化学結合と融点 沸点化学結合と融点・沸点
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━結合 物質 融点〔℃〕 沸点〔℃〕━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━イオン結合 NaCl 801 1467
CaO 2572 2850共有結合共有結合 C 3500以上 4918
SiO2 1550 2950金属結合 Al 660 2486金属結合 Al 660 2486
Fe 1535 2754ファン・デル・ N2 -210 -196
結合ワールス結合 CH4 -183 -162(分子間に働く力) l2 114 183水素結合 HF -83 20水素結合 HF 83 20
H20 0 100CH3OH -98 65
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.14.
水素結合と融点 沸点水素結合と融点,沸点
ファンデルワールス力は,分子量と共に増大する。共に増大する。
すなわち,分子量の増加につれて,融点,沸点は高くなる。
H O NH は 水H2O,NH3 は,水素結合の大きな分子間力により,低分子量にもかかわらず,融点,沸点が高い。
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シ
沸点 高 。
共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.72.
熱熱
熱 移動熱の移動
↓↓
熱平衡
熱とは熱とは
移動した分子の
エネルギー
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・共著『絵とき化学反応の見方
考え方』1989,オーム社,p.26.
温度温度
温度とは温度
分子の熱運動の
激しさの尺度
分子の運動エネルギー
の平均値は,絶対温度
に比例するに比例する
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.26.
気体分子の運動エネルギ気体分子の運動エネルギー
気体分子の平均速度 0℃
ベンゼン 78 272.2 m s-1
アルゴン 40 380.8窒素 28 454 2窒素 28 454.2水蒸気 18 566.5ヘリウム 4 1204.0リウム 4 1204.0水素 2 1692.0
気体分子 並進運動気体分子の並進運動の平均エネルギー
3E = ━━ nRT
2
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.81.
液体分子の運動エネルギ液体分子の運動エネルギー
温度上昇により
蒸発可能な分子
の数が増加した
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.85.
物質の三態物質の三態
固体
液体
気体
固相
液相
気相
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で学ぶ化学』1999,化学同人,p.26.
物質の三態と相転移物質の三態と相転移三態 相転移三態 相転移
固体固体
固 ⇔ 液固 液
液体
液 ⇔ 気
気体気体
気 ⇔ 固
田嶋和夫・上野實・越沼征勝・小林光一・中村昭雄・本山泉共著『一般化学-現代化学のすがた-』1998,丸善,p.55.
物質の三態と分子の運動物質の三態と分子の運動
振動 並進,回転 並進,回転
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.70.
相図 h d i 1相図 phase daigram 1
気液界面の消失
超臨
加圧
圧 固
液
体
臨界流体
力
P
体
体体
気相E
気体
凝縮相BD,C
三重点 臨界温度
気体
温浴加熱
温度 T
温浴
超臨界流体超臨界流体E
二酸化炭素 CO2
臨界点 31 ℃
臨界点以上では 気体と
B : 気体のみ
E : 液体のみ 臨界点以上では,気体と
液体の界面が消滅し,
E : 液体のみ
気体と液体の区別が
つかなくなる
カフェインの抽出溶媒に利用カフェインの抽出溶媒に利用
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で
学ぶ化学』1999,化学同人,p.27.
相図 h d i 2相図 phase daigram 2
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で学ぶ化学』1999,化学同人,p.26.
温度 エネルギ 曲線温度-エネルギー曲線
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で学ぶ化学』
1999,化学同人,p.27.
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書
シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.68.
顕熱と潜熱顕熱と潜熱
顕熱 潜熱
(相転移に必要なエネルギー)
比熱 融解熱 凝固熱比熱 融解熱 凝固熱
(温度 エネルギ 曲線の傾き) 蒸発熱 凝縮熱(温度-エネルギー曲線の傾き) 蒸発熱 凝縮熱
昇華熱 凝固熱昇華熱 凝固熱
エネルギー値は下線で示した用語で呼称するエネルギ 値は下線で示した用語で呼称する。
例:黒鉛の昇華熱は 718.4 kJ mol-1 である。
氷 水 水蒸気氷,水,水蒸気
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で学ぶ化学』1999,化学同人,p.26,27.
水の相変化 圧力 温度水の相変化 圧力-温度
融解
蒸発蒸発
昇華昇華
凍結乾燥
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995熱力学の基礎』1995,三共出版,p.103.
水の相変化 体積 温度水の相変化 体積-温度
圧力をかけると体積は小さくなる
通常の物質通常の物質
モル体積 液体 > 固体
加圧により 液体 → 固体
高圧下での融点 上昇高圧下での融点 昇
水
モル体積 固体 > 液体モル体積 固体 > 液体
加圧により 固体 → 液体
高圧下での融点 降下
大城芳樹,平嶋恒亮著『図表で学ぶ化学』
1999,化学同人,p.26.
