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Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016...

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Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー
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Page 1: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

Accenture Technology Vision 2016

エグゼクティブ・サマリー

Page 2: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

主役は“ひと”:デジタル時代は “ひと”こそ最優先デジタル時代の勝者は、テクノロジー力の獲得のみならず、 それを凌駕する幅広い取り組みを行っています。こうした 企業は“ひと”こそが成功の鍵であることを知っています。 顧客のニーズや行動を理解する能力はもちろん不可欠ですが、 インテリジェンスの時代と呼ばれる今、企業は新たに登場 するテクノロジーを活用できるというだけでは不十分です。 むしろ、そうしたテクノロジーを原動力に新たなビジネス 戦略が導入できるよう、自らの文化を進化させる能力こそ、 より重要な決定打となります。

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Page 3: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

デジタルな世界における成功は、 単に多くのテクノロジーを取り入れる、 あるいは(一部の人々が懸念する点でも ありますが)人間をテクノロジーによって置き換えるだけでは達成できません。

企業は“ひと”、すなわち消費者、労働者、 およびエコシステムパートナーが、テクノ ロジーを通じてより多くのことを達成できる 仕組み作りに注力すべきです。“ひと”が 新たな状況に対応する中で学習し、新しい 解決策を生み出し、たゆむことなく変化を 追求し、また現状を変えることを可能にする 手段としてテクノロジーを活用するような、 新たな企業文化を創出せねばなりません。 繰り返しになりますが、テクノロジー万能と いわれるこの時代にあって、真のリーダーは “ひと”を最優先に行動しているのです。

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2020年までに世界のGDPの25%が デジタル経済に

デジタルなカルチャーショック私たちは今、大いなる技術革命、すなわちデジタル革命のさなかに あります。アクセンチュアの調査によると、現在、あらゆる経済分野がデジタルによって支配されつつあります。

このグローバルなデジタル経済は、2015年の時点で世界のGDPの22%を占めています。この比率は急速に拡大しており、2005年では15%だったのが2020年までには25%にまで達すると我々は予測しています。1

デジタルはあらゆる分野に浸透し、かつてない規模の変化をもたらしています。新しいテクノロジーやソリューションが登場し、データ量は前例のない規模に拡大し、レガシーシステムと新システムとの一体化が求められています。そして、(社内外において)コラボレーション、新たな提携、新しいスタートアップ企業、その他、これまでなかった様々なことが生まれてきています。同時に、市場に出てみればデジタル顧客が成熟してきています。サービス、スピード、パーソナライゼーションといったことへの劇的な欲求の変化は、いまだその初期段階にすぎません。

顧客だけではありません。ミレニアル世代 (1980年代〜2000年代前半生まれ)の参入 により、人生観や願望が全く異なる新タイプ の従業員も登場しました。この、いわゆるデ ジタル世代は、世界が自分のニーズに合わ せることを要求し、また、仕事の進め方につ いての考えも従来とは異なります。コラボレ ーション技術の普及は、長年の雇用形態に 変化をもたらしています。フリーランスやポ ートフォリオキャリア(複数の職を同時に持 つこと)の増加とともに、どのように、いつ、 どこで仕事をするか、が変わってきています。

こうした変化は段階的なものではなく、実際のところ、もはや新たなスタンダード (New Normal)となっています。ITとビジネス分野の3,100名超の経営層を対象としたアクセンチュアの調査では、86%が、自らの業界の技術変化のスピードは今後3年間に急速に、かつてないペースで拡大すると回答しています。多くの企業が、テクノロジーの影響やその対応に必要な変化にうろたえ、今後必要となる取り組み規模に圧倒されそうになっています。まひ状態に陥る企業すら出てきています。これは無理もない状況です。

しかし、企業は、一度立ち止まって深呼吸し、デジタル・カルチャーショックへ向け、新たな製品、ビジネスモデル、それらをサポートする全プロセスを変革し始める必要があります。

