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Study Case1川崎信用金庫様は、1923年(大 正 12年)の創立以来、...

Date post: 16-Oct-2020
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川崎信用金庫様 Case Study 1 信用金庫の業務を支える 統合OAシステムの刷新にあたり、 「セキュリティと効率性の両立」をはじめ、 さまざまな課題を総合力で解決。 12 Club Unisys + PLUS VOL.45
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Page 1: Study Case1川崎信用金庫様は、1923年(大 正 12年)の創立以来、 「地域とともに の発展に貢献してきました。奈川県川崎市を中心とした地域社会歩む協同組織金融機関」として、神

川崎信用金庫様

CaseStudy1

信用金庫の業務を支える統合OAシステムの刷新にあたり、「セキュリティと効率性の両立」をはじめ、さまざまな課題を総合力で解決。

12Club Unisys + PLUS VOL.45

Page 2: Study Case1川崎信用金庫様は、1923年(大 正 12年)の創立以来、 「地域とともに の発展に貢献してきました。奈川県川崎市を中心とした地域社会歩む協同組織金融機関」として、神

 

川崎信用金庫様は、1923年(大

正12年)の創立以来、「地域とともに

歩む協同組織金融機関」として、神

奈川県川崎市を中心とした地域社会

の発展に貢献してきました。

 

同金庫では、本部や店舗における

日々の業務処理を担う統合OAシス

テムを構築していましたが、ハードウェ

アの更改時期やOSのサポート終了

に合わせて全面刷新を決定。セキュ

リティと効率性の両立をはじめ、事

業継続性の強化、汎用性・拡張性の向

上、運用負荷の低減、コスト削減など、

さまざまなテーマを掲げてシステム

構築に取り組みました。

 

この統合OAシステムの刷新にあた

り、日本ユニシスは、深い顧客理解に基

づく提案力と、グループの総合力を活

かした対応が評価され、システム構築

パートナーに選ばれました。同金庫の

抱えるさまざまな課題を、シンクライ

アントやプライベートクラウドといった

先端ソリューションによって解決し、公共

性の高い事業活動を支える安全かつ効

率的な情報インフラを実現しました。

信用金庫の業務を支える

統合OAシステムを全面刷新

 

2013年に創立90周年を迎えた川

崎信用金庫様は、川崎市を中心とした

地域において、大正から昭和、そして平

成と、時代が移り変わるなかで、中小企

業や消費者の金融円滑化を通じて地域

経済を支えるという、変わらぬ使命を

果たし続けてきました。そうした歴史の

積み重ねによって、地元の方々から「かわ

しん」の愛称で親しまれ、確かな信頼関

係を築いています。

 

同金庫の地盤である川崎市は、神奈

川県と東京都との境目という利便性の

高い立地環境にあり、交通アクセスにも

恵まれることから、先端産業や研究機関

が集積し、再開発計画も相次いでおり、

日本でもっとも人口増加率が高い都市

圏です。こうした活気にあふれる地域に

あって、同金庫は地域からの圧倒的な信

頼感をもとに安定した成長を続け、預

金量、融資量ともに全国トップクラスを

誇っています。

 

同金庫では、各種業務の効率化に向

けて、1990年代後半からOAシステ

ムの導入を開始しました。その後、時代

とともに更新および拡充を重ね、現在で

は、パソコンから複合機・プリンタ、メール、

ポータルサイト、営業店ネットワークや

インターネット接続環境などを含めて、

職員の日常業務を支える統合OAシス

テムとして運用しています。

 

このシステムの全面刷新を決定したの

は、2011年春のことでした。その理由

や背景について、システム部の責任者で

ある前島誠部長が説明します。

「直接的な理由は、2006年に構築し

た既存システムのサーバが更改時期を迎

えるとともに、OSとして採用している

Window

s XP

が2014年にサポート終

了となるなど、ハード、ソフトともに刷新

すべきタイミングだったからです。とはい

え、ただ時期が来たから刷新するという

だけではありません。この機を捉えて、

統合OAシステムを運用するうえでの

さまざまな課題を、すべて解決しようと

いう狙いがありました」

PROFILE

システム部 部長

前島 誠 氏システム部 副部長

庄子 友紀男 氏システム部 調査役

三杉 真人 氏

川崎信用金庫創立本店所在地店舗数預金量役職員数事業内容

1923年7月18日川崎市川崎区砂子2-11-156店舗1兆7,457億円(2013年3月末)1,471名(2013年3月末)預金および定期積金の受入れ、資金の貸付および手形の割引、為替取引、上記業務に付随する各種業務 など