系系
系 system : 物質の集まり
多数の粒子(原子 分子)が含まれる多数の粒子(原子,分子)が含まれる
外界 surroundings : 注目している系を含む
境環境 environment さらに大きな系
系外界 系外界
環境
系の種類系の種類
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
系の種類 熱を除くエネルギー 熱 物質
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
孤立系 isolated system × × ×
断熱系 ○断熱系 adiabatic system ○ × ×
閉じた系 closed system ○ ○ ×
開いた系 open system ○ ○ ○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
外界との間で出入りを,許すとき ○, 許さないとき ×
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.4.
可逆変化と準静的変化可逆変化と準静的変化
理想気体の圧力,体積,温度を変化させる
可逆変化 reversible change可逆過程 reversible process
変化の方向を逆にすると,元の状態に戻ることのできる変化
⇔ 不可逆変化 irreversible change
準静的変化 quasi-static change準静的過程 quasi static process準静的過程 quasi-static process
系と外界との差を無限小にして 無限に長い時間をかけて系と外界との差を無限小にして,無限に長い時間をかけて,可逆的に系に変化を起こす理想的な過程
状態量状態量
状態量 tit f t t状態量 quantity of state
ある状態に至る経路に
依らない量
位置エネルギー 高さ h
内部 ネルギ 温度
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995 三共出版 p 19
内部エネルギー 温度 T
エンタルピー中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.19.
エントロピー
示量性の量と示強性の量示量性の量と示強性の量
示量性の量 S エントロピー J K-1 = m2 kg s-2 K-1示量性の量 S エントロピー J K 1 = m2 kg s 2 K 1
extensive quantity V 体積 m3
x 一般的な変位 mx 般的な変位 mn 物質量(モル数) molU 内部エネルギー J = m2 kg s-2
示強性の量 T 温度 Ki t i tit P 圧力 P 1 k 2intensive quantity P 圧力 Pa = m-1 kg s-2
F 一般的な力 N = m kg s-2
μ 化学ポテンシャル J mol-1 = m2 kg s-2 mol-1 μ 化学ホ テンシャル J mol = m kg s mol
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.39.
熱力学の法則熱力学の法則熱力学第0法則 熱平衡 温度計熱力学第0法則 熱平衡 温度計
熱力学第1法則 エネルギー保存則 熱,仕事はエネルギー
熱力学第2法則 エントロピー増大の法則 不可逆変化 irreversible change
熱力学第3法則 エントロピーゼロ 絶対零度
二つの系A,Bがそれぞれ第三の系Cと熱平衡状態にあるならば,A,Bに互いに熱平衡状態にある
熱力学第0法則
熱と仕事が等価である熱と仕事をまとめたエネルギーが保存される
熱力学第1法則
化学的に 様で有限の密度をもつ物質のエントロピ は
熱力学第2法則 dS ≧ d‘Q/T (等号は可逆変化)
化学的に一様で有限の密度をもつ物質のエントロピーは,温度が絶対零度に近づくにしたがい,一定値に近づく.この一定値をゼロに取り,エントロピーの絶対値を定める
熱力学第3法則
ことができる(Nernst-Planckの定理).
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.4, 13, 39, 61.
熱力学の式熱力学の式G = H - TS = U + PV - TS = A + PV
G : ギブズ自由エネルギー Gibbs free energy 定圧条件下で
系から取り出せる最大限の仕事
H : エンタルピー enthalpy 系に出入りする熱
T : 温度 temperature
S : エントロピー entropy 系の乱雑さの尺度
U : 内部エネルギー internal energy 構成粒子のもつ力学的エネルギーの総和
A : ヘルムホルツ自由エンルギー Helmholtz free energy 定温条件下でgy 定 条件
系から取り出せる最大限の仕事
P : 圧力 pressureP : 圧力 pressure
V : 体積 volume
PV : 仕事 ある圧力下での体積変化により 外部に対してする仕事(エネルギ )PV : 仕事 ある圧力下での体積変化により、外部に対してする仕事(エネルギー)
TS : エントロピーの増減によって生じるエネルギー
H PV TS G AH,PV,TS,G,A
HH
PV U
PV TSAPV TSA
TSG
内部エネルギ 1内部エネルギー 1
内部エネルギー U : 構成粒子のもつ力学的エネルギーの総和
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.28,29.
内部エネルギ 2内部エネルギー 2
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.60.