新たなスキルを開発したり、緩やかなパートナーベースのコラボレーションによって形作られたエコシステムを通じた、従来とは異なる機敏な業務スタイルを学ばねばなりません。これを実現するには、企業のあらゆる要素、とりわけ“ひと”に対する新たな観点が求められます。“ひと”が成長するための投資や管理、および彼らが変化に対応し受け入れることができるよう支援することが、基本的な要件となります。ビジネスがデジタル化する中、組織、“ひと”、企業文化にもまたデジタル化が求められます。

出典:Digital Economic Value Index, Accenture, January 2016

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Page 5: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

現在多くの企業が直面するデジタルなカルチャーショックは、克服不可能とさえ思われがちです。しかし幸いなことに、打開に向けたヒントとなるモデルはすでに存在します。テクノロジー企業の多くがすでに活発なデジタル文化を確立していますが、他の産業においても早期導入企業が登場し、ガイド役となっています。たとえばVirgin Americaという、シリコンバレーに本社を置く唯一の航空会社があります。彼らは、周囲の破壊的変化をもたらしてきたテクノロジー企業と同様な思考方法を学びました。機内ソーシャルネットワークから航空券購

入手段の見直しまで、あらゆることについて 実験的な取り組みを行っています。さらには、優良会員の協力までもを要請し、3万人の人々にChange.orgで署名させることで、ダラス・ラブフィールド空港で2つのゲート枠を獲得しました(これは後に実現しています)。同社はこの貢献に金銭で報い、株式公開に先立ってマイレージサービス会員にストックオプションを提供しました。何よりもすばらしいことに、同社自体が実際的な成果を得ており、2014年の売上高は15億ドル近く、株式公開時の時価総額は3億600万ドルに達しています。2

今後3年間にあなたの業界での技術変化のペースは どのように変化すると予想されますか?

Accenture Technology Vision 2016 Surveyより

28%が前例のない速度で拡大と回答

58%が急速に拡大と回答

12%がゆっくりと拡大と回答

1%が現在と変化なしと回答

1%が縮小すると回答

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企業文化をいかにして変えるか?デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか? 我々は、4つの重要な柱があると考えます。企業は、変化に対応する 仕組みを持ち、データに基づいて行動し、破壊的変化を喜んで取り入れ、 デジタル面でのリスクを認識することが求められているのです。

データに基づいて行動

変化を前提

当然ですが、企業や組織は変化を前提に 構築されなければなりません。これは企業としての行動様式を変えなければならない場合もあることを意味します。デジタルビジネスに要求されるスピードで行動するには、新たなスキル、新たなプロセス、新たな製品、そして、新たな働き方が必要です。とにかく敏速性を備えた手法が重視され ます。「New IT」が必要とされるのですが、 「New IT」には、まずDevOpsモデルがあり、 継続的な成果達成(デリバリー)を行う実働組織がいます。そして、SOA(Service Oriented Architecture)とクラウドによって拡張性を担保し、SaaS(Software as a Service)によって効率化、敏速性を持つ、

そうしたことを主眼に構築されたアーキテクチャやコラボレーションのためのプラットフォームとなります。そしてこれらすべてのまとめ役として、“ひと”が作り出す変化を企業全体として受け入れることです。人々は、その役割にかかわらず、変化を期待し、その影響を理解し、自らのスキルを進化させ、新たなスキルを磨くことで変化に歩調を合わせることが求められます。企業とIT部門の経営層の37%はすでに、従業員へのトレーニングが3年前と比較して非常に重要になってきていると回答しています。最も先進的な組織が変化に最も良く対応し、ビジネスの成長と改善を実現させているのです。

もう1つ同様に重要な(しかし今なお不十分な)要素として、データに基づいて行動する組織となること、があります。データとアナリティクス活用能力の向上については、過去数年さまざまな議論がなされてきましたが、真にデータに基づくということは、優れたツールやスキルを持つことだけを意味しません。企業のあらゆるレベルにおいて、意思決定の基盤を変えることを意味するのです。直感、過去の経験、あるいはHiPPO(Highest-Paid Person’s Opinion:最も給料の高い人の意見)などに頼るのではなく、企業全体にわたってインサイトに基づく意思決定を行えるよう、あらゆる面で容易にデータ活用できることが求められます。人間だけではなく、機械もまたインテリジェンスを取得し、それに基づいて行動できなければなりません。靴とアパレルのオ