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セキュリティを保ちながら

業務効率の向上を追求

 

同金庫では、統合OAシステムの刷新

プロジェクトを立ち上げるにあたり、ユー

ザー、管理者双方の視点から多くの課

題を抽出し、それらをトータルに解決す

る「全体最適」なシステム構築をめざし

ました。業務継続性を高めるための安

定稼働の実現、多様な業務システムを

一元管理できる汎用性、将来的な業務

形態の変化にも対応できる柔軟性、よ

り戦略的な情報活用の実現、さらには

運用負荷とコストの軽減など、解決すべ

き課題は多岐にわたりましたが、なかで

も最重要テーマとして掲げたのが「セキュ

リティと効率性の両立」でした。

「金融機関では、お客様の個人情報のな

かでも、とくに重要な情報を扱いますの

で、情報セキュリティには万全を期す必

要があります。既存システムを構築した

際は、『便利より安全』をコンセプトに、

ユーザーである職員の利便性よりもセ

キュリティ強化を優先しました。構築後

も、最新のセキュリティソリューションを

適宜導入していましたので、パソコンの立

ち上げに時間がかかるなど、実際に職員

の業務効率を犠牲にしている面もあり

ました」(前島氏)

 

システムの刷新にあたっても、こうした

セキュリティへのこだわりに変わりはあり

ません。しかし、中小企業の経営不振や

他行との競争激化など、地域金融機関

を取り巻く環境が厳しくなるなかで、お

客様へのサービスの源泉となる職員の業

務にも、これまで以上の効率化が求めら

れていたと言います。

「当金庫にとって、OAシステムは、紙や

鉛筆、電卓などと同様に、日常業務に欠

かせない『道具』であり、職員にとっては、

その使い勝手が業務効率に直結します。

これまで同様の強固なセキュリティを保

ちながら、同時に職員の業務効率の向

上にも貢献する

―これが、私たちの

求める新しい統合OAシステムのあり方

でした」(前島氏)

情報収集段階からの

コミュニケーション力と

体制の安心感が評価のポイント

「多岐にわたる課題や目的に、どのよう

に取り組むべきか。まずはその方向性を

明確にするための情報収集からスタート

しました」と語るのは、統合OAシステム

刷新プロジェクトの推進役を担ったシス

テム部

副部長の庄子友紀男氏です。

「既存システムのベンダをはじめ、複数の

ICT事業者に協力を仰ぎ、こちらの課

題をお伝えしながら、どのようなソリュー

イントラネット系

本部・本店営業部

営業店・事務集中センター

イントラネット系ネットワーク

インターネット系ネットワーク

認証

認証

ICカード

ICカード 静脈

U-Cloud®

U-Cloud®

インターネット系

認証

ICカード

認証+

ICカード 静脈

外部webサイト 一般顧客

取引先外部メール

日本ユニシスデータセンター

「統合OAシステム」概要

シンクライアントサーバ基盤

シンクライアントPC

複合機

無線LAN

プリンタ

シンクライアントPC

●シンクライアント業務アプリ

●電子メール●ポータルサイト●グループウェア ワークフロー

認証系基盤●PCログオンの認証 (ICカード・生体認証)●業務システムの認証 (シングルサインオン)

運用系・セキュリティ基盤●統合バックアップ●ウイルス対策

●統合運用監視●時刻同期

サーバ仮想化統合基盤

サーバ約200台を35台のブレードサーバに集約

シンクライアント&生体認証でセキュリティ強化

運用機能の統合化・標準化

●OAシステム統合基盤●業務システム統合基盤

シンクライアントサーバ基盤●シンクライアント

サーバ仮想化統合基盤●OAシステム 統合基盤

業務アプリ●電子 メール

認証系基盤●PCログオン の認証 (ICカード・ 生体認証)

運用系・セキュリティ基盤●統合バックアップ●ウイルス対策●統合運用監視●時刻同期

U-Cloud®

信用金庫向け共同利用型インターネット接続サービス

●インターネット/ 外部メール●ホームページ公開

※ U-Cloud®は、日本ユニシスグループが提供するクラウドサービスの総称です。

川崎信用金庫様Case Study 1

14Club Unisys + PLUS VOL.45

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ションがあるのか、最新の技術動向や他

社事例について『勉強会』という形で情

報を提供いただきました。こうしたコミュ

ニケーションを重ねるなかで、次第にやり

たいことが明確になっていきました」

 

