼育後,一晩絶食させたラットにゾンデで HWEを経口投与し(投与量は体重 KgあたりChA;210 mg,CA;2 mg,ChgA;25 mg,LU-glc;22 mg,LU-gluc;40 mg),0,15,30,60,120分後に各 3匹ずつ,エーテル麻酔下で腹部大動脈からヘパリン採血して,1600 × g,20分間の遠心分離で血漿を得た.なお本動物実験は,総理府告示第 6号(昭和 55年 3月)の「実験動物の飼養及び保管などに関する基準」を遵守して実施した.

5.2.4. 血 漿 中 の ポ リ フ ェ ノ ー ル の 抽 出 及 びglucuronidase/ sulfatase処理 血漿中のポリフェノール類は,次の手順で抽出した.

2.5%ギ酸で平衡化したカートリッジ(Oasis HLB,Waters Co.)に 5%ギ酸で 2倍希釈した血漿 1 mLを通し,5%メタノール 3 mLで洗浄後,25%,50%,75%及び 100%メタノール各 5 mLで順次溶出して,極性の異なる各ポリフェノール成分を回収した.溶出液を濃縮乾固後,50%メタノール 1 mLに溶解し,血漿抽出液とした.さらにHWE投与後30分の血漿は,抱合体の存在を確認するためにAzumaら61)

の方法で酵素処理した.血漿抽出液 500 µLと酢酸緩衝液(1.0 M, pH 4.5)500 µLを混合後,β-glucuronidase(最終濃度 500 U/mL)とsulfatase(最終濃度 25 U/mL)を加え,37˚Cで 50分間インキュベートした.メタノール 2.5 mLを加え,1600 × g,10分間の遠心分離で得られた上清を,HPLC/MS分析に供した.

5.2.5. 血漿中のポリフェノールの HPLC及び LC/ MS分析 血漿中のポリフェノール類はMS(esquire3000plus,Bruker)を付属したHPLC(1100 Series, Agilent)を用いて分析し,標準物質の溶出時間とUV及びMSスペクトルとの一致で同定した.分離条件はホソバワダン中のポリフェ

ノール類の分析と同条件で,MS分析は次の条件で行った.イオン化;ESI法(負イオンモード),キャピラリー電圧;–128.5 V,乾燥ガス流量;10 L/min(N2ガス),乾燥ガ

ス温度;350℃,ネブライザ圧;50 psi. 5.3. 結果及び考察 5.3.1. ラットにおけるホソバワダンポリフェノール類の血中動態 生理活性を有する食品成分が生体内で機能を発揮する

には,成分の体内動態が重要な要因になってくる.例えば,

今回筆者らがホソバワダンポリフェノール類とLDL抗酸化能を比較した茶カテキン類では,ヒトにおける摂取試験

で血中カテキン濃度が増加し,血中LDLの被酸化性も低下することが報告されている10,58) .ホソバワダンに含まれ

るポリフェノール類も,血中に移行することが確認されれ

ば,茶カテキン類などと同様の生理機能が期待される. HWE 投与前後ならびに glucuronidase/sulfatase 処理後のラット血漿中のポリフェノール類の HPLC 分析の結果をFig. 5-1に示した.HWE投与前のラット血漿中にはホソバワダンポリフェノールは認められなかった(Fig. 5-1(b)).HWE 投与後のラット血漿中には複数の成分が検出され,MS分析の結果から,保持時間 16.3分の成分(ピーク 3)は ChA(m/z 473 [M–H]¯)であることが確認された(Fig. 5-1(c)).ChA以外のホソバワダンポリフェノール類は検出されなかった. ポリフェノールは血中ではグルクロン酸や硫酸で抱合

化されている可能性がある.そこで,各ポリフェノール類

が血中でグルクロン酸などと抱合化されていないか調べ

る た め に , HWE 投 与 後 の ラ ッ ト 血 漿 を

glucuronidase/sulfatase処理後,HPLC分析した.その結果,酵素処理後は幾つかのピークが消失し,新たに特徴的な成

分(ピーク 6)が検出された(Fig. 5-1(d)).分析の結果,ピーク 6の成分はLU(保持時間;20.0分,m/z 265 [M–H]¯)と同定され,HWE投与後の血中にLU抱合体の存在が確認された.ラットやヒトにおける摂食試験で,LUやLU-glcはLU抱合体として血中に存在することが報告されている68) .本実験結果もこの報告とほぼ一致しており,ホソバ

ワダンに含まれるLU誘導体も,体内ではLU抱合体に代謝変換されていることが推察された.ChAは,酵素処理前後でピークに変化が認められなかった.CAとChgAは検出されなかった.