ンライン販売を行うZappos社では、広告活動やサイトのパーソナライゼーションよりもデータを優先しています。同社が最も重視する顧客に関する重要な決定を、データに基づいて行うためです。自社データに外部の第三者データを組み合わせることにより、同社のマーケティング分析チームは、2つの主要な重要顧客セグメントを特定しました。最終的には、従来と同じく広告という手法が使われるものの、適切な顧客セグメントをターゲットとした広告となる点が全く異なります。また、こうしたデータや消費者に関する文化を社内で徹底するため、同社の顧客中心主義に賛同できない人が退職しやすいよう、採用から4週間後に離職する場合には1人当たり3,000ドルを支払っていることも有名です。3

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「こうした家電が互いに 接続されている世界を 想像してみてください。 コンテンツやサービスと アプリ、あるいは広告などを配信する、最大の プラットフォームのひとつが出現するのです」

デイビッド・ユン(David Eun) サムスン社のエグゼクティブ・バイスプレジデント

残念ながら、デジタル経済に見られる変化のスピードは新たなリスク分野も生み出します。ソフトウェアに多大な機会をもたらしている“規模の大きさ”ゆえに、新たな問題も発生し、リスクが 高まっているのです。セキュリティ上の脅威をもたらす新たな媒体、消費者のプライバシー保護責任、明確なデータ活用基準、新たなテクノロジーの倫理的利用に関する懸念など、デジタルビジネスは従来なかったリ

スクに直面したり、こうしたリスクを生み出したりするのです。これに対応するため、リーダー層はあらゆる行動にあたって デジタル時代の信頼を考慮することが求められます。セキュリティ、プライバシー、およびデジタルにおける倫理というものは、テクノロジーからリバースエンジニアリングしても構築することはできません。開発段階から不可避な一要素として組み 込む必要があります。

あらゆる階層の“ひと”が、新しいツール、新しいスキル、および新しい機械を使って変化を進める中、経営層にも果たすべき 重要な役割があります。真に最先端を行く企業は、デジタル化のもたらす効率改善のみに注目するのではなく、自社のDNA内に破壊的変化を取り入れ、テクノロジーによって業務の進め方が変わり、ビジネスがまったく異なる方向に進み得ることを示しています。そのためにこそ、顧客、パートナー、および従業員を含む人々の声に慎重に耳を傾け、破壊的変化を推進する新たなニーズ、要求、態度を把握する手段としてテクノロジーを使うのです。

こうした企業は、激変する環境下において成功を支える戦略を生み出し、社内に組み込んでいます。また自らの(および他の)業界の境界を率先して変え、過去と現在の両方においてエコシステム構築とその調整を主導しています。たとえばサムスン社の行動を例にとってみます。サムスン社はドアが

開け放しのときにメールを送る冷蔵庫、スポットエネルギー価格を使っていつ洗浄するかを判断する食洗機、スマートウォッチやスマートフォンによって制御されるロボット掃除機など、次世代のウェアラブル機器やスマート家電を世に送り出しています。サムスン社のエグゼクティブ・バイスプレジデントであるデイビッド・ユン(David Eun)は、「こうした家電が互いに接続されている世界を想像してみてください。コンテンツやサービスとアプリ、あるいは広告などを配信する、最大のプラットフォームのひとつが出現するのです」4 と述べています。さらに、こうした破壊的変化は製品だけにとどまりません。“ひと”の側面において、同社は社員が社内競争の一環としてアイデアを提出できるC-Labと呼ぶプログラムを開始しました。選考を経て選ばれた人々は従来の業務から1年あるいはそれ以上の休みを取り、自らのアイデアを検証、開発するための小規模なチームの運営を任されます。