ICT事業者各社と対話を重ねるなか

で、とくに印象的だったのが日本ユニシス

の対応だったと、庄子氏は振り返ります。

「勉強会そのものへの積極性もさること

ながら、即答が難しい技術的な質問にも

スピーディなレスポンスがあるなど、営業

と技術部門の連携がしっかり取れている

ことが伺えました。また、勉強会をはじ

めとしたコミュニケーションを通じて、こ

ちらの課題をより深く理解しようとす

る姿勢を強く感じました。実際、最終

的にいただいた提案を比較したところ、

機能や性能はもちろん、コスト面や納期

対応なども含めて、こちらの希望をバ

ランスよく実現いただける内容で、『よ

くぞここまでこちらの意を汲んでくれ

た』と感心すると同時に、多様な課題を

トータルに解決できる、総合力をもった

会社であることが実感できました」

 

もう1つ、大きな評価ポイントとなった

のが、グループ一丸となった対応力でした。

「統合OAシステムは、システム基盤から

パソコンなどの端末、ネットワークまで幅

広い要素で構築されていますので、全面

刷新するためには多岐にわたるエンジニ

アが必要になります。当金庫では、シス

テム部のマンパワーも限られているうえ、

既存システムの更改時期の都合上、スケ

ジュールもタイトにせざるを得ませんで

した。そうした条件下にあって、これだ

け大規模かつ複雑なプロジェクトを無事

に進めていけるだろうかと、プロジェクト

メンバーは不安を抱えていました。しか

し、日本ユニシスさんはグループ各社から

メンバーを選出し、設計・開発から導入

後の運用・保守までフォローしていただけ

る体制を組んでくれたので、非常に安心

感がありました」(庄子氏)

 

こうした評価に加えて、情報提供や

具体的な提案のなかに、信用金庫を含

めた金融業界で培ってきた豊富な実績

やノウハウが駆使されていたことも信頼

感につながり、2012年1月、日本ユニ

シスは新統合OAシステムの構築パート

ナーに選定されました。

多様な先端技術を取り入れ

統合OAシステムの

全体最適化を図る

 

新統合OAシステムでは、課題となって

いた「セキュリティと効率性の両立」を

実現するために、全店のパソコンに「シン

クライアント」を採用しました。シンクラ

イアントとは、ユーザーの利用するパソコン

(クライアント側)にはデータを保持せず、

サーバ側で保持・処理する仕組みのことで、

これにより、情報漏えいを防止すると同

時に、パソコンの処理速度も向上します。

 

サーバについては、日本ユニシスのプラ

イベートクラウドパッケージ『U

-Cloud@

IPCP

』を採用し、仮想化技術によって約

200台のサーバを35台のブレードサー

バに統合しました。U-C

loud@IPCP

は、

企業内にクラウド環境を構築する「プラ

イベートクラウド」に必要な機能を実装

したオールインワンのパッケージで、規模

や機能に応じて最適なクラウド環境を

リーズナブルに構築できます。

 

プロジェクトの実務面を担ったシステ

ム部

調査役の三杉真人氏は、その狙い

を次のように説明します。

「プライベートクラウドによるサーバの仮

想化は、当初からの要望の1つでした。こ

れまでは、例えばハードの更改時期を迎え

たときに、『最新のハードでは従来のOS

が使用できない』などの理由から、ソフト

も含めて更新しなければなりませんでし

た。その分、大がかりになりコストも発生

します。仮想化によってハードとソフトを

切り離すことができたので、今後はそれぞ

れ最新版に更新することができます」

 

サーバ仮想化のメリットは、それだけで

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はありません。

「当金庫では、口座管理システムや本人

確認システムなど、さまざまなシステム

を構築していますが、必要に応じて個

別に構築してきたため、それぞれ専用

のサーバや端末を必要としており、大変

非効率でした。汎用性の高い仮想サーバ

としたことで、今後は各システムを移行

し、当金庫の統合基盤としてシステムを

問わず活用していくことが可能になりま

す」(三杉氏)

 

それ以外の課題についても、「業務継

続性」についてはハードウェアの二重化と

クラウド化によってシステム停止リスク

を低減。「戦略的な情報活用」については

金庫内ポータルサイトの再構築により情

報共有を強化。「運用負荷とコスト軽減」

については、統合バックアップ・統合運用監

視システムや信用金庫向け共同利用型

インターネット接続サービスの活用によっ

て実現するなど、それぞれ先進かつ信頼

性の高いソリューションを提供しました。

短期間での構築から

導入サポートまで

グループ総合力で対応

 