ChA については,さらに体内動態を詳細に検討するために,ラット血漿中の ChA 濃度を経時的に分析した.その結果,Fig. 5-2に示したように,HWE投与後 15分の血中には ChA(2.9±1.6 µg/mL plasma)が検出され,その後,速やかに減少する傾向を示した.この結果から,ChA は摂取後,速やかに吸収されて血中へ移行するが,血中での

滞留時間は比較的短く,血中から排泄あるいは代謝・分解

されていることが示唆された.同じ CA誘導体であっても,ChgAは CAとキナ酸,ChAは CAと酒石酸のエステル化合物という化学構造上の違いがある.したがって,CA誘

23

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導体の生体内への吸収・代謝には CAとエステル結合している成分,結合している CAの数などの影響もあることが考えられる.ChA の吸収メカニズムの詳細は不明だが,

ChA が代謝を受けずにそのままの形で血中に移行するのは興味深いことであり,その機構解明は,今後の重要な研

究課題と考える.

10 15 20 25

1

2

345 6

3

3 6

Retention time (min)

(a) a standard mixture of

polyhenol compounds

(b) before administration

(c) 30min after administration

(d) plasma extract treated with

β-glucuronidase/sulfatase

10 15 20 25

1

2

345 6

3

3 6

10 15 20 2510 15 20 2510 15 20 25

1

2

345 6

3

3 6

1

2

345 6

3

3 6

Retention time (min)

(a) a standard mixture of

polyhenol compounds

(b) before administration

(c) 30min after administration

(d) plasma extract treated with

β-glucuronidase/sulfatase

Fig. 5-1. HPLC chromatograms of polyphenol compounds in extracts of plasma in rats administered Hosobawadan extract a standard mixture of polyhenol compounds, 1; chrologenic acid, 2; caffeic acid, 3; D(+)-chicoric acid, 4; luteolin 7-O-β-D-glucopylanoside, 5; luteolin 7-O-β-D-glucuronide; 6 ; luteolin

24

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-

1

2

3

4

5

6

0 30 60 90 120

Time after oral administration (min)

Chi

cori

c ac

id (µ

g/m

L p

lasm

a)

0-

1

2

3

4

5

6

0 30 60 90 120

Time after oral administration (min)

Chi

cori

c ac

id (µ

g/m

L p

lasm

a)

0

Fig. 5-2. Concentration of D(+)-chicoric acid in rat plasma after oral administration of Hosobawadan extract Each value is the mean ± SD, n = 3. 以上の結果から,ホソバワダンに含まれるChAは抱合体などに変換されずにそのままの形で,また,LU誘導体はLU抱合体として血中に移行すると考えられた.本研究の結果を他の研究と単純に比較することは難しいが,カテキ

ン11,57)やアントシアニン58) などでは,投与後の血中濃度

が本研究で示したChAより低い濃度でも,血中の抗酸化能が上昇している.従って,本研究では明らかにできなかっ

たが,ChAの血中での抗酸化活性も期待できるものと考える.今後は,ホソバワダンに含まれるChAやLU誘導体などの生理活性成分の体内吸収性を考慮した研究評価が重

要になってくるものと考える.

5.4. 小括 前章で,ホソバワダンに含まれる ChA などのポリフェノールは,in vitroで強い LDL抗酸化能を有することを明らかにした.in vitroで活性を示す成分の in vivoでの効果を検証するためには,まずこれらの成分の体内吸収性を確

認することが重要である.そこで本章では,ChA をはじめとするホソバワダンポリフェノール類の体内動態を明

らかにするために,ホソバワダン抽出物(HWE)をラットに経口投与し,血中のホソバワダンポリフェノールを

HPLCなどで分析した. HWE 投与後のラット血漿中には,ChA が確認された.ポリフェノールは血中ではグルクロン酸や硫酸で抱合化

さ れ て い る 可 能 性 が あ る た め , 血 漿 を

glucuronidase/sulfatase で処理した結果,酵素処理前後でChA には変化がみられなかった.さらに,ラット血漿中の ChA 濃度を経時的に分析した結果,血中 ChA 濃度はHWE投与後 15分で最大値に達した後,減少する傾向を示した.また,ChA とともにホソバワダンに多く含まれるLU 誘導体は HWE 投与後のラット血漿中には確認されないが,酵素処理後,アグリコンである LUとして検出された. 以上の結果から,ホソバワダンに含まれる ChAは摂取後,代謝変換されずにそのままの形で血中へ移行するが,血中

での滞留時間は比較的短く,速やかに血中から排泄あるい

は代謝・分解されていること,また,LU 誘導体は LU 抱合体として血中に移行していることが推察された.