破壊的変化

デジタル時代の信頼

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Technology Vision 2016 のトレンド: 世界を何度も作り直す現在、デジタルはすべての企業に定着しています。しかしテクノロジーが組織とその戦略の不可分の一部 であったとしても、この、かつてない速度で再構築され続ける世界で成功を支えるのは“ひと”なのです。

今年のAccenture Technology Visionでは、この新たな環境を 形作る、新しく登場してきたテクノロジーのトレンドを取り上げました。紹介する各トレンドはテクノロジーを基盤として始まるものですが、それらを注意深く観察すれば、そのいずれにおいても「主役は

 “ひと”」がテーマとなっていることに気付きます。明日のリーダー企業は、これらのトレンドを理解し、自らのデジタルな優位性を明確に打ち立てるための戦略を実行しています。

トレンド 1:インテリジェント・オートメーションインテリジェントなオートメーションは新たな成長とイノベーションの足掛かりです。 人工知能を推進力とするこの次世代ソリューションは、システム、データ、および“ひと”を織り合わせることで、ばらばらだったシステムから前例のない規模のデータを収集し、組織、組織が行うこと、いかにしてそれを行うか、といったことを根本的に変革します。

トレンド 2:流体化する労働力企業はデジタル時代のたゆまない変化に対応すべく、必要とされるツールやテクノロ ジーに投資を続けています。しかし多くの場合に、労働力という重要な要素が取り残されています。企業は、適切なテクノロジーを利用するだけでは不十分です。適切な人々が 適切なことをする、適応力豊かで、変化に対応でき応答性にも優れた、まるで液体の ような(水のごとき)労働力によって行うことを可能にするようなテクノロジーの利用が 求められているのです。

トレンド 3:プラットフォーム・エコノミー次の破壊的イノベーションの波は、テクノロジーが実現し、プラットフォームが原動力となって、さまざまな産業で形成されつつあるエコシステムから生まれます。リーダー企業はデジタルビジネスを作り出すためのテクノロジーを戦略的に獲得し、そのうえでエコ システムをベースに、デジタル経済を支える、適応性と拡張性に富んだ、相互に接続 されたプラットフォーム経済を構築しています。

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トレンド 4:破壊を予期するすでに、あらゆる企業がデジタルの変革パワーを認識しています。しかしこの新しいプラットフォームを基盤とするエコシステムから生じる変化が、どれほど劇的、かつ継続的なものであるかを把握している企業はわずかです。根本的に変化するのはビジネスモデルだけではありません。このようなエコシステムから生じる予測可能な破壊は大きな力を持ち、産業や経済分野全体を根本的に再定義、再構築し状況を一新するでしょう。

トレンド 5:デジタル時代の信頼新しいテクノロジーの普及とともに、デジタル時代のリスクに関する大きな新しい 問題が生じています。信頼なくして企業は業務を支えるデータの共有や利用を行えません。今日の最先端のセキュリティが、境界部のセキュリティ確立のみにとどまらず、データに関する最高の倫理基準を取り入れているのもこのためです。

勝者は、テクノロジーによって“ひと”が 力を得て、新しいことを受け入れ、変化を 起こしていく、そんなことができる企業文化を創っています。

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我々はわずかな期間のうちに大きな変化を経験しました。企業は顧客に製品やサービスを提供するだけではなく、顧客とのコラボレーションも求めています。他社とは競争だけではなくパートナーとしての関係も結びます。業界の垣根にはもはやこだわらず、垣根があることすら無視されます。これらすべてを結び付けるものはデジタルかもしれませんが、それを形作るのは“ひと”です。そしてこれは今日の業務改善の手段をはるかに超えています。デジタルは企業が属する産業であれ、ターゲットとする市場で

あれ、雇用する人材であれ、現状に本質的な変化をもたらす力を備えています。

しかしデジタルの力だけで、企業や組織を戦略的目標に向けて推進することができないことも判明しつつあります。成功企業では、テクノロジーによって“ひと”が進化し、適応し、変化を推進するための力を得るような企業文化が構築されています。言い換えれば「主役は“ひと”」というのが、成功の秘訣なのです。