新しい統合OAシステムが稼働を開

始したのは、開発着手から約1年後の

2013年11月のことでした。

「これだけ多彩なソリューションを盛り

込んだシステムの全面刷新を約1年とい

う短期間で終えることができたのは、こ

ちらがお願いしたこととは言え、正直、驚

いています」と三杉氏は振り返ります。

「金融機関という性質上、私どもの業務

は止めることが許されず、業務のない夜

間や土日しか作業できないという制限が

ありました。こうした厳しいスケジュール

のなかでも、日本ユニシスさんはこちらの

事情を汲み取り、限られた時間内で作

業を進めてくれました。豊富な開発実

績に加えて、当初期待していたグループ

としての総合力があってのことだと思っ

ています」(三杉氏)

 

こうした対応面での高評価は、導入に

当たってのフォローについても同様だった

と言います。

「長期にわたって毎日、使い続けてきたシ

ステムを刷新するわけですから、われわ

れにも、ユーザーである職員にも不安が

ありました。スムーズな導入に向けて、

日本ユニシスさんにはマニュアル類の整備

から、職員を対象とした集合研修の実

施まで、さまざまな支援をお願いしまし

た。部署や役職に応じてさまざまな研

修が必要になりましたので、日程をやり

くりするだけでも大変だったと思います

が、本部と店舗で別々の講義内容や教

材を用意いただくなど、きめ細かく対

応していただけて本当に助かりました」

(三杉氏)

業務処理の効率と

情報管理の精度向上に

確かな成果

 

新システムの稼働開始から数カ月を経

て、職員たちの評価は上々だと言います。

「顕著な成果といえるのが、やはりレス

ポンスの向上です。旧システムでは、毎朝

パソコンを立ち上げる際にログオンが集

中するため、業務開始まで10分以上を

要することも少なくありませんでした。

新しいシステムでは、条件にもよります

が、おおむね数分以内で業務を開始する

ことができます」(三杉氏)

 

パソコンの立ち上げ以外にも、処理ス

ピードの向上や、容量オーバーで業務が

停止することもなくなるなど、業務効率

川崎信用金庫様Case Study 1

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の改善に大きな成果があったと言います。

「ユーザーにとって、もう1つの大きなメ

リットが、金庫内ポータルサイトの改善で

す。これまでのポータルでは、トップページ

はメニュー画面のみで、新着情報があるか

どうかは、メニューを操作して個別ページ

を見なければ分かりませんでした。新し

いポータルでは、トップページに新着情報

が表示されるためタイムリーな情報共

有が可能になり、必要な情報を取りこぼ

すこともなくなりました。今後は、この

ポータルの機能をさらに強化し、戦略的

な情報共有・活用に役立てていきたいと

思っています」(庄子氏)

ICTパートナーとして

さらなる支援に期待

「新システムの稼働開始からはまだ半年

程度であり、その真価を発揮するのはこ

れからだと思います。日本ユニシスさんに

は、稼働後も保守要員として常駐して

もらっていますので、『構築して終わり』

ではなく、本部や各店舗の職員の評価

をふまえて継続的な改善に協力いただ

き、私たちと一緒にシステムを成長させ

ていってほしいですね」と、三杉氏は今後

の展望を語ります。

 

庄子氏も、さらなるシステム改善への

意欲を次のように語ります。

「当金庫のOAシステムの改善は、まだ

始まったばかりです。今回の統合OAシ

ステムによって、汎用性の高い情報基盤

が構築できましたので、これを活用し

て、より効率的で使い勝手の良いシステ

ムをつくり上げていきたい。そのために

は、ICTの専門家による提案や情報提

供が欠かせませんので、今後もきめ細か

な対応を期待しています」

 