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第 6章 総 括

かつて長寿地域として知られた沖縄では,国内で最も豚

肉の利用が多い高脂肪摂取地域であるにもかかわらず,動

脈硬化に起因する心臓病,脳血管障害などの循環器系疾患

による死亡が少ないという相反する現象が見られていた.

従来の沖縄型食生活は脂肪の摂取が多い反面,緑黄色野菜,

薬草,海草の摂取が多いことが特徴であった.また,日本

で唯一亜熱帯地域に位置する沖縄では,中国など近隣アジ

ア諸国の影響もあり,他府県では見られない食材を多く利

用してきた.沖縄で伝統的に利用されてきたこれらの食材

は,動脈硬化に起因する循環器系疾患に予防作用を有する

抗酸化成分を多く含んでいることが期待される.そこで本

研究では,沖縄で利用されている野菜,特に茎・葉菜類,

果菜類の抗酸化能及び抗酸化成分を明らかにすることを

目的として,次の実験を行った.まず,県内で入手した野

菜 45品目のポリフェノール含量,DPPHラジカル(DPPH・)消去能を調べた.高ポリフェノール含量でDPPH・消去能が強かった野菜については抗酸化能を詳細に調べるために,

スーパーオキサイドラジカル(O2-・)消去能など複数の

実験系で抗酸化能を評価した.ホソバワダンについては抗

酸化成分を明らかにするために,ポリフェノールを単離・

同定した.さらにホソバワダンポリフェノールの動脈硬化

予防作用を明らかにするために,動脈硬化の発症要因のひ

とつとされるLDLの酸化に対する抑制能を測定した.また,ホソバワダンポリフェノールの体内動態を明らかにする

ために,ラットにホソバワダン抽出物(HWE)を投与し,成分の血中動態をHPLCなどで分析した.以上の実験を行った結果,次の知見を得た. 1) 沖縄で食べられている野菜 45品目のポリフェノール含量及びDPPH・消去能を調べた結果,沖縄の伝統野菜であるニシヨモギ,リュウキュウヨモギ,ホソバワダン,

エンサイ,ヤエヤマカズラ,ボタンボウフウ,スイゼン

ジナ,ウイキョウの 8品目は,特に高ポリフェノールで強いDPPH・消去能を有することが明らかになった.これら 8 品目の野菜は,O2

-・消去能を有しており,リノ

ール酸の自動酸化や t-BuOOHを用いた測定法でも強い抗酸化能を示した.以上の結果から,高ポリフェ

ノール含量の沖縄伝統野菜 8 品目は,O2-・などのフリ

ーラジカルを消去するとともに,脂質の自動酸化を抑制

することで,総合的に高い抗酸化能を発揮することが予

想された. 2) ホソバワダン抽出液を調製し,HPLCでポリフェノール組成のパターンを他の野菜と比較した結果,ホソバワ

ダンは,他の沖縄野菜に含まれていないポリフェノール

を複数含んでいることが推察された.そこで,ホソバワ

ダンからポリフェノールを単離した結果,5つの成分を得た. 1H-NMR,13C-NMR,MSスペクトル分析によって,得られた成分はchlorogenic acid(ChgA),caffeic acid

( CA ), D ( + ) -chicoric acid ( ChA ), luteolin 7-O-β-D-glucopyranoside ( LU-glc ) , luteolin 7-O- β-D-glucuronide(LU-gluc)であることが明らかになった.他の沖縄野菜に含まれるCA誘導体の多くがCAとキナ酸のエステル化合物であるのに対し,ホソバワダン

は,CAと酒石酸のエステル化合物ChAを多く含むという特徴を有していた.