デジタルは“ひと”も意味する

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Page 11: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

アクセンチュアのTechnology Visionは3年間の技術的トレンドから構成されています。アクセンチュアは毎年最新のトレンドを取り上げていますが、それぞれのトレンドは全体像の一部を構成するにすぎません。企業がデジタルビジネスへの歩みを続けるにあたり、テクノロジーの最新の進化と歩調を合わせ、また成熟してきたテクノロジーを継続的に自社に取り込んでいくことが求めら

れます。こうしたテクノロジーが企業にとって次世代ビジネス構築のための基盤となるのに時間はかからず、またこれらのテクノロジーは今年アクセンチュアが取り上げるトレンドの多くを生み出した触媒でもあります。下記に示すトレンドの詳細な説明はwww.accenture.com/technologyvision-jpを ご覧ください。

全体像を完成させる

Technology Visionの進展 2013〜2016年

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アクセンチュアのTechnology Vision 2016につながる直近3年間の技術的トレンドは以下の通りです。

Accenture Technology Vision 2015:デジタルビジネスの時代――業界の垣根を越えて

The Internet of Me:パーソナライズされた世界日常がオンライン化されるとともにエクスペリエンスもオンライン化され、個々人の生活のあらゆる側面に深く関わるデジタルチャネルが数多く作り出されます。先見の明のある企業は新しいアプリケーション、製品、およびサービスを構築するための手段に変更を加えています。これらのタッチポイントをコントロールするため、企業は信頼を失うことなく消費者に関わり、刺激を与えるため、高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供しています。「Internet of Me」において成功を収める企業は、次の世代には誰もが知っている企業になると予想されます。

成果を売る経済:具体的な成果を生み出すハードウェア

インテリジェントなハードウェアは、デジタル企業と物理的な世界との間のギャップを橋渡しします。業界をリードする企業は、IoTへの対応に際し、自社のデジタルツールボックス内にハードウェアやセンサーを埋め込む機会を見出します。このような企業は、高度に接続されたハードウェアコンポーネントを使い、顧客が本当に望んでいるもの、すなわち、たくさんの製品やサービスではなく、より有意義な成果そのものを提供します。こうした「デジタルな破壊的変革企業」は、優位性というのがもはや物を売ることではなく、成果を売ることであると理解しています。まさに、「成果を売る経済」なのです。

「ワークフォース」再考:人と機械が交わる場でのコラボレーション

デジタル化の進展に伴い、人と機械がより多くを共に行う必要性が高まってきています。ナチュラルインターフェイス、ウェアラブル機器、およびスマートな機械は、テクノロジーを通じて従業員の能力を高めようとする企業に新たな機会を提供しています。これはまた、人と機械の両方で構成されるコラボレーションベースの労働力の管理という新たな課題も浮き彫りにします。成功を収めている企業は人の才能とインテリジェントなテクノロジーが互いに協力しあうことによるメリットを認識し、双方が新たに構築し直された労働力の不可欠なメンバーとして重視されます。

インテリジェントな企業:膨大なデータとよりスマートなシステム――より優れたビジネス

卓越した業務と次世代ソフトウェアサービスは、ソフトウェアのインテリジェンスが達成する次の進歩から生まれます。これまでソフトウェア機能の向上は、従業員がより良い判断を迅速に下すための支援を目的としていました。しかし、ビッグデータの登場と処理能力、データサイエンス、そして認識技術の進展によって、ソフトウェアのインテリジェンスは、機械がより良い情報に基づいて判断することをも支援しています。ビジネスとテクノロジーのリーダーたちは、今やソフトウェアインテリジェンスを試験的プロジェクトやワンタイムのプログラムとして捉えるのではなく、新たなレベルへの進化と発見をもたらし、全社的イノベーションを推進する総合的な機能とみなす必要があります。