最後に、前島氏が今後の日本ユニシス

に期待することを語ります。

「冒頭でも言いましたように、当金庫に

とってOAシステムは業務遂行に不可

欠な『道具』ではありますが、当金庫の

人的資源には限りがあり、現状では、約

1500名もの職員の業務基盤を数名

で支えています。それゆえ、ICT分野

で頼りになるパートナーの存在が不可欠

です。日本ユニシスさんには、引き続き、

さまざまなことを教えていただき、相談

に乗っていただきたいと思っています」

今回の案件では、担当営業として、川

崎信用金庫様内での方針策定段階か

ら、勉強会といった形でコミュニケーショ

ンの機会をいただけました。ご対応いただ

いたシステム部の皆様には、私たちの情

報提供や提案に真摯に向き合っていた

だき、「こちらが良い提案をすれば、必ず

評価していただける」と確信できました。

結果的に、当社をパートナーとして選んで

いただいたことに、深く感謝しています。

構築段階では、私自身、これだけ広範

囲にわたるシステムを短期間で構築する

のは初めての経験であり、当社の各部

署、各グループ会社から専門メンバーが

集まったプロジェクトを円滑に進めていけ

るか不安もありました。各メンバーの頑張

りはもちろん、各部署・各社の組織的な

支援、お客様の協力もあって、1年間の

構築期間を経て無事本番稼働したこと

には改めて自社の技術力と底力を実感し

ました。

今回の案件を起点として、今後、川崎

信用金庫様とより一層のパートナーシップ

を構築し、統合OAシステムの改善・拡充

はもとより、それ以外の課題に対しても有

益な提案をしていきたいと思っています。

営業担当の声

グループの総合力に支えられて、広範囲にわたるシステムを短期間で構築できました。

Voice

金融第二事業部営業二部 第一営業所

落合 壮彦

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日新製鋼様

CaseStudy2

日本ユニシスの『eProT®』を活用した全社共通の電子購買システムを構築し、低コストかつ戦略的な購買業務を推進。

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日新製鋼様では、事業所ごとに

構築・運用してきた購買システムの

業務フローの統一や各種情報の有効

活用を通じた業務効率や保守・運

用コストの改善をめざして、新たに

全社共通の購買・外注管理システム

「e-POS

」を導入しました。この新

システムのパッケージとして採用さ

れたのが、日本ユニシスの電子購買

構築ツール『eP

roT®

』です。

 

日本ユニシスでは、購買業務に精通

した人材を活用して、日新製鋼様の

各事業所の多様なニーズを反映した

新システムを構築。購買業務の合理

化やコスト低減のみならず、全社の

ガバナンス強化にも貢献しています。

運用効率改善、業務フローの

統一をめざし、3事業所の

保全・購買システムを一本化

 

日新製鋼様は、1959年の設立以

来、ステンレス鋼・表面処理製品などの

薄板部門に特化した鉄鋼メーカーとし

て、社会を支えるさまざまな製品を供

給し続けています。近年、国内外の経済

環境が厳しさを増すなか、同社ではコス

トダウンによる競争力強化、グローバル

展開とコア製品のさらなる成長戦略の

展開、お客様中心主義の深化による新

たな市場の創造などを目標に掲げ、い

かなる環境にも対応できる強靭な企業

体質の実現に取り組んでいます。

 

同社では、これら事業構造改革を加

速していくための重要施策の1つとし

て、さまざまな業務を支える企業情報

基盤の高度化に着手。その先陣を切っ

て、安定的な工場の操業に欠かせない

「設備保全管理システム」と「購買・外

注契約システム」を刷新しました。

 「設備保全管理システム」は、各生産

設備の故障履歴や点検・整備の内容・実

績、保全予備品などを一元管理するシ

ステムであり、これら情報を共有して設

備故障・トラブルの未然防止、保全技術

の向上・標準化などに活用されます。そ

して、このシステムと連携しながら、工

場の操業に必要な原材料をはじめ、機

械部品や各種の消耗品などの資材の発

注・見積・契約といった業務を管理する

のが「購買・外注契約システム」です。

「当社の場合、ネットワークが未発達だっ

た1960年代の半ばからコンピュータ

を活用し始めたため、事業所ごとに自

前のシステムを構築・運用してきた歴史

があります。保全管理および購買・外注

のシステムについても、主要生産拠点の

広島県・呉、大阪(堺・東予・大阪・市川・

尼崎をカバー)、山口県・周南の3カ所に

おいて、それぞれ独自のシステムを構築

し、昭和の時代より、各事業所の業務

内容に合わせて改良を加えながら使い

続けてきました」

 

従来のシステムについてこう説明する

のは、今回のシステム刷新プロジェクト

を指揮してきたPI推進部長の岡田洋

氏です。

 