3) ホソバワダンのポリフェノール含量,個々のポリフェノールの DPPH・消去能及びヒト LDL に対する抗酸化作用を in vitroの試験系で評価した.ホソバワダンは,他の野菜と比較してChAと LU誘導体を多く含む野菜であると考えられた.各ポリフェノールの DPPH・消去能は ChA,LU-glc,LU-gluc > CA > ChgAの順で強く,ホソバワダンの DPPH・消去能には ChA と LU-glc,LU-glucが大きく影響しているものと考えられた.各ポリフェノールの LDL 抗酸化能を調べた結果,LU 誘導体や ChA はカテキン類と同程度か,やや弱い活性を示した.ホソバワダン中では,量の多い ChA と、量はやや少ないが活性の強い LU-gluc,LU-glc が LDL 抗酸化能へ大きく影響していることが推察された.以上の結

果から,ホソバワダンは強い抗酸化能,LDL 抗酸化能を有するポリフェノールを多く含み,動脈硬化予防作用

が期待される素材であると考えられた. 4) HWEをラットに経口投与し,血漿中のホソバワダンポリフェノールを HPLC,LC/MSなどで分析した結果,ChAが確認された.glucuronidase/sulfatase処理前後で血漿中の ChA には変化がみられなかった.ラット血漿中の ChA 濃度は HWE 投与後 15 分で最大値に達した後,減少する傾向を示した.また,ChA とともにホソバワダンに多く含まれる LU誘導体は HWE投与後のラット血漿中には確認されなかったが,酵素処理後,アグリコ

ンである LUとして検出された.以上の結果から,ホソバワダンに含まれる ChA は摂取後,代謝変換されずにそのままの形で血中へ移行するが,血中での滞留時間は

比較的短く,速やかに血中から排泄あるいは代謝・分解

されていること,また,LU 誘導体は LU 抱合体として血中に移行していることが推察された.

以上の結果より,沖縄県産野菜には高ポリフェノール含

量で強い抗酸化能を示すものが多く含まれており,特に伝

統野菜 8 品目は高ポリフェノール含量で強い抗酸化能を有することが明らかになった.その中の一つであるホソバ

ワダンは LDL抗酸化能を有する ChAや LU誘導体を多く含んでおり,動脈硬化予防作用が期待される素材であると

考えられた. 現在,沖縄県の伝統野菜の多くは栽培の難しさや食スタ

イルの変化に伴い生産・消費量が減少しており,中には入

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手が非常に困難になったものもある.本研究の成果は失わ

れつつある伝統野菜の有用性の一端を実証するものと考

える.かつて長寿県であった沖縄県が食スタイルの激変と

ともに全国有数の肥満地域と化し、平均寿命の全国順位も

低下した状況で,本研究がこれら伝統野菜の見直し、消費

拡大に繋がり,微力ながらも人の健康維持・推進に寄与す

ることを期待したい.

謝 辞

終わりに鑑み,本研究を遂行するにあたり終始ご指導と

ご助言を賜りました琉球大学遺伝子実験センター 屋宏

典教授に衷心より謝意を表します. 本研究を遂行するにあたり,終始ご指導を賜りました琉

球大学農学部 田幸正邦教授,佐賀大学農学部 柳田晃良

教授に深甚なる感謝の意を表します. また,ご校閲の労をお取り下さいました鹿児島大学農学

部 林國興教授,宮崎大学農学部 窄野昌信教授,本論文

をまとめるにあたりご助言を賜りました琉球大学農学部

和田浩二助教授に謹んで感謝の意を表します. 本研究を遂行するにあたり,終始ご指導とご助言を賜り

ました独立行政法人農業技術機構 須田郁夫博士に衷心

より謝意を表します. 本研究を遂行するにあたり,ご助言を賜りました独立行

政法人農業技術機構九州・沖縄農業研究センター 沖智之

博士,増田真美氏,独立行政法人農業技術機構食品総合研

究所 小野裕嗣博士,忠田吉弘博士,津志田藤二郎博士,

独立行政法人国立健康・栄養研究所 永田純一博士に謝意

を表します. 本論文をまとめるにあたり,終始ご指導,ご助言を頂い

た沖縄県工業技術センター 平良淳誠博士に心より感謝

いたします. 試料の分析に御協力頂いた沖縄県工業技術センター

市場俊雄氏,琉球大学農学部 高良健作助手,琉球大学遺

伝子実験センター岩崎公典助手に謝意を表します. 試料を快く提供していただいた独立行政法人農業技術

機構九州・沖縄農業研究センター 吉元誠博士に心より感

謝いたします.

本研究の遂行にあたり,広瀬直人博士をはじめ桑江育代

氏,友利志乃氏,西江一氏,細川加代氏ら沖縄県農業研究

センター流通加工研究室の皆様には甚大な御協力を頂き

ました.心より感謝いたします.

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