プラットフォームの革命と進化:エコシス テムの定義を変え、業界の定義をも書き 換える

「Global 2000」企業の間では、デジタルな産業プラットフォームとエコシステムが次なるイノベーションと破壊的成長の波を誘引しています。プラットフォームベースの企業が、デジタル経済による機会を捉え、大きな成長と利益を獲得するケースが増えています。クラウドやモバイルの急速な進展はそうしたプラットフォームに伴うテクノロジーとコスト面での障壁を無くすだけではなく、さまざまな産業や地域の企業に新たな市場を開放しています。端的に言えば、プラットフォームベースのエコシステムは新たな競争の場となっています。

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Accenture Technology Vision 2014:すべてのビジネスがデジタルに――デジタルの「受容者」から「主導者」へ

デジタルとリアルの融合:インテリジェンスの究極へ

現実の世界がオンライン化され、スマート化したオブジェクト、機器、および機械が物理的な世界において人々のインサイトを拡大します。これは、単なる「モノのインターネット」を指すのではありません。従業員を補佐し、プロセスを自動化し、また機械を人々の生活に組み込む、接続されたインテリジェンスによる新たなレイヤーが誕生します。高度な情報を持ち、周囲のあらゆるものと関わり、その体験に影響を及ぼすことのできる現代の消費者にとって、これは新たなレベルの能力が付加されることを意味します。組織や企業の点からは、現実世界へのリアルタイムの接続が実現し、機械と従業員双方がよりインテリジェントに行動し、敏速に対応できるようになります。

ワークフォースからクラウドソースへ:ボーダレス・エンタープライズの出現

労働力が自社の従業員にとどまらず、インターネットに接続するすべてのユーザーから構成される状況を想像してみてください。クラウド、ソーシャル、およびコラボレーションのためのテクノロジーによって、企業は世界中の膨大な数の、またその多くは支援することにやぶさかではない、人材を活用できるようになりました。こうした取り組みをビジネスゴール達成に転換することは容易ではありませんが、可能性は膨大です。こうした取り組みを通じ、あらゆる企業は、直面している問題の解決により適した、しかも多くの場合には無償の、巨大かつ敏速な労働力を活用できるようになります。

データ・サプライチェーン:循環する「情報」

データテクノロジーは確かに急速に進化していますが、その大半はばらばらに導入されています。その結果、企業データはほとんど活用されていません。データのエコシステムは複雑で、サイロ化されており、アクセスが困難なため企業は自らのデータから本来の価値を引き出すことができません。データが持つ価値を真に発揮させるには、データをいわばサプライチェーンのように取り扱い、組織全体を通じて、また最終的にはパートナー企業によるエコシステム全体を通じて、容易に、かつ役に立つ形で流通させなければなりません。

ハイパースケールを味方につける:ハード ウェアの復権

ハードウェアは、10年以上に及ぶソフトウェアイノベーションの影に隠されてきましたが、今や、より大きく、高速で、効率的なデータセンターへの需要が急拡大していることに伴い、新規開発案件の中心となっています。「ハイパースケール」イノベーションが持つメリットが、コスト削減としてデータセンターに反映されることはどの企業も知っています。そして、自らのビジネスをデジタル化しつつ、次の成長を実現するために、こうしたシステムが不可欠であると考える企業も増えてきています。

アプリケーションビジネス:ソフトウェアを競争力の源泉に

人々がソフトウェアを構築する手法が変化しています。消費者の世界での変化と同様、

企業は、いわば「アプリケーションからアプリへの移行」を急速に進めています。大規模な組織を支える大きくて複雑なエンタープライズソフトウェアのシステムが引き続き存在し、ITデベロッパーにはこれらのシステムのカスタマイズ、アップデート、パッチなどが求められることに変わりはありません。しかし現在では、組織や企業が運営面での敏速性を求めた結果、よりシンプルでモジュール化されたアプリへのシフトが急速に進んでいます。これによるITリーダーや経営陣への影響として、新しいデジタル組織においては誰がアプリケーション開発の役割を担うかを判断するだけでなく、アプリケーション開発の性格そのものを変えなければならなくなると予想されます。