このように各事業所が独自のシステ

ムを開発し運用してきた結果、同社で

は、個別業務ごとに最適なシステム環

境を構築することができ、かつ事業所間

で業務改善への競争が促進されるとい

う効果が生まれた反面、ハード/ソフト

PROFILE

日新製鋼株式会社創業本社所在地資本金従業員数事業内容

1908年7月東京都千代田区丸の内3-4-130,000百万円6,604名(2013年3月31日時点)鉄鋼および非鉄金属の製造・加工および販売

PI推進部長

岡田 洋 氏PI推進部 PI企画チーム チームリーダー

岡田 卓 氏

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を更新する場合も個別に対応する必

要があるなど、システム運用が長期化す

るにつれ、運用効率低下、保守コスト上

昇といったデメリットが生じていました。

「そのほかにも、従来システムでは情報

を全社で共有できないために、例えば

"A工場で安価に購買できた資材を、B

工場では別ルートから割高な単価で購

入し続けてきた"という事例も少なく

ありませんでした。こうしたムダをなく

すためには、全社レベルでコストを比較

検討できる"価格比較サイト"のような

機能が必要です。さらには、事業所に

よって業務プロセスが異なることは、ガ

バナンス強化の観点からも望ましいもの

ではありません。そこで2009年頃か

ら、各事業所の保全管理システムおよ

び購買・外注契約システムをそれぞれ

一本化し、全社共通の新たなシステムへ

と刷新する計画を推し進めてきたので

す」(岡田洋氏)

カスタマイズの自由度に着目し

プロトタイプ型のパッケージを選択

 

日新製鋼様は、新システムの構築に

あたって、導入の容易さや保守・運用効

率などを考慮してパッケージソフトを採

用する方針とし、複数ベンダの製品を

比較検討しました。そして提案コンペの

結果、購買・外注契約システムのパッケー

ジとして選定されたのが、日本ユニシス

の電子購買構築ツール『eP

roT®

』です。

「eProT

は、同じパッケージソフトでも他

社製品とは大きく違っていました。分

かりやすく例えるなら、他社のパッケー

ジは"既製服"。ほぼ完成されているの

で、買ってすぐ着られるのがメリットで

すが、体型や好みに合わせてカスタマイ

ズするには、一度ほどいて縫製し直す手

間がかかり、修正できる範囲も限られて

います。これに対して、eP

roT

は、いわば

"イージーオーダー服"。まずプロトタイ

プと呼ばれる基本的な機能を実装した

動作可能なシステムが提供され、これを

ベースに画面構成やアドオン機能など

を柔軟にカスタマイズしながら、最終的

なシステムを完成させていく仕組みで

す。当社の場合、各事業所が創意を凝

らした"こだわり"の部分を取り入れつ

つ、全社的にも整合性のある業務フロー

を新たにつくり上げていく必要があり

ましたので、eP

roT

のカスタマイズ性の

高さは大きな魅力でした」(岡田洋氏)

 

日本ユニシスは、このeP

roT

のメリット

をより具体的にご理解いただくために、

プレゼンテーションの前に購買業務に

精通した人材を現場に派遣。フィット&

ギャップ分析を行った後、約1カ月間「プ

バイヤー企業 サプライヤー企業A

サプライヤー企業B

サプライヤー企業C

データセンター

eProTの全体概要

申請部門

ステータス管理

見積 受発注

ワークフロー

●承認申請 ●承認・否認

●タスク一覧●アラート機能

●ステータス確認●納期遅延一覧

●見積申請●見積依頼●見積回答●見積先選定

●購入依頼●自動発注●出荷●検収

●発注●受注●受入・検査●カタログ

インターネット

インターネットもしくは

イントラネット インターネット

インターネット

購買部門

受入部門

日新製鋼様Case Study 2

20Club Unisys + PLUS VOL.45

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レ要件定義」としてプロトタイプを試用

していただく機会を設けました。その様

子をPI推進部

PI企画チーム

チーム

リーダーの岡田卓氏が説明します。

「プレ要件定義では、ユーザーである各

事業所の購買担当者に参加いただき、

プロトタイプの画面を見たり操作して

もらいながら、現場の要求に適合してい

るかどうか確認していただきました。い

わばイージーオーダーシステムの"試着

会"です。通常、フロー図などを使って説

明しても、情報システム部門以外の現

場サイドの方にはシステム内容がうま

く伝わらないことが多いのですが、プレ

要件定義では、プロトタイプを実際に

動かすことができたため、担当者からも

"新しい業務の流れが具体的にイメージ

できた"と好評で、結果的に新システム

導入の合意をスムーズに得ることができ

ました」

各事業所の意見を取り入れながら

全社共通の購買業務の

あり方を追求

 