分子運動分子運動
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━固体 液体 気体固体 液体 気体
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━振動運動 ○ - -振動運動 ○ - -
全分子運動 回転運動 × ○ ○並進運動 × ○ ○並進運動 × ○ ○
分子内運動 振動運動 ○ ○ ○分子内運動 振動運動 ○ ○ ○回転運動 △ ○ ○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○:起こっている,△:一部起こっている,×:起こっていない,-:存在しない
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.61.
内部エネルギ の増加内部エネルギーの増加
結晶の融解
構成粒子が運動エネ
ルギーが大きくなりルギ が大きくなり,
並進運動を始める
気体の昇温
構成粒子の並進運動
の速度が増加するの速度が増加する
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.23.
エンタルピ 1エンタルピー 1
系に入った熱エネルギーQは,内部エネルギーの増加と外部に対してなし増加と外部に対してなした仕事に費やされた
H = U + PV
U 内部エネルギU : 内部エネルギー
PV : 仕事
H : エンタルピー
熱含量 熱関数熱含量,熱関数
系が含んでいる
熱エネルギー
野村良紀・中村吉伸共著『化学教科書シリーズ 基礎化学』2003,丸善,p.62.
熱エネルギ
エンタルピ 2エンタルピー 2
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.34.
エンタルピ と反応熱エンタルピーと反応熱反応系 生成系反応系 → 生成系
発熱反応
C + O → CO2
吸熱反応
N2 + O2 → 2NO
反応熱 =
反応系のエンタルピー反応系のエンタルヒ
- 生成系のエンタルピー
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.39.
反応熱の種類反応熱の種類
藤谷正一・木野邑恭三・石原武司共著『絵とき化学反応の見方・考え方』1989,オーム社,p.41.
相転移とエントロピ 変化相転移とエントロピー変化
⊿S1 融解エントロピー
⊿S3 蒸発エントロピー
エントロピーは
乱雑さの尺度乱雑さの尺度
相転移にともなって
乱雑さが増減する
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995熱力学の基礎』1995,三共出版,p.38.
気体の混合気体の混合
中村義男著『化学野村良紀・中村吉伸共著
『化学教科書シリ ズ中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.45.
『化学教科書シリーズ
基礎化学』2003,丸善,p.102.
エントロピ の分子論的モデルエントロピーの分子論的モデル
S < S S < SS1 < S2 S1 < S2
エントロピーが増加する例の分子論的モデル
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.62.
エントロピ 変化の例エントロピー変化の例
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━状態の変化 熱の出入り エントロピーの変化━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━0℃の氷が0℃の水になる 熱を与える Q>0 ⊿S>0
0℃の水が0℃の氷になる 熱を奪う Q<0 ⊿S<00℃の水が0℃の氷になる 熱を奪う Q<0 ⊿S<0
等温度で気体を準静的に膨張させる 熱を与える Q>0 ⊿S>0
等温度で気体を準静的に圧縮する 熱を奪う Q<0 ⊿S<0
気体を準静的に断熱膨張させる 熱の出入りなし Q=0 ⊿S=0━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━気体を断熱自由膨張させる 熱の出入りなし Q=0 ⊿S>0
等温度で2種の理想気体を混ぜる 熱の出入りなし Q 0 ⊿S>0等温度で2種の理想気体を混ぜる 熱の出入りなし Q=0 ⊿S>0
断熱容器の中で水とお湯を混ぜる 熱の出入りなし Q=0 ⊿S>0━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.62.
ギブズ自由エネルギギブズ自由エネルギー定圧条件下定圧条件下
系が含んでいる熱エネルギー = 仕事として系から取り出せるエネルギー++
仕事に使えないエネルギー
H = G + TSH = G + TS
仕事として系から取り出せるエネルギー : ギブズ自由エネルギー G
’Gibb’s free energy
仕事に使えないエネルギー : 束縛エネルギー TS
bound energy
G = H - TS
= U + PV - TS
ギブズ自由エネルギー = エンタルピー - 仕事に使えないエネルギーギブズ自由エネルギー = エンタルピー - 仕事に使えないエネルギー
= 仕事として系から取り出せる最大エネルギー
準安定状態と平衡状態準安定状態と平衡状態
ギブズ自由エネルギー G
定圧条件下で定圧条件下で
仕事として系から取り出せるエネルギー
G = U + PV - TS
= H - TS
系はGが減少する方向に自発的に変化する
dG<0 (不可逆変化)
準安定状態と平衡状態
dG=0 (可逆変化)
中村義男著『化学熱力学の基礎』1995,三共出版,p.76.
(可逆変化)