回復力をデザインする:「故障ありきの開発」 がノンストップ・ビジネスのカギに

デジタル時代において、企業にはビジネスプロセス、サービス、およびサービスに対する従業員や関係者からのノンストップの要請に応えることが期待されます。変化し続ける優先順位に対応するという方針変更は、組織全体にわたって、特に「常時オン」のITインフラ、セキュリティ、およびビジネスプロセスへの対応が事業存続とブランド価値き損との違いとなり得る場合において、CIO管轄部門に影響を及ぼします。結果として、今日のITリーダーたちには自らのシステムに高度なスペックを追求するというよりも、障害に耐えられるよう設計することへの保証が求められています。

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結論

デジタルビジネスの新たな要諦: 主役は“ひと”上記のテーマは総じて、アクセンチュアが提唱するコンセプト「Every Business is a Digital Business(すべてのビジネスがデジタルに)」に集約されます。テクノロジーの構造的変化と、世界の組織や企業の戦略・業務上の優先順位に及ぼす影響に関して、アクセンチュアの数年来の示唆が加わったものです。これらはいずれも、企業が前進し、自らを変革するために取り入れ始めなければならない、新たなデジタル文化の要素でもあります。

掲げられたテーマは隔年ごとの主要なテクノロジーの進化を示すものであり、そのいくつかは、先進企業においてすでにデジタルへの取り組みの中心となっています。各テーマで語られた内容を総合すれば、企業が今後成功に向けた計画を立てるにあたり、想定すべき根本的な前提事項の変化が示されています。あらゆる業界のリーダーたちが、デジタルテクノロジーが自らの企業をどこへ導くかについてのインサイトとインスピレーションを得ることのできる、豊かなディテールを備えた観点を提供します。

デジタルビジネスのパワーを活用するとは、もはやこれらのテクノロジーを自らの組織や企業に取り入れることのみを意味しません。これはイノベーションを推進し、変革を推進し、ビジネスを次世代へと進めるために組織とその文化を構築し直すことを意味します。

これらのデジタル戦略と破壊的変化はまだ現れ始めたばかりですが、今後数年の間に形作られる新たなデジタルエコシステムの中で自らの居場所を作ろうとする、いわば課題を先取りして取り組む企業のみが自らの運命を決めることのできる存在となると予想されます。すべての企業に対して、あなたの会社は“ひと”をそこへ導くことができますか? という質問が投げ掛けられているのです。

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トレンド分析手法

Technology Vision について

Technology Visionのチームは毎年Accenture Researchと 連携し、今後3年から5年のうちに企業、政府機関、およびその 他の機関に最も大きな影響を及ぼすと予想される新たな IT分野の事象を特定しています。

この調査は公共および民間部門、学術界、ベンチャーキャピタル、および新興企業から20名を超える経験豊かな人々を集めたTechnology Vision External Advisory Boardからの意見を基に2015年に開始されました。これに加えTechnology Visionチームはテクノロジー産業の著名人や専門家、および100名近いアクセンチュアのビジネスリーダーへのインタビューを行いました。

このチームはまた、アクセンチュアが持つ極めて大きな知識と新しいアイデアも探り、アクセンチュアのコラボレーション技術とクラウドソーシングを使ってオンラインのコンテストを開催することにより、テクノロジー分野で新たに登場してきた興味深いテーマを探りました。このコンテストには3,200名を超える参加者があり、貴重なアイデアを提供するとともに他の参加者の考えに投票を行いました。

調査から明らかになったテーマのリストを基に、Technology Visionチームは前述の諮問委員会をあらためて開催しました。この委員会による、アクセンチュア経営陣と外部専門家との一連の「掘り下げ」セッションを含むワークショップを通じ、これらのテーマが検証され、さらに洗練されたものとなりました。

このプロセスで使用された選別基準は、実際の課題との関連性に基づいてテーマに重み付けされました。具体的にはTechnology Visionチームは技術的変化の要因となることが良く知られている項目を超え、大半の企業の上席経営陣が近々にも取り組まなければならないテーマに注力しました。これらのテーマは次の基準に基づいて優先順位が付けられました。