こうして2011年11月、eP

roT

を活

用した日新製鋼様の新しい購買・外注

契約システムの開発が正式にスタート。

実際に要件定義に着手すると、各事業

所の担当者からの要望が殺到し、PI

推進部は意見の集約・調整に多くの労

力を費やすことになりました。

「参加者から活発に意見が出たのは、プ

レ要件定義を経て、新システムに対す

る担当者の理解が深まり、当事者意識

が高まった成果でもあるのですが、それ

はそれとして、通常の業務フローと異な

る例外処理など、"こんなに多くの例外

処理パターンがあるのか"と私たちも驚

いたくらい、いろいろな要望が出されま

した」(岡田卓氏)

 

もちろん、すべての要望に応えること

は、時間的・コスト的にも不可能です。そ

こで、PI推進部では、各事業所の担当

者と一緒に、"本当に必要な機能は何か"

を議論しながら、あるべき購買業務の

姿を追求していきました。

「事業所によって意見が分かれ、社内調

整が難しい事案も数多くありました。

その際には、日本ユニシスの担当者か

ら、業界における傾向や他社の成功事

例、ベストプラクティスに基づく助言をい

ただいたことが、要求を一本化するうえ

で非常に役立ちました」(岡田卓氏)

ユーザー参加型の開発スタイルで

完成後の大幅修正を回避する

 

日新製鋼様では、日本ユニシスととも

に各事業所のさまざまな意見を集約

しながら、新システムの開発・構築を進

め、約2年後の2013年11月に本社、

大阪地区で、次いで2014年1月に呉

製鉄所、周南製鋼所において、それぞれ

並行開発してきた新設備保守管理シス

テムとともに、新購買・外注契約システム

「e-POS

」を稼働させました。

「一般的にウォーターフォールの開発で

は、業務設計を終えてから要件定義に

入りますが、プロトタイプを用いたシス

テム開発の場合、ユーザーがプロトタイ

プを見ながら意見を出し合うので、ど

うしても業務設計と要件定義の工程が

オーバーラップしながら進む形になりま

す。そのため今回は要件定義に予想以

上の工期を要しました。しかし、初期段

階からユーザーに新システムの内容を理

解してもらいながら開発を進める、いわ

21 Club Unisys + PLUS VOL.45

Page 11: Study Case1川崎信用金庫様は、1923年(大 正 12年)の創立以来、 「地域とともに の発展に貢献してきました。奈川県川崎市を中心とした地域社会歩む協同組織金融機関」として、神

ば"ユーザー参加型"の開発スタイルなの

で、完成後にユーザーから異論や不満が

続出して、大幅な修正を余儀なくされ

るといった"手戻り"を防ぐことができ

ます。結果的には、プロトタイプ型のパッ

ケージを選んだことが、目的に合ったシ

ステムを構築するための近道だったと

考えています」(岡田洋氏)

購買分析ソリューションを追加し

原価低減や知識共有の

ツールとして活用

 

新購買・外注契約システム「e-P

OS

の稼働によって、日新製鋼様では、すべ

ての事業所の過去の購買実績データや

取引先データなどを一元管理できるよ

うになりました。しかし、これらのビッグ

データを有効に活用していくためには、

大きな課題が残されていました。それ

が、購買品目の重複登録です。

「当社が調達する原材料や資材は、全

社レベルで約30万点、もっとも規模の大

きな呉製鉄所だけでも約20万点に達し

ます。ところが、長年各事業所が独自の

システムで購買業務を進めてきた経緯

もあって、これらのなかには、例えば事

業所や調達先の違いによって同じ品目

を別の名称・コードで登録していること

が判明しました。同じ品目が複数登録

されていては、新システムで検索しても

価格や調達条件などを正確に比較する

ことができません。そこで現在、日本ユ

ニシスに依頼して、同じ品目を"名寄せ"

して重複を解消できる新しいソリュー

ションの導入を計画しているところです」

(岡田卓氏)

 

こうしたご要望に応えて、日本ユニシ

スでは、購買・調達業務のデータ分析に

特化したパッケージ『eB

uyerBrains

®

に、名寄せのエンジンを組み込んで提供

する計画です。

「品目の基本情報や単価履歴、見積情

報、購入実績、納入遅延実績、不具合

実績、サプライヤーの評価情報など、購

買調達に関連するデータを一元的に管

理・分析でき、品目のコスト査定や原価

低減のための課題抽出など、購買部門

が求める分析業務や意思決定をサポー

トしてくれるパッケージの機能を活用し

て、全社レベルでの購買業務の合理化を

推し進め、総コストの低減を追求してい

きたいと考えています」(岡田卓氏)