• 直ちに実行に移すことが可能か

• 今後3年間の組織変革に非常に関連する

• 業 界ごとの「サイロ」を越 えて大きな 影響力を持つ

• 単に既存のソリューションを1対1で置き換えること以上の破壊的影響をもたらす

• 1社のベンダーまたは個々の製品技術にとどまらない

これらを使った選別により一連の強力な 仮説が生まれ、それらを合成することに より今年のレポートに記載した5つの全体的トレンドが得られました。

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Accenture Technology Vision 2016 調査概要今回のトレンドを分析するにあたり、グローバル調査を実施しました。世界11か国、3,100名超の経営・ IT経営層を対象にしたもので、テクノロジーが自社にいかなるインパクトを及ぼすか、直近数年のテクノロジー投資における優先度などを確認しました。調査は2015年の10月から12月にかけて実施されました。

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References:

1 Digital Economic Value Index, Accenture, 2016年1月、

2 Most Innovative Companies 2015: Virgin America, Fast Company, 2015年2月25日、 http://www.fastcompany.com/3039590/most-innovative-companies-2015/virgin-america

3 How Blue Apron and Zappos Use Data to Disrupt Themselves, Ad Exchanger, 2015年10月9日、 http://adexchanger.com/advertiser/how-blue-apron-and-zappos-use-data-to-disrupt-themselves

The Ultimate Marketing Machine, Harvard Business Review, 2014年7月―8月、 https://hbr.org/2014/07/the-ultimate-marketing-machine

4 Most Innovative Companies 2015: Samsung, Fast Company, 2015年2月10日、 http://www.fastcompany.com/3039597/most-innovative-companies-2015/samsung

Acknowledging a Crisis, Samsung is Trying to Improve Its Corporate Culture, Quartz, 2014年12月30日、 http://qz.com/288923/samsung-is-trying-to-improve-its-corporate-culture-amid-crisis/

17 Technology Vision 2016

Page 18: Accenture Technology Vision 2016 エグゼクティブ・サマリー...5 Technology Vision 2016 企業文化をいかにして変えるか? デジタル文化の活気や成功の基盤はどこにあるのでしょうか?

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Accenture Technology R&D について

Technology VisionはTechnology Visionグループ、Accenture Open

Innovation、およびAccenture Technology Labsを含むアクセンチュア

の研究開発専任組織であるAccenture Technology R&Dにより毎年

発表されています。

Accenture Technology R&Dは20年以上にわたり、アクセンチュアと

そのクライアントが技術的イノベーションをビジネス面での結果に変え

ることを支援してきました。このR&Dグループは新しい、および新たに

登場してきたテクノロジーを探り、それらのテクノロジーが未来をどの

ように形作り、またどのような次の最先端のビジネスソリューションを

もたらすかを示すビジョンを構築しています。

Accenture Technology R&DはTechnology Visionに関するセミナー

を実施し、その中ではトレンドをさらに深く検証するとともに、お客様の

ビジネスへの影響を探るフォーラムを開催しています。

アクセンチュアについて

アクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テク

ノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリュー

ションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最

大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界

とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験と専門スキルなどの強みを生か

し、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス

実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお

客様にサービスを提供するおよそ37万3,000人の社員が、イノベーション

の創出と世界中の人々のより豊かな生活の実現に取り組んでいます。

アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、アクセンチュア株式

会社の詳細はwww.accenture.com/jp をご覧ください。

accenture.com/technologyvision-jp#techvision2016

問合せ先

Paul DaughertyChief Technology [email protected]

Marc Carrel-BilliardManaging Director, Accenture Technology R&D [email protected]

Michael J. Biltz Managing Director, Accenture Technology [email protected]

アクセンチュア株式会社

本社所在地

〒107-8672 東京都港区赤坂1-11-44赤坂インターシティ

Tel: 03-3588-3000(代)

Fax: 03-3588-3001(代)

Mail: [email protected]/jp


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