 

さらに同社では、この新システムを、

購買業務にかかわる知識・情報を蓄積・

継承していくためのナレッジ・ツールとし

ても有効活用していく計画です。

「工場が調達する資材のなかには、10年

サイクル、20年サイクルでしか購入しな

い特殊な設備部品などが存在します。

そのため、部品の交換時期が近づいて発

注しようという時、前回の購買担当者

がすでに異動したり、退職したりして、

詳細が分からないといった事態も起こり

得ます。そんな場合も、新システムを活

用すれば、過去のサプライヤー情報、見

積情報、納期情報、トラブルの記録、注

意事項などを事前にきちんと確認でき

るので、当該製品を初めて扱う社員で

も自信をもって業務を遂行できること

になります」(岡田洋氏)

新システムを

グループ規模に展開し

経営効率の向上と

ガバナンス強化を図る

 

2014年4月、日新製鋼様は、持

株会社である日新製鋼ホールディング

日新製鋼様Case Study 2

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ス様、日本金属工業様と経営統合し、

3社の統合新会社として新たなスター

トを切りました。これにともない同社で

は、今後、旧・日本金属工業の事業所に

おいても、逐次、新たな購買・外注契約

システムの導入を進め、購買業務の一層

の合理化とコスト低減を追求していく

計画です。

「さらに将来は、グループ会社においても

共通のシステムを活用していきたいと考

えています。そして多くの会社に共通

する品目は、グループ共通の価格で購入

できるようにするなど、日新製鋼グルー

プ全体としての経営効率の向上を図る

と同時に、業務プロセスの統一・透明化

によるグループガバナンスの強化を実現

していきます」(岡田洋氏)

 

今回のシステム刷新プロジェクトをふ

まえて、同社では日本ユニシスを次のよ

うに評価します。

「日本ユニシスとは、1965年頃に、前

身である日本ユニバックのメインフレーム

を導入して以来の長いお付き合いにな

ります。もちろん当時のことは詳しく

分かりませんが、その後の保守運用やシ

ステム更新などの実績を通じて、技術

力やサポート力について高く評価してき

ました。今回のプロジェクトにおいても、

社内の意見調整や急ぎの要件追加への

対応など、常に真摯に対応していただき

満足しています」(岡田洋氏)

「プロジェクトを通して、日本ユニシスの

スタッフが購買業務に精通していること

に驚かされました。打ち合わせをしてい

ても"購買部門の出身者なのか"と感じ

るくらい、専門的かつ客観的な立場から

スピーディに対応していただきました。

聞くところによれば、購買関連を戦略

分野の1つに位置づけ、人材の確保・育

成、関連資格の取得に取り組んでいると

のこと。そんな専門性を備えた人材を

活かして、今後も当社システムのさらな

る高度活用をお手伝いしていただけれ

ばと思います」(岡田卓氏)

購買・調達ソリューションの責任者とし

て、日新製鋼様のプロジェクトにおいては

当初、ご提案やフィット&ギャップ分析など

を担当しました。「e-POS」が無事稼働を

始め、日本ユニシスの提案や対応につい

てお客様からご評価いただいていることを

大変嬉しく思っています。

グローバルレベルの競争が激しさを増す

なか、製造業における購買・調達業務は、

QCDでの競争力を向上し、製品の安定供

給を実現していくうえで極めて重要な役割を

果たしています。私たち日本ユニシスは、幅

広い業種・業態の製造業のお客様を支援す

るなかで、“いかにすれば、もっとお客様の利

益創出に貢献できるか”を考え、社内に技術

や知見・ノウハウを蓄積してきました。そして、

その取り組みから開発したのが、『eProT®』

(電子購買)、『eSupplierStation®』(取引

先調査)、『eBuyerBrains®』(購買分析)

という購買・調達業務をトータルにサポート

する一連のソリューションです。

今後も、お客様に寄り添ってこれらのソ

リューションを積極的に提案するとともに、

新たなソリューションの開発を推進し、お客

様の競争力強化に貢献するパートナーで

あり続けたいと考えています。

営業担当の声

購買・調達ソリューションの提供を通じてお客様の競争力強化に貢献していきます。

Voice

日本ユニシス株式会社製造工業事業部 営業二部 シニア・スペシャリスト

村高 浩司

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